岩井俊二監督8年ぶりの長編劇映画となる最新作『ヴァンパイア』が、いよいよ本日9月15日(土)より公開となりました。

メイン館となる渋谷シネマライズでは、初日舞台挨拶が行われ、岩井監督と、日本人留学生のミナ役で外国映画に初出演を果たした蒼井優さんが登壇し、舞台挨拶を行いました。

なお、蒼井さんは、人生初のショートカットをお客さんの前で初披露。
旧知の岩井監督と息の会ったトークを展開し、会場に詰め掛けたお客様を大いに沸かせました。

【イベント概要】
■日程:9月15 日(土)
■場所:シネマライズ
 (東京都渋谷区宇田川町13 -17ライズビル)
■登壇者:岩井俊二監督、蒼井優

MC:撮影から2年、ようやく初日を迎えたお気持ちをお聞かせください。

●岩井俊二監督(以下岩井)
この映画を撮影したのは一昨年で、去年の1月に完成していたのですが、震災があり、自分も被災地出身なので、自分なりにできることをやろうと思い、『ヴァンパイア』の公開を後ろにずらしました。ようやく公開できて、「やっとここまできたな」という感じです。

●蒼井優さん(以下蒼井)
8年ぶりに岩井監督とお仕事をさせていただいたのですが、私の映画デビュー作の『リリイ・シュシュのすべて』も、このシネマライズから上映が始まったので、今日こうして岩井さんと壇上に立てることが嬉しいです。

●MC
今回、8年ぶりにお仕事をご一緒されましたが、お互いに変わったと思う点があれば、お手元のフリップに書いて皆さんに教えてください。

●蒼井
(蒼井さんから岩井監督への回答)「変態度」。

映画を見て頂いたらわかると思いますが。変態度に拍車がかかっています(笑)。もちろん褒め言葉です。

●岩井
(岩井監督から蒼井さんへの回答。蒼井さんの似顔絵つきで)
「全然変わらないところ」。
色々と成長しているとは思いますが、魂のど真ん中付近は変わらないですね。
いい意味で変化がないと思います。

●MC
『ヴァンパイア』をテーマに映画を撮ろうと決められた経緯を教えて下さい。

●岩井
もともとヴァンパイア映画は好きなジャンルで、プロになってから一度は撮りたいと思っていました。やるのであれば、誰もやってないパターンでやってみたいと思っていたら、「太陽の下でも大丈夫なヴァンパイアがいたら面白いな」と思って、そこからアイディアが沸いて書きためていきました。

●MC
今回、蒼井さんをキャスティングされた理由を教えて下さい。

●岩井
蒼井さんとは不思議な縁があって、役が出来あがると、自然と蒼井さんになってることがあります。今回は日本人留学生のミナ役を演じてもらいましたが、僕が好きなヴァンパイア映画のヒロインの名前でもあるし、実は僕が学生時代に撮ったヴァンパイア映画のヒロインの名前もミナでした。
ミナという名前であれば日本語でも成立するので、蒼井さんにミナになってもらいました。

●MC
蒼井さんはいかがですか?

●蒼井
外国映画への出演は初めてでしたが、全編英語ということもあり、「こりゃ参ったな」と思いました(会場笑い)。でも、演技指導の方に、片言の英語で話してと言われて、気が楽になりました。

近年、岩井さんはプロデューサー業に専念されていたので、「岩井さんの長編が観たいな」と、ずっと思っていました。ですから、今回、監督・岩井俊二に会えたことが泣けるほど嬉しかったし、まさか自分がそこにいられるとは思っていなかったので、とても幸せでした。

今回の撮影は、大河ドラマの撮影中に強行スケジュールで現地に行ったのですが、今でも夢じゃないかと思うほど、幸せな時間でした。

●MC
『ヴァンパイア』の主人公は“変態な純愛”を全うしますが、お互いの変態度は何%ですか?お手元のフリップにお書きください。

●岩井
(岩井監督から見た蒼井さん)「78.26%」

蒼井
(蒼井さんから見た岩井監督)「∞(無限大)」

●MC
蒼井さん、岩井監督の変態度は無限大ということですが、どういう意味でしょう?

●蒼井
お会いする度に変態度が増している気がするので(笑)。

●岩井
それじゃあまるで危ない人みたいじゃないですか(笑)。

●蒼井
『花とアリス』に出演した時も、「どうして男性なのに女性の心のひだが分かるのか不思議だったのですが、今回の台本を受け取った時も、変態度が高かったです。もちろん、いい意味でです。

●岩井
僕の数字は単純に受け狙いです。小数点第二位まで付けたら面白いかなと思って(笑)。
蒼井さんは僕の台本に食いついてくるくらいなので、それなりの変態度があると思いますよ(笑)。

●蒼井
監督に、まだ映画化されていない台本を読ませてもらったのですが、それもかなり変態でした(笑)。みなさん、それも楽しみにしていてください。

●MC
これから映画をご覧になるお客様へのメッセージをお願いいたします。

●蒼井
今日はご来場いただいてありがとうございました。
私は、『ヴァンパイア』のような作品が大好きなのですが、こういう作品は日本では作りづらいのが現状です。この作品がヒットしないと、この先、こういった映画が作られなくなってしまいますし、岩井監督のさらなる変態映画のために、記者のみなさんも読者の方が思わず映画を観たくなるような記事を書いて下さい(会場笑い)。よろしくお願いします。

●岩井
気がつけば(長編劇映画は)8年のブランクになってしまいました。
自分の中では、駆け抜けていたつもりですが、みなさんお待たせしました。
映画を観終わったら、友達やご家族に映画のことを伝えてください。
そして、「どうだった?」と聞かれたら、その人が思わず映画を観たくなるようなリアクションをしてください(会場笑い)。

この前、自分のパソコンのデータを見ていたら、企画がだいぶ貯まっていました。3年に1本のペースで映画を作れると考えたら、僕も相当な年齢になってしまうのが分かったので、ペースアップしないといけないなと思っています。次回作も近々お届け出来ると思うので、楽しみにしていて下さい。

以上