■夢売るふたりを書くにあたって
監督:もうなかなか出演されないと言われてたんですけれども、今回は『ディア・ドクター』の流れで同じようなテイストの作品を作るんじゃなくって、今度は『ディア・ドクター』が好きだとおっしゃってくださった、お客さんの気持ちを裏切るような作品を作ってみたいと思って。人間のダークサイドみたいなところを、ぐっと拡増したい気持ちだった。
鶴瓶:どこでそんな発想が沸いたんですか?誰かに聞いたんですか?
監督:騙された人に聞いたというよりも、同世代の女性達が30代になって色んな悩みを抱えてるのを、自分の生活でも思える所があるし、色んな友達が色んな職業に就いて色んな悩みを抱えながら生きてるっていうのを、そんな話を聞いてる中から、女性達が色んな壁にぶつかっている物語を書きたいなというのがありました。
鶴瓶:気持ち良いと思いますよ。松たか子さんがどうこうじゃなく、自分が書いたものを松たか子が演じるんですけど、気持ちとしてはあの中心の松たか子として書いてるわけでしょ。男を利用して、色んな女性を騙す気持ち良さがあるんですか?
監督:そういうのはないですけど(笑)、良い奥さんの皮をかぶったすごいしたたかな女を書きたい!
鶴瓶:ちょっと待って!うちの嫁のことみたいな言い方して!僕はそういう意味では、エライものを書いたなと思う。

■鶴瓶さんの探偵役について
鶴瓶:現に騙された人を何人か知ってますからね。(監督に)本当に紹介したんです。
「この人騙されたから、話聞いてみ」って(電話で)話したことあるんですよ。
監督:(師匠が)色んな相談に乗ってらっしゃるんです。結婚詐欺の相談とか。(会場爆笑)
鶴瓶:知り合いの警察に相談したんですが、事件が起きない限り動かないんです。
だから探偵紹介して。それは1年半前ぐらい前に解決しました。捕まったわ。
監督:もう色んな事情をご存知だから、師匠に探偵役をお願いしようと思って。
鶴瓶:全く分からないで探偵役ですよ。中身は言えない・・・最後に出てきますからね。これはなかなか良い役ですよね。
監督:そうですね。『ディア・ドクター』とはまた違うイメージで“黒つるべ”を出そうと(笑)
鶴瓶:出して頂いて、自分で観たときに「あ、こういうことになってるんや」ってあとで分かりますから。
監督:いかがでしたか?久しぶりのスクリーンのご自分を見られて。
鶴瓶:あのときに、『息もできない』監督のヤン・イクチュンさんと車に乗るシーンがあるんです。彼が西川さんのファンで観にきて、出演することになったんです。僕の運転手の役で、ほとんど日本語喋れないのにずーっと(二人で)喋ってましたからね。言葉なんて関係ないなと思いました。
監督:お2人のツーショット良いですよね。
鶴瓶:あんな監督が出演したいという想いですからね。
監督:光栄ですね。『息もできない』ご覧になった方も多いと思いますが、すっごい良い映画なんですが、
監督の全くイメージが違って!

■女性のギャップ
鶴瓶:(西川監督に向かって)自分がイメージ違うでしょ。こんな可愛らしい感じじゃないですか。
こんな人が『蛇イチゴ』『ゆれる』『ディア・ドクター』、そして今回の『夢売るふたり』があって、そう言われるでしょ?
監督:言われますけど、女性って本当に外見と中身はすごくギャップがありますよ。
だから今回も観てくださったお客さんが「私、あの子がよかったわ」っていうのが観てくださった方によってバラバラなんです。その人の置かれた状況だとか、仕事、環境に一致しないようなキャラクターに感情移入してたりするんですよ。観てくださる前なので、あまり言えませんが、女性はどんなに幸せそうに見えても、内側には別のことを抱えていたり、また逆だったりするんだなぁ、複雑な生き物だなと思うんです。(鶴瓶さんに向かって)なんですか?そわそわして(笑)
鶴瓶:いやいや、こう女性を見て、その人にも色んな人生があるんだなぁと思うんですよね。
監督:みんなキレイですけど、内側は色々あるんですよ。葛藤があるんじゃないですかね。
鶴瓶:(観客に向かって)それじゃ一人一人インタビューして・・・(会場爆笑)それじゃ観て頂きましょうよ。
楽しみにして下さい。2回観ても3回観てもだんだん意味が変わってきますんでね。僕も3回観ましたけど、1人で観るのと嫁と観るのと違うしね。いや、本当に朝早くから来て頂いてありがとうございます!
監督:みなさんのお顔が師匠を前に輝いていらっしゃるので、今日来て良かったなと思っております。
役者さんが本当に活き活きと良いお芝居をしてくださって、自分の書いた物語がキラキラした物語になったなと私も非常に出来上がりに満足しております。
こうやってみなさんにお届けできる日がきたことを本当に嬉しく思っております。
2人:今日は本当にありがとうございました。

■フォトセッション中のひとコマ
鶴瓶:よく阿部サダヲさんを選んだね!松さんはもちろんすごいけど。
監督:ずっとファンだったんです。いつか詐欺師をやってもらいたいと。
鶴瓶:この人本当に変わったよね。華が出てきた。オーラがね!
(フォトセッションは)結局笑顔の方がいいですよ!なんぼ嬉しいと思ってても、(つまんない顔)こんな顔してたら嬉しくないんちゃうか思うやんか。
でもなんぼ嬉しくなくても(めっちゃ笑顔)こんなんしてたら良いやんか!(会場爆笑)