この春話題のスリル&サスペンス超大作、「藁の楯 わらのたて」。10億円の懸賞金がかけられた凶悪犯《クズ》を、48時間以内に福岡から警視庁に移送する、5人のSPと刑事の葛藤を描いた本作。大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也と豪華キャストも話題に。先日の記者会見やマスコミ試写では「ハリウッド映画的」と評される本作の監督と主演をつとめ日本を代表する映画を作り上げた二人の、いつもとは違ったトークショー開催いたしました!
三池監督作品ではもう恒例となり、今回9回目となるイベントで、リラックスな雰囲気のなか「クールでかっこいい」イメージの大沢たかおの“素”に司会者:三池崇史が切り込みました!今作で初タッグとなった二人からあんな話やこんな話が…!

【日  時】 3月21日(木)  
【場  所】 ビルボードライブ東京 (港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンテラス4F)
【時  間】19:00 トークショー開始
【登壇者】大沢たかお、三池崇史監督

●ビルボード東京トークショー

三池監督:今回、いろんな取材とか大沢さんに協力してもらって、先週東京から始まって、北海道、仙台から大阪、福岡、東京を2日間で(キャンペーンを)行いました。いろいろな人たちにご当地のお弁当とか手羽先とか頂いて…普段大沢さんってそんなにプロモーションをやるタイプではないし、すごく無理をしてもらって申し訳なかったんですよ。本業は演じることじゃないですか。プロモーションをやっている作品は去年の夏に撮ったんです。今や思い出です。北海道に行ったり、この間は北極に行っていたり、大沢さんにとってこの作品はどうだったんですか?

大沢さん:自分が今まで出演した映画でこんなにも手に汗握った映画は初めてでした。本当にドキドキしました。これ2時間なんですけどあっという間に見終わってしまう作品です。

三池監督:いいですか。すんごい大人なんですよ、大沢さんは。現場で主役だからというプレッシャーをかけるのは一切ない。他の人に何かを求めたりしないっていう、本当に珍しいタイプの役者です。この映画を見ていただくので、あまり映画について説明はせず、みんなに観ていただきたい。それより、大沢さんは今、幸せですか?

大沢さん:なんか充実しているんですよね。幸せってどういう…?

三池監督:いわゆるオフの日、プライベートの大沢たかおについてです。俳優さんや女優さんはどこに目があるか分からないかと思うから、本当に解放されたときは何をしているんですか?

大沢さん:全く気にしないですよ。ふらふら散歩しますし、自転車に乗るし、映画も観に行きます。
困るのは、スタッフと食べに行ったり、仕事の話をしたり、悩みを聞いていたら泣いちゃったら記事で書かれてしまうんですよ。そういうのは気を使っちゃいます。

三池監督:大沢たかおの前で泣いてしまったからどうなるってもんでもないのになあ。その人の問題だよねえ。頼りになるからなあ。うーん。

大沢たかお:掘り下げます?

会場から笑いが起こり、「今日は嘘をつかないでください。」との声。

三池監督:大沢さんは正直な人。割といつも正直で、劇場に行って質問に答えるんだけど、司会者に対しては厳しい(笑)。司会者があたふたするのをみて楽しんでいるんですよ。皆さんが思う完璧なものはないんです(笑)。

ビルボード東京イベントについて。

三池監督:生で映画を観て、良かったと思ってもらえれば良い。とにかく言えるのは応募が今回8000もあったことなんです。

原作について。

三池監督:原作は木内先生で、「ビー・バップ・ハイスクール」の方。絵も描き、ストーリーも書いた人。映画もとっているけど、今現在、映画も撮らず、漫画も書いていないんです。色々な思いを持って、小説を書いている。初めて書いた作品が「藁の楯」なんです。日本映画ではとれないであろうことが書いてあるんです。(撮影をするにあたって)逃げ道はたくさんある。でも悔しくて逃げたくないんです。今日(映画を)観てもらって小説も読んでもらい考えてもらいたい。

キャストについて。

三池監督:これ以上ないクズ役の藤原竜也はクズ日本一。あいつの演技はありえないね。大沢さんは藤原さんとは初めてで松嶋さんとは何度か共演したことがあるんだよね?どうだった?

大沢さん:松嶋さんは男でした。普段の松嶋さんの女性的な美しさや、髪もメイクも気にしない。現場では男と対等にしようとしていました。夏の現場は暑くても文句の一言も言わなかったし、女優さんは自分がどう映っているのか気にするものなのに松嶋さんは一度もどう映っているのか気にしなかった。

三池監督:昨年の夏は暑かったんですけど地面で仰向けにならないシーンがあったんです。地面のアスファルトは本当に熱いんです。熱いし、仰向けになるとメイクや髪を直さなくてはならないからテストはなしで良いといったですが「大丈夫です。お仕事しながら岩盤浴している気分で幸せです」と答えた。この人大物だな、と思ったよ。

会場から笑いが起きる。

大沢さん:色々な経験をして、色々な意味で満たされているのかもしれない。

三池監督:(松嶋さんとは)今回久々の共演だよね?何か発見はあった?

大沢さん:ずっと、ああいう人です。現場に集中しているんですが、年々集中力が高まっているような気がします。満たされているからこそ集中出来るんだと思う。

映画について。

三池監督:結構この映画重いんですよ。エンターテインメントなんだけど2時間見終わったら抱え込むんです。藤原竜也が演じた役がどうしようもないクズなんです。大沢さんからみた藤原竜也はどうだった?

大沢さん:ものすごい集中力でびっくりしました。クズを演じているんですが何の違和感もなくて。

三池監督:映画でもあんまり喋らないし、何もしない役なんだけど、みんなの想像するキヨマルの怖さは人間の怖さ。基本的に無に近い存在で本当の人間の姿、ラストに関しては意見が分かれると思うが、撮っていて幸せだった。悲惨な場面だけど、そういう瞬間を作れる映画は素晴らしいと思う。

最後に一言。

三池監督:この映画を大島優子に見てもらって「この映画は大丈夫」と言われたい。これから(映画が)始まりますが、ひとつの夏をそれだけに集中して作った自分たちの作品を楽しんでもらえればと思います。

大沢さん:プロが集まって挑戦した作品。日本映画の何かひとつの爆弾になって作った作品を楽しんでもらえたら嬉しいです。