5 月 11 日、「CO2 東京上映展 2013」がオーディトリウム渋谷にて初日を迎え、今回の上映展で上映する3作品の監督、『Dressing UP』の安川有果、『治療休暇』の梅澤和寛、『蒼白者 A Pale Woman』の常本琢招が登壇して挨拶を行った。

そのあと、この日の上映作品『Dressing UP』の主演、祷キララちゃんが登場。
キララちゃんは、柴田剛『堀川中立売』、神聖かまってちゃん PV などで知る人ぞ知る中学生の女の子。

続けて監督の安川有果さんよりキララちゃんの大ファンだというはるかぜちゃん、こと春名風花さんをシークレットゲストに予定していたが、事情により来れなくなったことを告げ、そしてその代わりにはるかぜちゃんからの手紙を代読する一場面がありました。
はるかぜちゃんが、ネット上でキララちゃんを見つけ、検索し、この子に会いたいと思い続けて、スクリーンで彼女を観ることができた感激を、物語仕立てで語られる言葉に、会場は驚きのため息が上がりました。

—————–以下、手紙(全文)

荘厳なあなたへ。
初めてあなたを見たのは、ペットボトルの山の中。
偶然ネットで見かけた、廃墟とペットボトルとひとりの少女。
みすぼらしい景色の中、見えないものが見えるような顔をして
荘厳にたたずむあなたがいた。
それはページを閉じ一日たち二日たち、三日たっても忘れられない景色になった。
ふとしたことで蘇り、たまらなくなってあなたの名前を捜した。
いのりキララさん。9歳。
えー。9歳!?ぼくと変わらない。
で、何だこの凄い名前。本名。
えー。本名?!
でも確かに、この存在感にはこの名前しかありえない気がする。
えー。演技したことないの!プロじゃないの?!
それでこの表情なの!?
見つける情報のすべて に驚いて、夢中で、「いのりキララ」を検索した。
いのり、という漢字がうまく変換できなかったので、
いちいちコピーしては貼りつけた。
けっこう大変だったけど、なんの特にもならない作業だけど、とにかく夢中だった。
でも、あまりにも情報は少なく、ただ、毎日検索しては、ただ、ただイライラした。

それからしばらくして、あるPVを見つけた。
尊敬する芸能界の先輩、中川翔子さんのコンサートで出会ったカメラマンの方が推している「神聖かま
ってちゃん」というバンドのPV。
その人が神聖かまってちゃんはいいよ!いいよ!と言っているので、何と無くそれを見た。
つきあい、ってやつですね。
心臓が止まりそうになった。
あの子がいる!!!
いのり キララ!!!
えー!
えー!
えー!
神聖かまってちゃんへの関心はどこかへ行ってしまったけれど
ぼくは、新しいいのりキララ!!!の情報を見つけたことに歓喜した。
それは震えるほどかっこよかった。すごい。
この人なら、ぼくが大好きな、ひぐらしがなく頃にの実写化に出ても納得できる。
実際の登場人物は子どもなんだけど、残虐な場面があるからと、キャストが全員大きい人に変更された
あの作品。
彼女ならこの年でも、余裕じゃん!
それからまたずっと情報はなかった。
いのりキララ、が結局、何者なのかわからないまま、
ぼくはダラダラと過ごした。
映画には出ていても、子役じゃないらしい。
ふうん。
普通の子どもとして普通な日々 を送っているんだ。
この空のどこかで。
ちぇー。つまんない。
だれかあの子を撮ってよ。
天才子役とかどうでもいいよ。小さいのにごあいさつが上手い?
可愛い?子どもらしい?
あのー。そんなのどうでもいいよ。
あの子の血まみれの立ち姿みて欲しいよ!!!

そして今、いのりキララさん、は
ぼくのいのり叶って、東京に来た。
映画の主演女優として。
ぼくの知らない間になにがあったんだろう。
でも、誰かがあの子を撮ったんだ。
やったー。
あわてて検索。
あれ?
あれだけ検索しても出なかった、いのりキララ、という名前が
いつの間にか、
パソコンの予測変換で、勝手に表示されるように、なっていた。

ぉぉぉおー。
iPhone はまだみたいだけれど、それも時間の問題だとおもう。
キララさん、新作の公開おめでとうございます。
今日はお祝いに行けなくてごめんなさい。
でも、ずっと待っていました。
あなたが何者か分からないときから、ずっと好きでした。
きょう東京で、ぼくと同じようにあなたの荘厳な存在感に初めて触れる人がたくさんあらわれる奇跡を、
ぼくはうれしく思います。
これからもそのクールなまなざしで、スクリーンを跳ね回ってください。
スクリーンでの、あなたの活躍をこれからも心からいのっています。

はるなふうか

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キララちゃんは、「この作品は私の初めての主演作品であり、とても大切にしている作品です。ぜひ東京の皆さんにも観て欲しい」と中学生ながらしっかりした言葉遣いでお客さんにご挨拶しました。

「CO2 東京上映展 2013」は 5/17(金)まで黒田勇樹、能町みね子、キム・コッビなど連日多彩なゲストを招き開催中。東京では今後観ることの限られた作品ばかりなので、ぜひこの機会に足を運んでみては如何でしょうか?

【CO2 東京上映展 2013】(2013/5/11〜5/17)
http://co2tokyo2013.jimdo.com/

5/12(日) 『治療休暇』上映後22:35より
 登壇者:黒田勇樹(ハイパーメディアフリーター)、梅澤和寛(「治療休暇」監督)

5/13(月) 『Dressing UP』上映後22:20より
 登壇者:沖島勲(映画監督)、安川有果
 ※沖島勲最新監督作『WHO IS THAT MAN!? あの男は誰だ!?』のメイキング映像の上映あり。

5/14日(火) 『治療休暇』上映後22:35より
 登壇者:月亭太遊(「治療休暇」主演)、中川晴樹(「治療休暇」出演)、梅澤和寛、能町みね子(漫画家)

5/15(水) 『Dressing UP』上映後22:20より
 登壇者:山下敦弘(映画監督)、安川有果、梅澤和寛、常本琢招(「蒼白者A Pale Woman」監督)

5/16(木) 『治療休暇』上映後22:35より
 登壇者:いまおかしんじ(映画監督)、梅澤和寛

5/17(金) 『蒼白者A Pale Woman』上映前21:10より
 登壇者:キム・コッビ(俳優)、常本琢招