このたび釜山国際映画祭、東京フィルメックス、ロッテルダム国際映画祭など日本だけでなく世界中の映画祭への招待を受けている『おだやかな日常』が12月22日(土)よりユーロスペースほかにて順次公開となります。
 本作は、3.11以降、様々な形で語られてきた<震災>を、より“子供”と“女性”に寄り添う形で、ひるむことなくわたしたちの「これから」を語る物語。同じマンションに暮らす2組の家族を通して、誰もが感じている、情報や放射能といった「目に見えないもの」への不安や苛立ちを掬い取り、絶望のうちに希望を見出す姿を鮮烈に描いています。 『歓待』につづいてプロデューサーも務めた杉野希妃と『苦役列車』等の篠原友希子が、葛藤しながらも強くなっていく2人の女性をしなやかに演じきります。
 さて、このたび11月9日(金)渋谷ヒカリエにて開催されました「真夜中の映画祭」に若手監督を代表する1人として本作監督の内田伸輝と主演の杉野希妃が招待され、トークショーをおこないました。

11月9日(金) 渋谷ヒカリエ8F 8COURT にて
登壇者 内田伸輝監督、主演 杉野希妃

Q1:制作過程や制作意図を教えてください。
内田:この映画を作ったのは、今の不確かな日本の情報に不安を感じたからです。映画にも通用する作品にして、海外の方に見せる事で、今の日本を伝えたかったという思いが強かったです。
杉野:まずは内田監督から簡単なプロットを読ませていただき、これは絶対に作るべき作品だと感じました。震災に関わる問題は皆忘れたがっているという理由から成立させるまでの過程は大変だったからこそ、応援し共感してくださる方々の存在は本当に有難いです。

Q2:渋谷ミニシアターでの思い出は?
内田:1996年から数年間、まさに渋谷のミニシアターが熱かった時期に、僕も渋谷の映画館にはかなり通っていました。今夜上映される『トレインスポッティング』も上映当時に渋谷で見ましたし、『アンダーグラウンド』は何度も見に行きました。
杉野:恵比寿ガーデンシネマによく一人で通っていました。ウディ・アレンの作品がよく上映されてましたので、毎回楽しみでした。『ブリッジ』というドキュメンタリー映画が衝撃的で、見終わった後泣きながら帰ったことを思い出しますね。

Q3:今後ミニシアターに期待することは?
内田:まだ見ぬ自主映画が多く存在します。隠れた才能を見つけ、発信していく場がミニシアターからあればいいと願っています。
杉野:観客と映画人が相互に刺激し合い向上し、互いが互いを育てていかなければいけないと思います。もっともっと交流の場があってほしいし、「真夜中の映画祭」は意義深い試みだと思うので、今後も続くことを願っています。

Q4:最後に作品PRをお願いします。
内田:ここ渋谷にあるユーロスペースという劇場で12/22から公開される『おだやかな日常』を一人でも多くの方にまずは見ていただきたいと思っています。色々な意見はあると思いますが、映画の良し悪しとは別に、映画を観て、もう一度考えて欲しいです。
杉野:特に女性や未来を担っていく若い方々にも沢山見ていただきたいです。私自身演じながら作品に寄り添えたように、311以降どこか気持ちの拠り所がないように感じている方々が見たら、癒される作品にもなったような気がします。