〜『二十四の瞳』の児童役のみなさま登壇〜

MC:
それでは早速ですが、皆さまに、映画『はじまりのみち』をご覧になっての感想をお聞きしたいと思います。岡田磯吉役を演じられました郷古秀樹(ごうこ・ひでき)さん、お願い致します。
※背景のスクリーンに『二十四の瞳』出演時のそれぞれのお写真を投影。

郷古秀樹さん:
原監督が木下惠介監督を本当に好きなんだという事が改めて感じられました。『二十四の瞳』がオーバーラップされるシーンもたくさんありました。

MC:
続いて分教場時代の香川マスノ役を演じられた斎藤裕子さん、お願い致します。

斎藤裕子さん:
見させていただいて、木下監督を好きなんだなという描写が随所に見られまして、木下監督の事が思い出されて、少し涙ぐんでしまいました。

MC:
続いて、本校時代の香川マスノ役を演じられました柏谷シサ子(かしわや・しさこ)さん、お願い致します。

柏谷さん:
試写会を見て、先生の原点はこういう所なんだなと思いました。監督もいらっしゃる「瞳の会」をやっている時に、母と一緒に出席して、監督が私の母に“元気そうだね”と声をかけて下さって、いつも厳しくて恐いイメージだったが、その時に優しい方なんだなと感じました。映画を見てそういった監督の優しい原点を見たような気がしました。また、自分の母のことも同時に思い出されました。とっても優しい監督だったんだなと映画を見て感じました。

MC:
続いて、本校時代の川本松江役を演じられました和田貞子(わだ・ていこ)さん、お願い致します。

和田貞子さん:
今日の映画の感想は、親と子の愛情っていうものがものすごく心に響きました。素晴らしかったです。

MC:
続いて、分教場時代の木下富士子役を演じられました成瀬いく子(なるせ・いくこ)さん、お願い致します。

成瀬いく子さん:
やはり、数々の映画を撮られた木下先生の原点がわかったような気がして感動しました。時間が出来たら、木下先生の作品を再度見直したいなと思いました。また母の言葉の影響力というものが印象的で、私も孫の面倒を見ているので気を引き締めなければいけないなと感じました。

MC:
続いて、分教場時代の竹下竹一役を演じられました渡辺五雄(わたなべ・ゆきお)さん、お願い致します。

渡辺五雄さん:
映画の中、リヤカーを運んでいた時代は、僕の生まれた頃。あの頃に木下先生はご家族のこういう苦労をされていたのだなと、そういった経験、思いから映画を作られていたのだなと感じました。

MC:
続いて、本校時代の竹下竹一役を演じられました渡辺四朗(わたなべ・しろう)さん、お願い致します。

渡辺四朗様:
『はじまりのみち』が、どんな映画になっているか非常に興味があったのですが、随所に木下監督の素晴らしさが出ていて、改めて偉大さを感じました。あのようなまとめ方をされた原監督も素晴らしいなと思いました。ひょっとしたら何十年後に「原恵一物語」というのが出来るのではないか(笑)と思うくらい、本当に素晴らしいまとめ方でした。

MC:
続いて、分教場時代の西口ミサ子役を演じられました保坂泰代(ほさか・やすよ)さん、お願い致します。

保坂泰代様:
撮影中はとても厳しい方でした。“なんで知らないおじちゃんから怒られなきゃいけないの?冷たい人なんだな”と当時は思っていたのですが、木下先生は弱い人の目線からの作品作りをされている方で、それは先生自身が非常に優しい方だったからできた事だったのだなと映画を見て思いました。

MC:
ありがとうございます。続いて、本校時代の森岡正役を演じられました寺下隆章(てらした・たかあき)さん、お願い致します。

寺下隆章様:
今日観せて頂いた映画は、我々が(『二十四の瞳』を)撮った7〜8年前の話なので、当時の木下監督の顔とだぶらせて見ていました。撮影中は厳しい方でしたね。撮影が終わってからも何度かお会いする機会もあったのですが、その時は非常に優しい顔をされていました。映画を観てなるほどなと思いました。

MC:
ありがとうございました。原監督、皆様の感想をお聞きになっていかがでしょうか?

原監督:
僕自身は、みなさんをスクリーンで何度も見ているので、同じ檀上に並んでいるのは非常に不思議な感じがしています。僕は非常にバカな事に、兄弟で出られているという事を知らなくて、撮影のために子供が成長するのを5年間待っていたのか!とんでもない作り方をしたのだなと勘違いしていました(笑)演技経験が無い子供たちを出演させているのも木下監督の挑戦だったのだなと思います。『はじまりのみち』に宮?さんと一緒に子供達が歩くシーンでも、子供たちが中々言う事を聞かなくて大変でしたからね。

MC:
ありがとうございました。それでは引き続きいくつか質問をさせて頂ければと思います。『はじまりのみち』をご覧頂いても分かるように、木下惠介監督は母親への愛情、弱き者への愛情、そして映画への愛情に満ちた人でした。木下惠介監督との思い出などありましたら教えて頂きたいのですが、渡辺さん、お願いできますでしょうか?

渡辺五雄さん:
(撮影時は)6〜7歳の頃でしたが、しかるべきタイミングでお菓子の差し入れを入れられていたりとか、我々12人の子供たちにも優しい気配り、配慮をして下さる方でした。もちろん本番時は真剣な表情をされていましたけれど。でもお兄さんお姉さん達には、もう少し厳しかったかもしれませんね(笑)

MC:
本校時代のみなさんはいかがでしたか?

和田貞子さん:
何回も繰り返し撮影を回されたという思い出はありましたね。私が下手過ぎたというのもありますが(笑)

MC:
『二十四の瞳』では高峰秀子さん演じる大石先生の優しく子供達を見守る姿が本当に印象的でした。高峰秀子さんはどのような方だったのでしょうか。当時の高峰秀子さんとの思い出などありましたら教えて頂きたいのですが、和田さん、お願いできますでしょうか?

和田貞子様:
とてもお優しい方だったように思います、撮影でご一緒して緊張して汗を掻いたのを覚えています。

〜フォトセッション〜

MC:
ありがとうございました。では、最後に原監督から代表してこれからご来場のお客様に一言メッセージをお願いします。

原監督:
本日はありがとうございました。気に入ってくださった方は、“正直に”どなたかにお勧め頂ければと思います。僕は、今回取材やキャンペーンの際に『二十四の瞳』の木下惠介だけではない、もっと他にも木下惠介監督は良い作品を撮っているという事を割と言っているのですが、『二十四の瞳』ももちろん素晴らしいです。木下監督という人は、僕らが到底たどり着けないような色々な高みを見せてくれる監督、それぐらい見上げるような素晴らしい作品を作っている監督です。
僕らは一歩一歩そこに向かっていくしかないなと思って、今回の『はじまりのみち』も撮らせて頂きました。この作品が皆さんの心にも残れば嬉しいです。今日はありがとうございました。