世界的アーティスト村上隆初監督の実写+CGによるファンタジー作品『めめめのくらげ』。CGだけで1000カット超と、日本映画の枠を超えたプロジェクトでありながら、少年と不思議な生き物“ふれんど”との友情の絆を描く感動作が、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他にて絶賛公開中です。

公開3週目を迎え、村上隆監督とかねてから親交の深い、蜷川実花さんとトークショーを実施いたしました。写真家、そして大ヒット作『へルター・スケルター』など映画監督としても活躍中の蜷川さんは、本作『めめめのくらげ』に以下の感想コメントもお寄せいただいております。

゛まっすぐな強さと、愛と勇気を信じた優しい作品。村上隆さんってこんないい人なんだ?と正直驚きました。
映画って監督のすべてが出る。本当に全部全部でてしまう。

村上さんのメッセージ「暗闇の世界を闇雲に生きろ」120パーセント共感し、うけとりました!”
本業は、ともに世界的アーティストでありながら、映画監督に挑戦するお二人。お互いの映画作品に関する感想や絵画や写真と映画の制作の違いなどお話いただきました。

MC:お二人は共にアーティストであり、映画監督でありますが、お二人の関係をお教えいただけますか?
村上さん:マエストロですね(笑)元気のいいカメラマンで、日本を自由自在にクリエイティブ活動されている作家という印象でしたが、蜷川さんの『ヘルタースケルター』の試写から100%感服しました。実写でエヴァンゲリオンを見たようなショッキングな感覚でした。観念的でメッセージ性があり、雰囲気に打ちのめされる。尊敬しています。
蜷川さん:GEISAIの審査員に呼んでいただいて、村上さんのことは大尊敬しています。ベルサイユに村上さんの作品を見るためだけに2泊3日で行ったこともあります。褒めていただいてすごく嬉しいです。

MC:蜷川さん、映画をご覧いただき「120%共感し受け取りました」という素敵なメッセージをお寄せいただいております。お子さんとご覧になったとお聞きしましたが、めめめのくらげはいかがでしたでしょうか?
蜷川さん:劇場で2回見ました。昨日も見て、あるシーンで息子が物語の中に入り込んで号泣したんです。こういう体験をしたことが初めてで、その姿を見た私も号泣しました(笑)。映画は監督が何を考えているのかが出てくるので、この映画を見て、村上さん超いい人で、ステキな人だな〜と思いました。

MC:蜷川さんのご感想を伺って、村上監督、いかがですか?
村上さん:一作品目は全部をださないといけないと監督補に言われ、twitterでは全部出し過ぎと言われるぐらいです。子供が映画の世界に入り、その世界に疑問を持ってくれることが一番のゴールだったので、すごく有難い言葉です。

MC:蜷川さんもまた、「ヘルタースケルター」など、映画監督にもチャレンジされていますが、当初監督業をはじめられた時、苦しかったことや悩んだ事はあったのでしょうか?
蜷川さん:壁だらけでした。『さくらん』の世界は通常何倍も大変と周りからも言われていました。映画を撮ることは、諦めの連続ですね。こだわればキリがないので。

MC:村上監督も、本業と違って、映画撮影の現場はいろいろご苦労されたと聞いております。完成して今だから言える苦労話などありましたら教えて下さい。
村上さん:映画は、既成概念が強い。現代美術に入った時にあたった壁と似ています。僕現場で「よ〜い、スタート!!」が言えないんですよね。監督だからと押されるとどんどんモニターの後ろに閉じこもってしまったり。思ったより軋轢が強かったです。
蜷川さん:私も、スタート!が言えなかった・・・。ちょっと恥ずかしかったのもあって、ヘルタースケルターでようやく一回言えたくらいですね。

MC:蜷川さん、この『めめめのくらげ』はシリーズ化していくという事ですが、蜷川さんの次回作などきまっておられるのでしょうか?個人的には蜷川さんが創る『めめめのくらげ』の様なCG作品も見てみたいですが。
蜷川さん:やりたいですね。映画を撮るには、全勢力と貯金が必要。これだと思えるものに今は時間がかかっています。私は現場でほとんど作り込んでしまうので、通常だとできないCG作品もやってみたいなと思いました。

MC:村上さんは、これまでの蜷川さんの作品をご覧になって、どのような印象を持たれていますか?また、『めめめのくらげ』の際にどこか参考にされたことなどあったりしますか?
村上さん:『ヘルタースケルター』構造ですね。唯我独尊の体制でいくこと。蜷川さんは、映画の文法をかり受けてメッセージを伝えています。これがいい!と思いました。『ヘルタースケルター』公開後、すぐに次回作をつくりましょうと言ったけど、実際に自分も映画を作ってみて本当に精神的に大変だと分かりましたね。2も撮影は終わってますが、腰が重いです(笑)

MC:これから映画をご覧になる皆様へ、蜷川さんからはお勧めのポイントを、監督からはメッセージをお願いいたします。
蜷川さん:頭を真っ白にして観ると、気持ちが良くて元気になりました。そのまま身を任せて楽しんで下さい。
村上さん:僕は編集から200回ぐらい見て100回は泣いています。号泣ポイントがみなさんと被ることを願っています。