木下惠介の若き日の実話をもとに、母子の情愛と若き映画監督の挫折と再生を描いた物語。監督は、『クレヨンしんちゃん』シリーズ、『河童のクゥと夏休み』、『カラフル』などアニメーション作品で高い評価を得ている原恵一の初の実写作品です。公開初日という晴れの日に、木下惠介を演じた加瀬亮、惠介の母役の田中裕子、兄役のユースケ・サンタマリア、便利屋役の濱田岳、そして惠介の父役の斉木しげるといった豪華キャスト陣が集結し、めでたく大ヒット鏡割りを行いました!

実施日:6月1日(土)11:30〜12:00
場所:東劇(中央区築地4-1-1東劇ビル3F)
登壇者:加瀬亮、田中裕子、ユースケ・サンタマリア、濱田岳
    斉木しげる、原恵一監督
MC:八雲ふみね

MC:
それでは、早速登壇者の皆さんからご挨拶をお願い致します。
まずは、原恵一監督、お願い致します。

原監督:本日はお越しくださり、ありがとうございます。
皆さん、映画はいかがでしたでしょうか。

場内、拍手。
原監督:ありがとうございます。これ(拍手)を聞ければ一先ず安心です。

MC:
続きまして出演者の皆さんから、ご挨拶を頂きましょう。主人公、木下恵介(きのした・けいすけ)監督を演じられた加瀬亮さん、お願い致します。

加瀬様:
本日はありがとうございます。初日からたくさんの方に来ていただけて、嬉しいです。ずいぶんと宣伝をしてきたので、今日を迎えられて嬉しいです。

MC:
続いて惠介の母・たまを演じられた田中裕子さん、お願い致します。

田中様:
昨年の晩秋、関東の端々でロケをしまして、そのときは身に染みる寒さでしたが、半年過ぎた紫陽花の季節にこうして初日を迎えられて幸せです。
ありがとうございます。

MC:
惠介とともにリヤカーを引いて山越えをする便利屋役を演じられた濱田岳さん、お願い致します。

濱田様:
便利屋という訳を演じた濱田です。とても嬉しいです。
今日は宜しくお願いします。

MC:
惠介の父、木下周吉(きのした・しゅうきち)を演じられた斉木しげるさん、お願い致します。

斉木様:
私は木下惠介監督と同じ浜松出身で、子供の頃、遠州弁を話していました。
東京に来て方言は直しましたが、濱田くんの演技を見て、思い出しました。
郷土出身の監督にまつわる映画に出演できて嬉しいです。

MC:
では最後に、惠介の兄、木下敏三(きのした・としぞう)を演じられたユースケ・サンタマリアさん、お願い致します。

ユースケ様:
今日はお足下の悪い中…ってとても良い天気でしたね。(笑)
この映画は原監督の木下愛に溢れた作品です。
ロケ中は色々と大変でしたが、今では良い思い出ですし、現場の雰囲気も良くてとても楽しくて…そういえばみんなで「この映画のことをずっと忘れないように、身体のどこかに“道”ってタトゥーを入れようぜ」って…確か加瀬くんが言い出したのかな?田中さんにもタトゥーを入れさせるの!?
と思いつつ、僕は入れました。濱田くんは“道”ではなく、小さいスヌーピーのタトゥーを…
って何の話をしているんでしたっけ。(笑)
この前の完成披露ではバカなことが言えなかったので、そのストレスが今爆発してるのです。この映画が自分たちの理想を更に超える映画になって本当に嬉しいです。

MC:
監督、今回初めて実写映画に挑戦しました。初日をこのように迎えられて、撮影から今日までを振り返っていかがでしょう?
楽しかったですか?苦しかったですか?

原監督:(お答えください)
最初は脚本だけだったので、自分が監督することになり、実際に撮影が始まったのも、全てが信じられないことでした。
でも、自分自身でも思ってなかったくらいに素晴らしい映画ができました。敬愛する木下監督の映画だからやったことで、成功するかどうかわからなかったけれど、キャスト・スタッフの皆さんのおかげもあって、本当にやってよかったと思っています。
嘘じゃありませんよ。

ユースケさん:
監督、そこは本当であってくださいよ!

MC:
この映画では、夏の設定なのに撮影時は冬だったということで、皆さん薄着で、寒い中、リヤカーを引くのは相当辛かったのではないですか?
加瀬さん、ユースケさん、濱田さんいかがでしたか?

ユースケさん:
僕はホカロンを20個貼っていました。“ユースケ貼り”という名がついたくらいです。撮影中、ホカロンがちょうど落ちて、カメラに少し写ってしまったりしました。(笑)

監督:
そこは見切れていたので大丈夫ですよ。(笑)

ユースケさん:
斉木さんはホカロン全く貼らなかったですよね。
ホカロンなしに、浴衣一枚で!

斉木さん:
最初のうちは寒さを痩せ我慢していたけれど、だんだん無理になってきて…
その後マネージャーに八つ当たりしました。(笑)
でも私、仕事だと風邪ひかないんですよ。暇だと病気しちゃうんです。
だから仕事ください。(笑)

MC:加瀬さんはいかがでしたか?

加瀬さん:僕も寒かったですけど、ユースケさんは大げさすぎ!(笑)

ユースケさん:
いやいや…それに田中さんも寒かったですよね。

田中さん:
寒かったけれど、私は寝たきりの役で、お布団とか用意してもらったので、ラッキーって思ってました。(笑)

ユースケさん:
でも昔の重い布団だけだから、そんな暖かくなかったんじゃないですか?
田中さん:
みんなに比べたら超ラッキーですよ!(笑)

MC:濱田さんはいかがでしたか?

濱田さん:
実は便利屋がちゃっかり者な役だったので、ゴム長靴とか履けたし…むしろ汗ばむくらいだったんです。(笑)
でも先輩たちの手前そんなこと言えず、「さっみぃー」とか言って合わせてました。(笑)

ユースケ:
そのこと僕たち完成披露まで知らなかったんですよ!
まさか汗ばんでただなんて!

MC:
さて、木下監督は浜松のご出身ということで、今回、方言の「遠州弁(えんしゅうべん)」が使われてますが、斉木さん、遠州弁は初めてですか?どのような方法で覚えるのでしょう?

斉木さん:
18歳まで浜松にいたので、その頃を思い出して演技しました。
というか本当に濱田くんが遠州弁上手くて…天才ですよ!
小学校の頃、友達が濱田くんと同じ喋り方をしてました。
イントネーションが見事なんです。
映画の最後に、木下一家が朝日に拝むシーンがあって、そのときの加瀬くんの表情が木下惠介監督に見えて…その加瀬くんの演技と濱田くんの遠州弁が本当に素晴らしいですね。

ユースケさん:
僕は!?

斉木さん:
ユースケくんはNG多かったでしょ?(笑)

ユースケさん:
NGあまりないんですよ!僕は!
それに、実は僕、斉木さんのものまねできるんですから!

ユースケさん、斉木さんのものまね:
「無理だいねぇ〜」

ユースケさん:
似てるでしょ?「無理だいねぇ〜」

斉木:
俺、自分の声わからないからな。(笑)

MC:
そして、映画をご覧になった方々から、さまざななシーンが語られております。澤田屋に到着した惠介が、母・たまの顔についた泥を丁寧に拭うシーンがとても印象的でした。
田中さん、あのシーンについては監督と話し合われたのでしょうか?

田中さん:
顔を拭ってもらう際に、「すまない」という気持ちではなくて、当たり前にやってもらっているような表情をしてください、と監督に言われました。

MC:だからあのような毅然とした表情になったのでしょうか。

田中さん:
そのとき冷たい風が吹いてたから、ああいう表情になったのかもしれませんが。(笑)

〜鏡割り〜

MC:
ありがとうございました! さて、登壇者の皆さまにはお酒が配られております。この映画は、木下惠介生誕100年記念映画でもあります。木下惠介監督へ、献杯をしたく存じます。ここ「東劇(とうげき)」は、かつて東京劇場と呼ばれておりました。実は木下惠介が監督し、日本初のカラー映画である、「カルメン故郷に帰る」が初めて上映されたゆかりの場所です。昭和26年3月20日に完成記念特別試写会が行われ、翌3月21日から封切、初日の興行成績が、当時の日本映画の最高記録を塗り替えるという歴史的大ヒット作品となりました。戦時下において自由に作品が取れなかった木下惠介監督が、再び映画を志し、国と映画界の期待を背負って、成功を収めた「はじまりの地」、日本映画の歴史を変えた場所と言っても過言ではありません。では原監督から、木下惠介監督にむけて、お言葉と献杯のご発声をお願い致します。

原監督:
こういう歴史のある、木下惠介監督にゆかりのある劇場で、こうして初日を迎えられたことに感動しています。
木下監督の作品を常日頃から「好きだ、好きだ」と言っていたおかげでこの仕事をいただけて感謝しています。
今では、「木下監督に頂いた仕事ではないか」と思えるくらいです。
是非皆さん、「はじまりのみち」を何度も見てください。
一回で満足できる軟な映画にはしてません!
そして、木下監督の映画にも是非興味を持って、見ていただけたら嬉しいです。
献杯!

全員:
「献杯!」 

〜フォトセッション〜
MC:
では、最後に代表して加瀬さんに本日ご来場のお客様に一言メッセージをお願い致します。
加瀬さん:
この映画を見ていただいて、「はじまりのみち」が広がっていくこと、木下監督の映画が再び多くの方に見られること、そして新旧の映画の発展を期待して、終わりたいと思います。
本日はありがとうございました。