『グッモーエビアン!』の好演で、第67回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を見事受賞した三吉彩花が、小林薫・大竹しのぶという、日本映画界きっての演技派と共演した初主演作『旅立ちの島唄〜十五の春〜』。4/27(土)からの沖縄・桜坂劇場での先行公開、5/18(土)からシネスイッチ銀座を皮切りとした全国順次公開に先立って、沖縄・那覇にオープンしたばかりの沖縄タイムスホールで完成披露試写会が開催された。
 上映会当日を前にチケットは完売。満員の客席を前に、まず吉田康弘監督が「東京と沖縄のスタッフが力を会わせて一所懸命つくった映画です」と挨拶をし、上映スタート。沖縄本島から東へ360キロ、高校がない離島・南大東島。子どもたちは進学のため、たった15歳で島を出て、家族と離れて暮らさなければならない。舞台となった南大東島に実在する少女民謡グループ“ボロジノ娘”のリーダーで、次の年には島を離れる優奈(三吉彩花)の島での最後の1年が描かれた本作。優奈の父には小林薫。母を大竹しのぶという名優が演じている。すでに東京のマスコミ試写でも涙が抑えられないという評判高い本作だが、沖縄完成披露でも優奈一家の溢れる想いに号泣する観客がここかしこに。上映後には、大きな拍手が巻き起こった。
感動さめやらぬステージに吉田監督の他、主演の三吉彩花、小林薫、さらに地元の人気俳優・普久原明が登場。吉田監督、三吉、小林には久しぶりの沖縄だけに、感無量の面持ちで、それぞれ映画について、撮影の思い出について語った。

吉田監督:映画作りに没頭できた撮影期間でした。どこをとっても印象的な景色でしたが、景色以上に、その中で生きる人の顔を撮るのがテーマだと思ってつくりました。あるテレビのドキュメンタリーを見て初めて南大東島の事を知ったんですが、高校がないこの島のリアルな現実、苦しみ、喜び、家族の絆の強さを多くの人に伝えられたらと思います。今回は、内から見た沖縄映画、沖縄の人が見ても納得してくれる、晴れの日だけじゃない、曇り空の沖縄も描きたいと思いました。(観客、大拍手!)

三吉彩花:すごく沖縄が好きで、撮影の時は食べ物も景色も本当に楽しませてもらいました。沖縄の方言で演じるのは難しかったですが、実はまだ方言が抜けないんですよ(笑)! 今日も周りの方が話しているのを聞いていると、だんだん自分にうつってしまって、いつの間にか方言で喋ってるんです。(ここまで見事な沖縄のイントネーションで話す三吉の挨拶に地元の観客も大喝采!) 初めての主演と聞いた時は、お父さんが小林薫さんで、お母さんが大竹しのぶさんと知って、このお二人を前に私に主役がつとまるのかって不安もありました。南大東島の事も何も知らないところからで、三線も島唄もゼロからだったので、不安が多かったんですが、撮影現場がとても温かくて何とか乗り越えられました。

  撮影時は役と同じ15歳だった三吉彩花の見事に役になりきった演技に、吉田監督は「絶対、大女優になる」と太鼓判を押した。
 一方、名優・小林薫は、ステージの緊張をほぐすように、「家族の絆とは?」と訪ねた司会に「質問、難しくないですか?」と返して場を和らげるなど、終始、共演者や観客をリラックスさせながらも含蓄ある言葉で、映画の深い味わいをさりげなく伝えて、さすが名優の存在感。

小林薫:家族の数だけ家族のありようがあると思うけど、東京や沖縄本島ではあたりまえになっていることも、15歳で子供が旅立つ南大東島だからこそ、ふと気づく事がある。親の目線から見て、あらためて“大きくなったなぁ”という感慨があり、そういうある意味の儀式も、いい家族のありようなんだなと、今では感じるようになりましたね。

 そして監督、キャストの話の後には、映画にも出演している、沖縄の人気MC、ひーぷーさんが登場。いよいよ、第二部。リアル“ボロジノ娘”のライブだ。きょうのボロジノ娘は、南大東島からこのイベントのためにやってきた現役ボロジノ娘2名と、高校生活、大学生活を本島や九州で送っているボロジノ娘OB5名の特別編成。演奏前には客席にいたボロジノ娘の育ての親、南大東島で50年以上も子供たちに民謡を教えている新垣則夫先生を観客に紹介、劇中でも披露した「ボロジノ・アイランド」と「おじゃりやれ」の2曲披露した。客席は手拍子足拍子の大喝采で盛り上がり、映画で彼女たちと共演した三吉彩花も、客席から拍手を送った。ボロジノ娘の演奏が終わると、ここで本日の“シークレット・ゲスト”、映画の主題歌「春にゴンドラ」を歌うBEGINがステージに登場し、会場はさらに大喝采。

 BEGINのメンバーとひーぷーさんの、沖縄弁でのユーモラスなやりとりも楽しく、「音楽はつくったら半年後にはリリースされるのに、映画は撮影から1年もたつのにまだ上映しないから、もう曲を忘れそうになったよ(笑)」(比嘉)と笑わせながらも、「この映画の本当の主題歌はボロジノ娘の歌う“アバヨーイ(さよならの意味で子供たちが島を離れる時に歌う)”だと思っているので、曲を作る時には、どうしたら“アバヨーイ”をひきたてられるかって考えた」(比嘉)と裏話を披露。また「映画を見た後、自分が上京した時の事を思い出して、胸がぎゅーっとなった」(島袋)と映画を見た時の感動も語った。
 BEGINは、映画の中でとくに印象的な“ゴンドラ”のシーン(島の周囲がすべて岸壁で船が接岸できない南大東島ではクレーンのようなゴンドラに人が乗せられて、船に乗り降りする)を歌った主題歌「春にゴンドラ」を観客にプレゼント。そしてその後は、ボロジノ娘をステージに呼び、なんとBEGIN with ボロジノ娘で、BEGINの代表曲「島人ぬ宝」をコラボ。この贅沢なサプライズに、観客だけでなく、客席で聴いていた監督、キャストも大感動だった。

 演奏が終わり、きょうのゲスト全員が登壇し、記念撮影。当初は、映画の監督、キャストが前に立つはずだったが、吉田監督、三吉、小林が、小柄なボロジノ娘を、自分たちの前に並ばせる思いやり。また、久しぶりに再会した三吉とボロジノ娘が肩を寄せあうなど、映画に相応しく温かな気持ちになる記念撮影になった。

『旅立ちの島唄〜十五の春〜』は4/27より沖縄・桜坂劇場にて先行ロードショー、その後、5/18からの東京・シネスイッチ銀座を皮切りに全国順次ロードショーとなります。