本日、連日満席・立ち見が続出し、前売券を購入していながら入場できなかった方々やもう一度観たいというリクエストに応え、新宿武蔵野館にて『チチを撮りに』のアンコール上映が開始され、その舞台挨拶が行われた。

■実施日:4月6日(土)
■場所:新宿武蔵野館(新宿区新宿3−27−10)
■登壇者:柳英里紗、松原菜野花、渡辺真起子、中野量太監督

本作は第63回ベルリン国際映画祭(2/7〜17開催)のジェネレーション部門に正式招待された作品。上映後登壇したのは、姉妹役の柳英里紗、松原菜野花と母役の渡辺真起子(昨年、本作で第55回アジア太平洋映画祭にて最優秀助演女優賞を受賞し、先月アジアのアカデミー賞と言われる第7回アジアン・フィルム・アワードでも最優秀助演女優賞を受賞するという2冠を達成)、そして本作が劇場用長編映画デビューとなる中野量太監督。

 封切当初は2週間限定のレイトショーで22時を過ぎていたため、16歳である松原は労働基準法の観点から舞台挨拶に立てなかった経緯を振り返り、「今回は家族そろって新宿武蔵野館の舞台に立てて嬉しい!」と語り、柳は「公開も何も決まってない中撮影が進んだので、公開したのもこうやってアンコール上映までしてもらえるのも本当に嬉しい!」と喜びを語った。監督は公開までの長い道のりを振り返り、「半年、配給会社に見せても興味を持ってもらえなくて、公開できる権利(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012の上映支援プロジェクトに選ばれたこと)をもらえて、見つけてもらって今がある。」と感慨深げに語った。

 先月香港で行われたアジアのアカデミー賞と称されるアジアン・フィルム・アワードで最優秀助演女優賞を受賞したことに話が及ぶと、渡辺は「イェイ!やりました!」とトロフィーを披露。授賞式では「中国語で発表されたので自分のことなんてわからずにいて。アジアのスターが勢ぞろいしていたことにはしゃいでおしゃべりしていたら、隣にいた方が「あなた名前呼ばれてるわよ!」って言ってくれたので、ようやく自分のことだと認識した。」と受賞の瞬間のエピソードを明かした。同行していた監督が、「授賞式のバックヤードで二人で手をとり合って喜んでいたら、翌日の現地の新聞に受賞を喜ぶ渡辺真起子とボーイフレンドと書かれてしまった。監督なのに!」と複雑な心境をあらわにすると、「これでムコが来てくれなかったらどうしよう…」と渡辺が冗談交じりにフォローし、会場を沸かせた。

 最後に渡辺は「自分の賞というより、監督を筆頭にみんなで獲った作品賞のつもりでいます。震災後夢をあきらめざるを得ない仲間もいた。この作品は震災後の夏に撮影した作品。夢をあきらめず、想いを強くもって監督にはまた新しい作品を作ってもらいたいし、私も進んでいきたい。若い二人にはこれからの日本映画を背負って俳優という仕事を楽しんでもらいたい。」と熱いエールを贈り、締めくくった。

 映画『チチを撮りに』は、新宿武蔵野館ほか全国で絶賛上映中。尚、新宿武蔵野館では中野監督の前作である短編『琥珀色のキラキラ』も同時上映。