ベン・アフレック監督第3作目となる映画『アルゴ』。トロント国際映画祭でのワールドプレミアを皮切りに、9月22日にはスペインで行われたサン・セバスチャン国際映画祭にて上映され、10月には東京国際映画祭でも上映が決定するなど、公開に先立ち世界各国の映画祭での上映で、本年度屈指の傑作としての声が上り、話題を呼んでいます。
そしてこの度、日本公開を10月26日に控え、大使館、人質事件、CIA、政治、宗教・・・など、少しとっつきにくい部分を、ニュース解説と丁寧な語り口が幅広い世代から好評を得ている、池上彰先生がわかりやすく解説付きのプレミア試写会が開催されました!映画の面白さや、実際の事件を基にした本作の観るべきポイントをお話して下さいました!会場は大盛況で多くのお客様が熱心に耳を傾けられておりました。

■日 程:10月4日(木) トークショー開始 19:15〜 
■場 所:日経ホール
■登壇:池上彰 氏、日経新聞 編集委員 春原剛 氏 

春原さん:ご感想はいかがでしたか?
池上さん:まず、テレビの仕事をしている人間としては”掴み”に注目していました。その冒頭でどう心を掴むかという所では「あれ?」と思わせる不思議な解説からの始まりだったのですが、見事に「なるほど!」となる最後につながっていきました。

春原さん:こだわりについてはいかがでしたか?
池上さん:あの頃はどこでもタバコが吸えたんだなぁと(笑)それはさておき、2005年にイランで取材をし、アメリカ大使館も行きましたが、当時を思い出しながら、本当によく出来ていると感じてました。道路の向いの町並みや走っている車、バザールの雰囲気まできっちり捉えていました。
春原さん:私もワシントンでCIA本部や国務省に行きましたが、そこも細部まで再現されていました。

春原さん:第2のクリント・イーストウッドという評価もある、ベン・アフレックについてはいかがでしたか?
池上さん:とてもかっこ良かった。彼自身も当時いたらイランに溶け込めるようなリアルな風体でした。また、古きよきCIAエージェントの雰囲気も良く出ていました。それにしてもニセ映画という発想、会社を作るところから始まる手順も面白い!全然知らなかった作戦でしたから驚きです。

池上さん:今から考えるとこの映画で描かれている1979年のイスラム革命は、今各地で起きている革命の先駆けだったのだと思います。あと、思い出されるのは過去に起きたペルーの日本大使館での事件で日本はなす術がなかったことです。橋本龍太郎さんがあんパンを差し入れるといったアクションしか出来てませんでしたから(笑)日本はこういうときにどうするか、考えさせられます。
春原さん:あの時、日本側は何も知らされておらず、突然の突入に驚きました。
池上さん:最近もリビアでの事件が起こるなど、大使館にまつわる事件は今でも起こっていますしね。

春原さん:当時のカーター政権はかなりレーガン側に押されていましたが、今とも近いですよね。カーター政権のメンバーがオバマ政権内にもいますし。
池上さん:作品でも描かれてますが、実はカーターも大使館救出作戦を考えていたんです。歴史が証明しているようにそれは失敗しましたが、裏で動いていたのがこの「アルゴ」作戦だったんですね。また、現イラン大統領のアハマネネジャドも当時この勢力に入っていたという説もあります。
池上さん:今に続くルーツがしっかりと描かれていますね。

最後にご挨拶
池上さん:この作品の全てが事実・史実に基づいており、本当にあった出来事です!