世界的アーティスト村上隆初監督の実写+CGによるファンタジー作品『めめめのくらげ』。CGだけで1000カット超と、日本映画の枠を超えたプロジェクトでありながら、少年と不思議な生き物“ふれんど”との友情の絆を描く感動作が、いよいよ4月26日公開となります。この度、村上隆の母校である東京芸大美術学部の学生に向けた講演会を実施いたしました。

世界的アーティスト村上隆が、初監督作品『めめめのくらげ』を引っ提げて、4/24(水)に母校である東京芸術大学を訪れ、講義会を行った。現代アート界を全方位的にリードし、「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたことのある村上の貴重な話を聞こうと、約150人の美大生が集まり、会場は立ち見がでるほどの盛況ぶりであった。

今回のテーマは「コミュニケーション」と第一声で語り始めた村上。外国語を話せるかという学生への問いかけから「外国語をしゃべれないと生きていけない!君たちはバカだ!バカじゃだめなんだ!」と冒頭から喝を入れる。手に職をつけてわたり歩けると思っていた25歳の自分とを振り返り、今だからこそ分かる村上が学生たちに伝えたかったことは「クリエイターに必要な能力はコミュニケーション能力」と熱弁。「時代と興味は変成していく中で自分が伝えたいメッセージを持っているということは村上も学生も変わらない。コミュニケーション能力の優劣でクリエイターとして表出できるかがかかっている」。
今回の映画配給が決まった経緯もこのコミュニケーション能力が活かされたと秘話を明かす。作品を見ていない名プロデューサーが配給会社に熱弁したことをきっかけに劇場公開が決まった。「劇場公開に至ったのはコミュニケーションの成果。信頼関係がなければ取引は成立しない」。
映画製作にあたっても現場で押し問答を繰り返してようやく完成までたどり着いた本作。現場でいかにコミュニケーションが大切だったかを説いた後、「自分の表現したいものを探すのは当たり前。愛される人間になり、仕事をいただける状況になり、相手が満足する、驚嘆するクオリティを常に提供するのがクリエイターの仕事。プロになるには、それだけの心の準備と進路を見据え、方向性を考えたほうがいい。成功する人間は、コミュニケーション能力があるか、コミュニケーション能力がなくても忍耐力がある人」と、クリエイターとしての仕事の本質を語り、将来ある学生に強くアドバイスを送った。
途中、『めめめのくらげ』のフッテージ映像とめめめ音頭を流し、学生たちに披露。学生たちは目をキラキラさせながら映像に見入っていた。上映が終わると、自身の作品制作の話に。村上の制作スタイルは「何度も繰り返している」と語る。映画コンテンツでも各国で受け入れられる映画が違うことを例に挙げながら、日本では自身の作品は受けないと謙遜した上で「僕のコンテンツは海外では望まれている。日本の見たいコンテンツを踏襲して文法に乗っ取って表現しているから」と分析。村上の熱い言葉に真剣な表情で学生たちは耳を傾けた。
最後、学生から質問が殺到。現代美術家になった経緯を「バブル期に自己を反省せず、作品の魅力の乏しさやマネーロンダリングの実態を知り、学生時代に選考していた日本画を続けたくなくなった」ということに加え、当時貧しくアトリエ8畳で製作を続けていた現代美術家の大竹伸朗氏に感銘を受けたことを語り、「与えられた舞台で最大限に活かせるような表現者になろうと思った」ことを明かした。今回のテーマであったコミュニケーションにおいて、何が大切かという質問には「仁義」とキッパリ回答。「力のあるなしを理解し、受けた恩恵を返すこと。手を差し伸べられた恩を忘れたらいつかつまづく。人と人との仁義を守り、コミュニケーションのパイプラインをつなげることが大事」と、最後まで学生への熱い想いは途絶えなかった。
村上隆初監督の実写+CGによるファンタジー作品『めめめのくらげ』は、CGだけで1000カット超と、日本映画の枠を超えたプロジェクトでありながら、少年と不思議な生き物“ふれんど”との友情の絆を描く感動作。村上のコミュニケーション能力を駆使して創り上げられた本作は、4月26日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて全国順次公開する。