『旅立ちの島唄〜十五の春〜』(配給:ビターズ・エンド)の初日舞台挨拶が、本日5/18(土)にシネスイッチ銀座で行われました。
上映前の舞台挨拶に、本作が映画初主演となる三吉彩花さん、父親役の小林薫さん、そして吉田康弘監督が登壇しました。

初主演の舞台挨拶に「緊張でドキドキ」の三吉彩花が作品への想いと感謝の気持ちをこめた手紙を朗読!
小林薫は自らブレンドした世界にひとつの“泡盛”を吉田監督へサプライズプレゼント!

沖縄本島から360キロ離れた離島・南大東島を舞台にした本作は、先行公開されている沖縄で、劇場記録更新の大ヒット。いよいよ今日から東京はじめ全国での上映が始まるとあって、劇場には朝早くから多数の観客が列をつくった。映画の主題歌であるBEGINの『春にゴンドラ』の優しいメロディーが流れる場内に、主演の三吉彩花、父親役の小林薫、そして吉田康弘監督が登壇すると、満員の客席は温かい拍手でいっぱいに。ここで、壇上へと続く階段で三吉がつまづくハプニング。すぐに優しくフォローする小林。劇中で交わす言葉は少なくても互いを思いやる父娘を演じた2人の呼吸は映画そのままだ。

まず最初に、初日を迎えての気持ちを聞かれると、吉田監督は「企画から約2年、今日を迎えられて沖縄のスタッフ・キャストも喜んでくれると思います」。本作が初主演となる三吉は「ドキドキと緊張がつまっています。この映画がたくさんの人に届いてほしい気持ちでいっぱいです」と初々しく一言。小林は「撮影からもう1年経ってるんですよね。だから最初は他人行儀だったけれど、(何度かのプロモーションを経て)今ではすっかり身内の感覚、この映画が本当に成功したら良いなと、親心のように思っています」と映画の中で島を離れる娘を想う父のように映画への想いを語った。南大東島には高校がないため子供たちは進学のために十五歳で島を離れなければならない。三吉演じる主人公の優奈は中学3年になり、2人暮らしの父を置いて本島へ旅立つことに悩む……。そんな主人公・優奈と同じ15歳で撮影に臨んだ三吉は「この映画を経験して、家族や支えてくれる人たちを今まで以上に大切にしようと思うようになりました」と本作に主演したことでの心境の変化を話した。

そしてトークの中盤には、なんと名優・小林薫から吉田監督へのサプライズ!昨夜、自身でブレンドしたという泡盛を「監督へお疲れさまということでお持ちしました」とプレゼント。司会にどんなお酒なのかを尋ねられると「語ってもいいですか?」と小林がこだわりのオリジナルブレンドについて説明。マンゴーの酵母で作られた泡盛と古酒(クースー)をブレンドした、とっても貴重な泡盛とのこと。サプライズに感激する吉田監督に小林は、「吉田監督はスタッフ・キャストから愛され慕われる人間力、そして人柄。これからも映画を撮り続けてほしいです」とエールを贈った。

つづいて、三吉が、映画に対する思いをこめて手紙を書いて来たことを伝えると、それを知らされていなかった監督や小林は「おおっ」と驚いた様子。読み上げようと手紙を手にしたものの「すごい、緊張する!」と胸に手を当てる三吉に、監督が「大丈夫?」と気遣い、舞台だけでなく場内の観客も初主演の大役を務めた16歳の少女を応援するムードに。心を落ち着けて手紙を読み始める三吉。「出演のお話をいただいた時、役者としてキャリアも少なく未熟だった私は、不安な気持ちでいっぱいでした。三線、島唄、方言。初主演のプレッシャー。何度逃げ出したくなったかわかりません。でも今思うと、すべてが私を成長させてくれました。吉田監督や小林薫さんはじめ共演者の方々、すべてのスタッフ、そして今日いらして下さったお客様にとても感謝しています。」と思いを伝えると、まさに女優としての新たな旅立ちを迎えた三吉に客席から拍手がまきおこった。

最後に吉田監督が「この映画のように家族と離れて暮らす方は、離島の方だけでなくたくさんいらっしゃいますが、物理的な距離と心の距離は必ずしもイコールではないというメッセージを込めた映画です。南大東島のゆったりとした時間と島の人々の表情を見て下さい」と観客にメッセージ。かつて日本映画の名作が描いてきた大切な家族の想いを今に甦らせ、「今年いちばん泣ける映画」と話題の本作にふさわしい、温かな舞台挨拶となった。