いよいよ、7月27日(土)より全国公開します「終戦のエンペラー」。
本作に昭和天皇役として出演し、物語のクライマックス、トミー・リー・ジョーンズ扮するダグラス・マッカーサーとの世紀の会談を見事に演じましたのが片岡孝太郎さんです。

そこでこの度、大阪松竹座にて「七月大歌舞伎」公演中の考太郎さんに、お時間を頂き映画「終戦のエンペラー」でのマスコミ合同取材を開催いたしました。

<概要>

【日時】2012年7月23日(火)10:00〜
【場所】大阪 松竹座
(大阪市中央区道頓堀1-9-19)
【登壇者】片岡孝太郎

●MC:
まずは、お一言お願い致します。

●片岡孝太郎さん:
今日はお集まりいただき、有難うございます。
今回、2前にオファーを頂きまして、丁度歌舞伎が巡業中で四国にいるときに連絡いただきました。正直びっくりしまして、こんなに大きな作品に出演できるとは…。良い作品に仕上がったと思いますので、是非宜しくお願い致します。

一番始めにお話しをいただいたときは、海外の映画と聞いて、何十年振りだろうと思いました。本を頂いた時点で、ようやく演じる役を知って「天皇陛下ですか、大変なお役ですよね…」と思いました。

●MC:
奈良橋さんよりキャスティングされていたそうだが、オーディションにも参加したそうですね。

●片岡孝太郎さん:
いくらオファーを頂いていても、オーディションに受からなければ参加できないんだということを聞いてまして。以前参加した、スピルバーグの時も一緒でした。カメラテストをやって落ちるんじゃないかと正直思っていました。その時、陛下の歩き方などもやりました。

●MC:
歩き方をされたということですが、事前に準備されたのですか?

●片岡孝太郎さん:
僕らの目にあるのは晩年の陛下ですよね。
戦中・戦後・戦前、いくつかまとめて資料を拝見して、仕草など気を付けてやりました。僕は正直自分で似てると思いませんでした。
「えぇ、いいんですかね?!」と。

●MC:
どの辺で成功したと思いますか?

●片岡孝太郎さん:
やはり、歩き方とか実際オーディションでやってきたことを、認めていただけたのかなと思いますね。独特の歩き方をされるので。
あと表情ですね。陛下の癖、仕草。ニュース映像を見て、独特なのは口もとですね。下の歯をお見せになるんですよね。誇張しすぎるとモノマネになってしまうので。
丁度その頃『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』という映画が公開されていて、かなり参考にしましたし、ライバル視もしました。
実在する人物を真似て、尚且つ自分の中で消化して演技する、
勉強になりましたね。

●MC:
トミー・リー・ジョーンズさんが来日された際に、「(歌舞伎をご覧になって)演技がお上手で、入念な準備をされていて」とお話しされていたと思いますが、ご感想を。

●片岡孝太郎さん:
入念な準備と言われているのは…彼は、凄く日本が大好きなんですよね。
京都に泊まる旅館があるんですよ。僕、そこのタオルと石鹸をプレゼントに持って行ったのですよ。たぶんそこをおっしゃっているんじゃないかなと思うんですよ(一同笑い)。

やはり最後のシーンで、(マッカーサーと昭和天皇が)初めて会ったときに、宮内庁では本来許されていない握手を求められること、写真を撮ることに、天皇が答える。今回のこの写真(ポスターの写真を見て)、有名な写真がありますよね。これを(撮影するシーンで)立ったときにお互い見つめ合う。
カメラ目線になるまで二人でじっと見つめ合ったんですよ。この時に、これ目線を外したら、このあと日本は負けるな。もう戦争には負けているのですけど、このあとの日本を立て直すのに負けるなという気持ちが、役の中ですごく出てきたんです。そして役者としてトミー・リー・ジョーンズに負けるなと、この二つの想いが重なりまして。たぶん彼から先に目線を外しているはずです。そこでちょっと戦ってきたという気がしましたね。

あと、撮影中に座って二人で対談するシーンがありました。
トミー・リー・ジョーンズが急にスタッフに怒り始めたんですよね。
「彼に何回もさせるな。僕たちは一回でOKが出せるんだ!」と言って下さって。

●MC:
監督はどんな顔されてたんですか?

●片岡孝太郎さん:
あの撮影現場では、監督よりもトミーさんの存在のほうが大きかったものですからね。トミーさんが来るまでの撮影所と来てからの撮影所って、全く空気が違いますからね。

●MC:
天皇の姿がテレビや新聞で溢れ出ていますがどう思いますか?

●片岡孝太郎さん:
これから公開されてから、皆さんがどういうふうに観てくださるのか、正直怖いですよね。石投げられるのか、良かったわねと言ってもらえるのか。

●MC:
神か人間か、どちらかというと人間のほうが近いような気がしたのですが。

●片岡孝太郎さん:
陛下の戦時中の食事をどのようなものを召し上がっていたのかとか、2.26事件のときもどうにか静めたくて行きたいと訴えていらしたり、晩年のときは囲み取材のときに「普段はどのようなテレビをご覧になっているのですか?」という質問に対しては「視聴率の問題も御座いますので、お答えできません」と、優しくて暖かくて。
(陛下は)大変な苦しい時期ばかりで、楽しい時期があったのかな?
という思いをすると本当につらくて。自分なりに演じたつもりです。

●MC:
勘三郎さんには生前にこのお話しもされていたのですか?

●片岡孝太郎さん:
はい。撮影中も一度日本に戻ってきていて、髯生やしていた状態で、丸メガネもかけて行って、顔見て笑っていました。
「髯はやしてる!似てるよ、似てるよ!君!」と言って。
喜んでいただけました。

●MC:
映像の仕事の面白さはなんですか?

●片岡考太郎さん:
普段と全くメンバーが違うので。演技でも、この人はこういう芝居をするんだと間近で見られる。特に今回の場合はトミー・リー・ジョーンズという僕が子供の頃から観ている映画スターが目の前で演じる、それがどういう演技なのか?また、それが僕がやっている歌舞伎をベースとして勉強してきた演技が通用するのか?それを試す場所だと思うんですよね。そういう意味では、良いチャンスだと思うので、今後もお話しがあれば挑戦していきたいと思っています。

●MC;
最後に、ご挨拶をお願い致します。

●片岡孝太郎さん:
この映画は27日公開、松竹座の大歌舞伎は28日迄です。
是非、両方を観ていただけたら嬉しいなと思います。