本日、有楽町スバル座にて映画『その夜の侍』の初日舞台挨拶が行われました。本作は、妻をひき逃げされ復讐を誓う男と、追い詰められる男。そして二人を取り巻く周囲の人々が織りなす心揺さぶられる感動の人間ドラマになります。先日、もっとも将来性のある新人監督に与える『新藤兼人賞』において『その夜の侍』が金賞した事を受け、映画さながらの雨模様にもかかわらず大勢の方にお越し頂き、会場は祝福ムードに包まれました。

【登壇者】堺雅人、山田孝之、新井浩文、綾野剛、谷村美月、赤堀雅秋監督

本作で主演を務めた堺雅人さんは「僕自身、15年ほど前に劇団をやっておりまして、下北沢で始まったこの小さな物語が、フィルムに焼き付いて皆さんに届くというのが、15年前の自分の夢が叶ったような、誇らしい気持ちです」と感慨深く挨拶をしました。

本作が監督デビュー作品にもかかわらず、重厚なドラマを描き切った赤堀雅秋監督の魅力について、山田孝之さんは「わかりやすいものもあって、それはそれで面白いんですけど、とにかくこの映画は色々なところで爆発が起きていて…それがとにかく素直に入ってくるものもあれば拒絶したくなるようなものもあって、それが刺激を受けるというか…」と、独特の感性で表現すると、谷村美月さんは、「赤堀さんらしいというか、皆出てる人が愛おしく思えるような作品なのかなあと思います」と笑顔を見せ、赤堀監督が出演者の皆さんから絶大な信頼を得ている様子を伺わせました。

また、本作が新藤兼人賞を受賞した事に触れられると、新井浩文さんは「自分が関わった作品が賞を取ったことは本当に嬉しくて。この前、モテキの監督の大根仁監督と飲んだんですけど、受賞の話をしたら、ものすっごく不機嫌そうでした(笑)」と、赤堀監督の大先輩にあたる大根仁監督とのエピソードを披露。更に綾野剛さんは、「この映画は、混沌とした中にみずみずしさも感じるし映画として強度のある作品なのになんでも無かったような…監督、本当におめでとうございます!」と、赤堀監督に労いの言葉をかけました。

出演者の皆さんから、祝福の言葉をかけられた赤堀監督は、「なんかすいません…」と恐縮しきりの中、「貰えるものは貰っておきます(笑)でもスタッフとキャスト、そして本日お越し頂いたみなさんのお蔭でこのような評価を頂いたのは十分自覚しています!」と、感謝の言葉を述べ、改めて感無量の表情を見せました。

本作で印象に残ったシーンやエピソードについて触れられると、堺さんは、「全体的に、自分で自分の顔がよく分らないような顔をしてたなあというのが試写で見た感想ですね(笑)自分でコントロールできないくらい、掻き回して頂きました」と本作の撮影現場が過酷であった事を振り返ると、山田孝之さんは「雨のシーンで、寒さと監督の分り辛い演出のせいなのか、本番前に堺さんが『ウワーッ』って叫び出してたことですね(笑)」と堺さんが、本作のストーリーさながらに極限状態まで追い詰められていた事を語りました。