来年1月19日に公開の映画『カラカラ』のプロモーションで上京中のクロード・ガニオン監督と、長年ガニオン監督を敬愛している『ヴァンパイア』の岩井俊二監督との対談が実現致しました。

ガニオン監督のデビュー作『Keiko』を高校生のときに観たことがきっかけで、自分でも映画をつくってみようと思ったという岩井監督は、『カラカラ』を観賞し、「監督らしさが健在」とガニオン監督を絶賛しました。

初めてガニオン監督の『Keiko』を見てから30年あまりの月日を経ての対面を心待ちにしていた岩井監督は、対談前に『Keiko』を見直し、「映画監督になったいま『Keiko』を見直しても、俳優たちの自然体の演技が素晴らしいと感じた。」と改めてガニオン監督の演出に敬意を表しました。

岩井監督はガニオン監督最新作の『カラカラ』を一足先に見て、「ガニオン監督らしさは健在でとてもうれしかったです。主演の工藤夕貴さんが、あまりにも普通の人として登場していて、そもそもこの人が映画にとって重要な人なのかすらもわからないぐらい、途中まで工藤夕貴さんだとは気づきませんでした。主人公の二人(工藤夕貴扮する純子と、ガブリエル・アルカン扮するピエール)が、映画の中で自然に関係を築いていくのが面白かったです。」と大絶賛。
『Keiko』と同様、「掴みきれない人間の複雑な心模様を映し出している」と鑑賞後の感想を語りました。

岩井監督から「この映画でのチャレンジは?」と質問を受けたガニオン監督は、「これはいつものことですが、観客が先を予想できる展開は好きじゃない。『カラカラ』も男女が主人公だけど、単なるラブストーリーにはしたくなかった。ユーモアを取り入れ、常に観客を驚かせようとしています。」と答えました。

また岩井監督は、カナダにて全編英語で撮影をした自身最新作の『ヴァンパイア』に触れ、日本を舞台に映画をつくることが多いカナダ出身のガニオン監督に対し「僕は監督と逆のことをしたんです」と言い、微笑み合う一幕もありました。
その後も、『Keiko』同様、岩井監督が気に入っているガニオン監督の『KATAMATAKI-窯焚-』の撮影秘話や、俳優論など、お互い語り尽くせない様子で話は多岐に盛り上がりました。

※この対談の模様は、「岩井俊二映画祭」(https://www.iwaiff.com/)
にて2013年1月に公開予定です。