世界的アーティスト村上隆初監督の実写+CGによるファンタジー作品『めめめのくらげ』が、4月26日(金)公開初日を迎え、TOHOシネマズ六本木ヒルズで舞台挨拶を行った。初日公開の安堵からか本作のメインキャラクターであるくらげ坊の帽子をかぶり、笑いを誘いながら村上隆監督が登場。監督補を務めた西村喜廣も駆けつけ、本作を製作することにあたった経緯を語った。

はじめに、村上が本作を撮るきっかけになったのが、普段はスプラッタームービーなどを製作していることでも知られている、今回の監督補の西村だったことを明かす。「クリスマスの日に『映画を撮ってください』と恋人を口説くような感じで言うんです。それから震災があり、色々なプロジェクトがストップし、当時僕が進めていた別の映画製作がなくなってしまったのですが、その時西村さんが『こういう時期だからいいスタッフ集められますよ』と言われて。結局は全員西村さんのスタッフだったんですが(笑)」。そして、西村の「最初に作るなら自由に作った方がいい」というアドバイスのもと、本作の製作がスタートした。

実写とCGを融合した本作は、少年と不思議な生き物“ふれんど”との友情の絆を描く感動作。当初は、低予算でマペットを使い製作を考えていたが、「現代ではリアリティがないのでは」という思いがあり、CGだけで1000カット超と、日本映画の枠を超えたプロジェクトになった。スタッフはのべ500人、CGスタッフだけで350人も本作に関わっている。当初は『チャイルド・プレイ』を作りたいと考えてた村上さんの意向で、撮影がはじまる。しかし、最終的には実際「全部CGになった」「その模型は現在六本木ヒルズで実施しているめめめのくらげ展で展示されている」と暴露。「1カットだけくらげ坊の背中が残ってる!」と思い出したかのように二人で声を揃えていた。「設計図は変わっていない」という村上は、当初よりもCGにすることでクオリティが高くなったことを断言している。

撮影での苦労は絶えなかったようで、「西村さんがアイデアをまとめてラストもアドバイスしてくれた。僕は最後逆襲したけど(笑)」。という村上に対し、「村上さんは『お昼ご飯後の魔の2時間』がある」と西村が暴露。「撮影中でもお昼の後は寝るんですよ。その2時間をどう食い止めるかが大変だった」と秘話を明かした。「阿吽の呼吸で作り上げました」と村上が丸くおさめ、仲睦まじい姿をみせていた。キャストに対しては、飴と鞭を二人で使い分けていたようで、「僕が怒ると、監督がなだめる」と西村は語る。先日実施された完成披露試写では、主人公の正志役を演じた末岡拓人が「映画を見たら辛い思いを思い出した」という発言まで飛び出した。西村は「子役たちがみなイケメンになるのを期待してほしい」と断言!撮影現場での鬼の形相は、愛情の裏返しであることを語った。さらに、村上は「かくれイケメンが出てる映画。斎藤工くんが美しい身体をみせてくれてむふふな映画です」と付け加えた。

最後に、西村は「2年かかってようやく見ていただけるようになった。村上さんが好きなものがつまった映画になっている。子供たちのために向けたメッセージ性が強い映画なので、そこにも注目してほしい」、村上は「当初西村さんに言われた『第1作目は監督のすべてが詰め込まれた映画でなければいけない』という言葉に忠実に作りました。メッセージ性の強い映画ではなりますが、僕の好きなデヴィット・リンチの『イレイザーヘッド』のように、奇妙な映画にもなっていると思います。劇場で見てください」と笑顔で語り、初日の公開を迎えた。