勢いづく台湾映画界での超期待作!

『海角七号〜君想う国境の南』や今年春に日本公開予定の『賽?克、巴莱(セデック・バレ)』の魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)監督が、これに続いて日本と台湾を描いた三作目の映画『KANO』をプロデュース、これは、1931年、日本統治時代に台湾の嘉義農林高校が甲子園に出場し、準優勝した実話を映画化したもの。
今回メガホンをとるのは、『賽?克、巴莱(セデック・バレ)』で原住民の頭目役を演じた俳優の馬志翔(マー・ジーシャン)、もう一人のプロデューサーは、前二作と同じ黃志明(ジミー・ホアン)という強力なトリオだ。

『賽?克、巴莱(セデック・バレ)』で描かれた霧社事件の翌年、台湾人と日本人、そして原住民で構成された嘉義農林高校野球チームが夏の甲子園大会に出場し、なんと決勝戦まで勝ち上がった。惜しくも名門の中京商業に敗れたが、日本人、台湾人、原住民の3民族結束しての戦いぶりは見る者に感動を与えた。
文豪菊池寛は、「僕はすっかり嘉義びいきになった。異なる人種が同じ目的のために努力する姿はなんとなく涙ぐましい感じを起こさせる」と述べている。
この嘉義農林高校野球部「KANO」チームを采配したのは、四国の強豪松山商を育て上げた近藤兵太郎監督、その後も春1回、夏4回甲子園に出場した。

主要キャストに永瀬正敏、大沢たかお、坂井真紀、伊川東吾ほか!

近藤兵太郎監督を演じるのは、今年デビュー30年を迎える永瀬正敏。彼と25年あまりの親交がある林海象監督の薦めもあり、今回の出演を決めた。林海象監督の日本・台湾合作『海ほうずき』にスタッフとして参加していたのが、今回のプロデューサー魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)という縁だ。
永瀬正敏は、「僕にとっても、古くからの”友人”たち、新しく出会った”友人”たちとの絆は今後も消えることはないでしょう。そういう思いを持って、この作品に参加させていただく決心をしました。」と語っている。

台湾でも『JIN−仁−』が放送されて人気の大沢たかおは、忙しいスケジュールの合間を縫って”嘉南大圳の父””烏山頭ダムの父”と呼ばれる八田與一を演じた。多くの時間をこの台湾の土地に捧げ貢献した八田與一は、今でも台湾にとって重要な日本人の一人だ。
岩井俊二監督の『花とアリス』で大沢たかおを知った馬志翔(マー・ジーシャン)監督は、「八田役は彼以外は考えられなかった」と語る。
今回のオファーにより初めて八田與一という人物を知った大沢たかおは、撮影前に嘉南大圳を訪れ、八田與一がいかに台湾で大きな功績を残し、そして日本との架け橋となったかということを知り、「自分もこの作品と役を通じて、台湾と日本の架け橋のなれたら…」と言う。

そして近藤兵太郎の妻役には、テレビドラマ、映画、舞台で活躍する実力派女優坂井真紀がキャスティングされた。
しっとりとした気品に惹かれたことがポイントだと馬志翔(マー・ジーシャン)監督は言う。劇中では2人の愛娘を育てながら夫を支える良妻賢母を演じる坂井真紀も、このような古風な女性の生き方に惹かれたことと、この作品のテーマに共鳴したと語る。デビュー作『ユーリ』以来の共演となる永瀬正敏との息もぴったりだ。

また、長年ロンドンを拠点に俳優活動をして『ラストサムライ』にも出演している伊川東吾は、仏映画『ル・エリソン』を見て惚れ込んだ馬志翔(マー・ジーシャン)監督が、近藤監督の師にあたる佐藤監督役をオファーしたところ、まさかの快諾を得て実現した。自身も高校時代に野球をやっていて甲子園を目指していただけに、映画という形で甲子園に関われて非常に喜んでいる。
出番は少ないながらも映画の中ではキーとなる役だ。ユーモアあふれる伊川東吾は、撮影現場では父親のように馬監督を励ましていた。

この他、嘉義ナインを演じるのは、全て5年以上の野球経験がある素人。クランクイン二ヶ月以上前から演技訓練を始めており、この指導に当たっているのは、『海角七号〜君想う国境の南』の日本人教師のナレーションをつとめた蔭山征彦。今回は制作サイドでの活躍だ。
「我々が撮るのは、甲子園に出場する野球チームだ。野球の技術がなければ、説得力がない。観客に、本当に甲子園に出場できるようなチームを見せたい。」とプロデューサー魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)が強く語る。

2012年11月7日クランクイン、台中、嘉義、台南、高雄で撮影、2013年2月末にクランクアップ予定。
2014年の旧正月映画として公開予定。