4月20日(土)に渋谷ユーロスペースにて、二部作4時間36分におよぶ歴史大作である『セデック・バレ』の初日舞台挨拶が行われました。非常に多くの方々にご来場いただき、立ち見がでるほど場内は活気にあふれていました。この日のために来日したウェイ・ダーション監督は本作の制作までの経緯や出演者について、プロダクションデザインを手掛けた種田陽平氏はウェイ監督から感銘を受けた部分などについて語ってくれました。

司会:まずは初日を迎えた今のお気持ちをお願いします。

ウェイ・ダーション監督(以下監督):ついに日本での公開を迎えることが出来てとても嬉しいです。この映画を通して日本と台湾が経験した歴史を体感していただければと思います。皆さん、今日はお越しいただき本当にありがとうございます。

種田陽平氏(以下種田):長い間、日本での上映を待ち望んでいました。日本では公開できないんじゃないかと不安でしたが、初日を迎えられて安心しています。一人でも多くの人に観ていただけたら嬉しいです。

司会:構想に10年以上かかっている本作ですが、そこまでして撮りたかった理由をお聞かせください。

監督:台湾の小学校、中学校の歴史の教科書には“霧社事件”についてたったの2〜3行ほどしか記述されておらず、具体的な内容については書かれていないんです。しかし、この事件の詳細を描いた漫画に出会って私はとても驚き、皆さんにこの“霧社事件”がどんな経緯で起こったのか、その中に渦巻く愛と憎しみについて知ってほしいと思い、この映画の制作を決心しました。

司会:本作には原住民の方やプロの俳優ではない方が多く出演していますが、なぜそういった人たちを起用されたのですか?

監督:この映画を撮る前に、原住民の人たちに出演してもらうということを彼らと約束していたんです。最初は「この大規模なプロジェクトを素人に任せていいのか?」と、とても心配しましたが、みんなとても素晴らしい演技をしてくれました。有名なスターたちを起用してしまうと「本当の原住民の人が映画に出ている」という感覚が無くなってしまうので、本物の原住民の人たちに出演してもらったんです。

司会:種田さんにお伺いしますが、足場の悪い山岳地帯に大規模なセットを組む大変なお仕事だったと思いますが、こだわった部分などはありますか?

種田:最初は監督がロケーション先を決めてきたんですが、標高2,000メートルというとてつもない場所を選んできたんです。そこで僕は自分なりのこだわりとして、もう少し台北の近くで撮影しようと提案しました(笑)。日本の建築家の方や原住民の方が見てもおかしいと思われないようにしっかりとしたものを作ろうと思い、実際の原住民の人たちにも手伝っていただきました。

司会:種田さんはこれまで様々な監督たちと一緒にお仕事されていますが、ウェイ監督から感銘を受けた部分はありますか?

種田:監督は柔和で優しい方なんですが、いったん山奥に入ると別人になるんです。足腰が非常に強く、誰よりも肉体派で現場主義。また、すべてのことに関しての責任感の強さに感銘を受けました。

司会:それでは最後に、これから本編をご覧になる皆さんにお二人からメッセージをお願いします。

監督:この映画は非常に重たい作品ですので、心の準備をしっかりしてご覧ください。第一部を観た後はとても落ち込んでしまうかもしれませんが、第二部をご覧になればその重たい気持ちが解消されるはずです。どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。

種田:この映画は歴史的な物語でありますが、アクションエンターテインメント作品としても楽しめると思いますので、多くの人にご覧いただきたいです。。今日は本当にありがとうございました。