今度のテーマは=復活/再生

いや、それだけではない、原点回帰でもあるし、現代社会へのメッセージも込められている。
 ボンドを演じるのは『007/カジノ・ロワイヤル』『007/慰めの報酬』に続き、3作目となるダニエル・クレイグ。
ボンド以外でも『カウボーイ&エイリアン』や『ドラゴン・タトゥーの女』、『ドリームハウス』などで活躍、シリーズ初の金髪ボンドとして一躍時の人にもなったイギリス人俳優。
注目すべきは、シリーズ生誕50周年目、第23作をどう演じてくれるのかが早くから注目を集めていた。
 監督は007シリーズ初のアカデミー賞受賞監督であるサム・メンデスの起用。監督デビュー作である『アメリカン・ビューティー』でゴールデングローブ賞、アカデミー賞、監督賞を獲得、その才能は、2000年にはイギリス王室より大英帝国勲章を与えられ、誰もが最高のボンド映画を作ってくれるに違いないと期待は集まる。

そんな監督をダニエル・クレイグはあるインタビューで
「サムだったらすべてをこの作品に注いでくれる、フレミングとボンドに対する愛と知識のすべてを注いでくれるってわかっていた。あるパーティで僕は何杯か飲んでいた。同じように出席していた彼と、バルコニーで葉巻を吸いながら、伝統や映画作りについて話していたんだ。そのときに、『次のボンド映画を監督したいと思う?』と、ついぽろっと口にしてしまったんだ」とクレイグは笑う。
「でも口からその言葉がこぼれ出た途端、それが実に正しいことだと確信した。本来、僕は仕事をオファーする立場にはない。それはマイケルとバーバラの領域だからね。でもすごくいいアイデアだと思ったし、幸いなことにマイケルとバーバラも心から賛同してくれた」。
 これまでボンド作品とは違ったタイプの映画を監督してきたことで知られているかもしれないメンデスだが、高い娯楽性と芸術的品位は決して相容れないものではない、と彼は言う。

多くのファンが、ボンド映画は、こうであって欲しい、こうでなくては困るという熱い王道であるストーリー・パターンが存在する、いやそんな予定調和なストーリーでは困るというファンもいるだろう、本作『007 スカイフォール』は、ダニエル・クレイグ版ボンドとしても過去の2作とは、違う見せ方をしてくれているし、ボンド映画といえる懐かしいシーンもあるし、予想を裏切る展開で新しいスパイ映画も見せてくれるのである。
テーマとなっている「復活/再生」は、たしかに一度死にかけたボンドは復活するのだが、そんなストーリーよりも、今、社会が抱えている情報社会で起きるサイバーテロ時代の諜報部の存在意義を底辺で、いかにMI6のボンドが生き抜くかというポイントも注目して欲しい。

また、懐かしいテーマソングも感動するが、ドラマティックで重厚なドラマを今年のグラミー賞で6部門を独占受賞したアーティスト、アデルが自らの作詞作曲の同名タイトルの主題歌「スカイフォール」を提供している。
個人の中では、今でも3代目ボンドであるロジャー・ムーアが最高のボンドであると受け止めているが、ダニエル・クレイグ=ボンドは、今後さらに2作品に出演を予定しているので、今後も期待したい。

日本でいち早く見ることができたが、今月の初旬で韓国でも大きなスクリーンで見直すことが出来た。イギリスと同時に公開され、すでに5週目にして230万人を動員し、初登場1位で前週まで1位を6週連続記録、1000万人動員記録を更新していたイ・ビョンホン主演のヒット映画『王になった男』を引きずりおろし1位で登場、87万人を1週で記録し、その注目は高かった。
全世界でそのような状況の話題の中で、ようやく日本でも待望の公開がされる、今注目すべき1本である。
ぜひ、大きなスクリーンで見て欲しい。
私は、韓国でIMAXのスクリーンで堪能しました。