園子温監督『希望の国』が現在韓国で開催中の釜山国際映画祭アジア映画の窓部門に出品され、園監督が舞台挨拶とQ&Aに登壇いたしました。

◆『希望の国』 釜山国際映画祭
10月 5日(金)  CGV Theater 2にて上映
10月6日 TALK TO TALK BIFF Center Double Cone Loungeにて実施

発売早々にソールドアウトとなった釜山国際映画祭の『希望の国』アジアプレミア。観客の中心は10-20代の地元韓国釜山の若い層が見受けられた。上映中は何ヶ所かのシーンで、場内からすすり泣きが聞こえ、上映終了後は、静かな拍手が起こった。
Q&Aとオープントークでは過去作品も含む質問が相次いだ。静かな感動が広がった上映後の反応とうってかわって、Q&A終了後には、監督のもとへ若いファンがサインと写真を求めて殺到。まるでアイドルのような韓国での人気を見せた。微妙な日韓の状況の中、文化が、映画が2国を繋ぐ懸け橋になりえる、と信じられる上映だった。

園子温監督の談話
「釜山に来て、皆さんにまたお会いすることができてうれしいです。韓国映画は似ていると言われることが多いのでいつもライバルだと思っています。愛についての映画は数多くありますがそれは主にポップコーン的な映画です。ぼくは3.11以降、より愛について考えるようになりました。」

TALK TO TALKより
演出の秘訣 あまり愛されないようにします。舞台挨拶で『監督はいい人でした』とかいうのはないですね。現場は『もう二度と会いたくない』と思われるハードなんです。でもそれにより観客の心に響くような演技を引き出す。それが監督の仕事だと思っています。

キム・ギドク監督 彼がヴェネチアで賞を獲ったことはうれしいし、励みになります。韓国ではキム・ギドクは嫌われているようで、『キム・ギドクが好き』というと『趣味が悪いね』と言われます。それも自分との共通項のようで日本でも『園子温が好き』というと引かれるのでそのあたりもシンパシーを感じています。
いい俳優とは 自分は完成している、と思っていない人。そういう人は一緒にやっていてもなにも生まれない。自分の可能性を信じている、なにかあると思っている人は僕がアドバイスすればよりいい演技が生まれます。今まであまり面白くなかった俳優が厳しく言うと急によくなっていくところを何度か見ました。見た目が悪い顔の人がいままで悪い役やってきたから悪い役、というキャスティングはマンネリというか退屈です。有名であるかどうかは僕には関係ない。有名人はぼくでなくてもほかの映画には出られるわけでそうではない人を起用することが僕の役割だと思っています。