『二十四の瞳』『喜びも悲しみも幾歳月』など数々のヒット作を生み出した映画監督、木下惠介の生誕100年記念映画『はじまりのみち』が、いよいよ6月1日より公開となります。木下惠介の若き日の実話をもとに、母子の情愛と若き映画監督の挫折と再生を描いた物語。監督は、『クレヨンしんちゃん』シリーズ、『河童のクゥと夏休み』、『カラフル』などアニメーション作品で高い評価を得ている原恵一。初の実写作品です。

この度、本作の完成披露試写会舞台挨拶に、木下惠介を演じた加瀬亮、惠介の母役の田中裕子、そして濱田岳、ユースケ・サンタマリアといった豪華キャスト陣が登壇し、映画撮影秘話やエピソードなどを語りました。また、特別ゲストとして、木下惠介監督の実弟にして、木下惠介作品の音楽を長年務めてこられた木下忠司氏(97)も登壇し、記念すべき1日となりました。

【舞台挨拶概要】
実施日:5月23日(木)19:00〜
場所:丸の内ピカデリー2(東京都千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン9F)
登壇者:加瀬亮、田中裕子、濱田岳、ユースケ・サンタマリア、原恵一監督 
ゲスト:木下忠司(木下惠介の実弟)

【舞台挨拶内容抜粋】
MC:
それでは、登壇者の皆さんからご挨拶をお願いします。

原監督:
本日は大勢お集まり頂き、ありがとうございます。初めて実写に挑戦しました。あちこちで言っているのですが、良いものが出来ました。楽しんでいってください。

加瀬:
こんにちは。今日は木下組ゆかりの方も来ていると聞いて緊張しています。よろしくお願いします。

田中:
昨年の秋撮影でしたが、すでにもう初夏を迎えようとしています。
今日はお越し下さり、みなさんありがとうございます。

濱田:
便利屋という役です。意外と出ています。楽しんでいってください。

ユースケ:
(拍手がほとんどなく)俺の時は拍手ないんだ(笑)今回、この映画館マリオン、2000席のところ、4800人の方にお越しいただいています。3階席まで一杯です。(全て冗談)変な空気になってしまいすみません。
うちの母は僕の仕事を全部喜んでくれるのだけど、普通に俺がやっている仕事とか抜きで、母に楽しんでもらえる映画に出られた事は、とても誇りだし、光栄です。いつもみたいにバカな事言っちゃいけないと自分を押えています(笑)軽く鳥肌が立つぐらいのすごい映画です。楽しんでいってください。

MC:
(原監督へ)
・本作を監督することになった経緯と、今回が初の実写映画ということで、実際に手がけられた感想をお聞かせいただけますでしょうか。

原監督:
アニメーションのキャリアはそれなりだけど、実写は別物と思って臨みました。思った通り、やってみると仕事のやり方が全然違いました。一番困ったのは、アニメーションにはない、皆が一斉に同じ方向に向かって作業する事でした。日々、目の前のことをこなすので精いっぱい。尻にムチ入れられている感覚で無理やり走らされているような感覚でした(笑)そのおかげで良いものが出来たので感謝しています。

MC:
(加瀬さんへ)
・木下惠介監督役を演じるにあたって、監督と話し合われたことはありますでしょうか。

加瀬さん:
たくさん話し合いました。木下監督についてもあまり知らなかったので勉強する事から始めました。フィクションなので原監督に、似せる必要があるのかどうか話して、実際の監督のイメージは横に置いておいて、姿勢が伝われば良いという形で臨みました。

MC:
共感する部分はありましたか?

加瀬:シンプルに話を聞くと、小さな美談に聞こえるが、これも監督と最初に話し合ったのですが、ただの美談にしたくない、人が立ち止まっている時だし、良い面ばかりではないだろうと。色んな葛藤の中、歩いていたのだろうと思います。自分の人生だけではなくて、誰もが当てはまるというのが映画に表れていれば良いなと願います。

母親役の田中裕子さんとは初共演と伺っておりますが、共演されていかがでしたか。

加瀬さん:
何か、僕がいうのはおこがましいです。一緒に芝居していて楽でした。楽というと語弊があるかもしれないけれど、向かい合って芝居をしているとこっちが何も準備していなくても自然と気持ちが流れてくるような感じでした。

MC:
(田中さんへ)
リヤカーでの移動や、横になっているなど体を動かさないシーンが多く、表情や小さな仕種で感情の表現をしなければならなかったのではないかと思います。苦労された点などはありますでしょうか。

田中さん:
私にとってはとても贅沢な良い役でした。まず、セリフが少ない事(笑)。
リヤカーで男の子に引っ張ってもらって、リヤカーから見た風景は今までに見た事のないものでした。大きな木や、空の雲、風、夜の月、格別な景色を見せて頂き、この上なく有難かったです。

MC:
2人の息子役の加瀬さん、ユースケさんとの共演はいかがでしたか。

田中さん:
二人ともとってもハニカミ屋さん。ハニカんでる顔がとってもかわいかったです。お兄さんのユースケさんは、色々な所で細やかに心砕いてくれて、その場を楽しくしてくれました。とても居心地が良くて退屈しなかったです。加瀬さんは、顔を見ていると、自然に笑えるし、泣いてるとこちらも泣いてしまう。体現されている静けさにひたらせてもらうのは、とても居心地が良かったです。

MC:
(濱田さんへ)
・原監督のアニメ作品『河童のクゥと夏休み』がお好きだと聞きました。
今回、原監督とご一緒されていかがでしたか。

濱田さん:
素直に嬉しかったです。監督から便利屋役の画コンテ見せてもらった時は嬉しくて持って帰りました。便利屋がものすごい身体能力だったので、監督と便利屋ってカッパのクゥ(原監督の作品のキャラクター)じゃないかという話をしていて、後半はカッパの気持ちでやってました(笑)

・加瀬さん、ユースケさんとの3人の掛け合いのシーンが印象的でした。
実際の撮影現場での3人の雰囲気はどうでしたか?どのような話をされていたのでしょうか?

濱田さん:
とっても楽しくて、一番下っ端だけどいやすかったし、毎シーン勉強になりました。みんな気さくに話してくれて楽しかったです。