沖縄・桜坂劇場で、あの『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の動員数を超え今年の動員
記録No.1となり、先日動員1万人を達成した『旅立ちの島唄〜十五の春〜』。
大ヒットを記念して、シネスイッチ銀座で6/2(日)、9(日)、16(日)、23(日)の4週連続で吉田康弘監督のトークイベントを開催。イベント2回目となった6/9(日)は、映画の舞台となる沖縄の離島・南大東島と、東京の離島・青ヶ島、ふたりの離島出身者を迎えてトークが行われた。

『旅立ちの島唄〜十五の春〜』の舞台となる南大東島は、那覇から約360キロ離れた絶海の孤島で、島には高校がない。子供達は中学卒業の十五の春に島を旅立ち、家族と離れて暮らさなければならない。映画は中学3年になった主人公の優奈と父、母との葛藤や絆を描いているが、実は東京にも高校がない離島は数々あり、伊豆諸島沖にある青ヶ島もそのひとつ。まさに『旅立ちの島唄〜十五の春〜』の主人公と同じ経験をしてきた南大東島出身の伊佐亮建さん、青ヶ島出身の菊池英春さんを迎えてのトークとなった。南大東島出身の伊佐さんは「島のみんなが家族のようで、みんな知り合い。映画を観ていて、近所のにーにー、おばあ、おじい、自分のおとうが出ていてめちゃくちゃ懐かしかったです」と、島の人たちにエキストラ出演で支えてもらった本作ならではの感想。また、映画の中に主人公の優奈が隣の島・北大東島の少年に淡い恋心を抱くシーンがあるが、青ヶ島出身の菊池さんは「僕も隣の島の女の子に恋していました(笑)」と離島らしい恋話。

他にも、物資を運ぶ船が悪天候のため何週間も島へ来られず食べ物に困ること、子供の頃の楽しみだった週刊コミック雑誌は1週遅れ、時には4週分まとめて一気読みなんてこともあったそうで、離島の生活のエピソードに観客は興味深く聞きいっていた。吉田監督からは、自身が撮影前に取材した南大東島の子供たちの話が紹介され、子供たちは進学のために島を離れることも最初はワクワクと期待でいっぱいと言っているが、旅立ちの日が迫ってくると段々ナーバスになる、そして印象的なのは、島を離れる自分の不安よりも、島へ残す家族のことが心配だと言うことだったと話した。現代人が忘れがちな家族の絆、相手を想う心が今も息づく南大東島だからつくれた映画。しかし同時に、離島出身者だけでなく親元を離れたことがある人々や子供を見送ったことがある人々なら、誰にでもこの想いは共感できるだろう。
南大東島と青ヶ島、ふたりの離島出身者のリアルな話を聞くことができ、映画の中の登場人物の置かれている状況や心境をより身近に感じることが出来る貴重なトークショーだった。

シネスイッチ銀座での『旅立ちの島唄〜十五の春〜』吉田康弘監督のトークは、6/16(日)23(日)の両日いずれも13:25の回上映後にも行われる。出演者の小林薫さんや大竹しのぶさんのお墨付きの人柄で、南大東島と映画への愛にあふれて大好評の吉田監督のトーク。これから映画を鑑賞する方も、もう一度見たい方も、ぜひお聞きのがしなく!