本日9月15日(土)より、「フィンランド映画祭2012」が開幕し、本映画祭のオープニング作品として、『アイアン・スカイ』のジャパンプレミアが行われた。この日のためにフィンランドから来日を果たしたティモ・ヴオレンソラ監督は、上映前の挨拶で、「6年かけて作り上げた作品で、絶対日本の方に観てもらいたいという気持ちが構想段階からあったので、この日を迎えられて本当に嬉しい。」と述べ、日本語で「ありがとー!!」と叫び、興奮を隠せない様子で感謝の意を述べた。来日しての感想を聞かれると「お好み焼き、天ぷら、酒、カラオケを堪能した。東京が本当に素晴しい街で興奮している。滞在している間は夜遊びしたいし、京都にも行く予定。」と日本での滞在を満喫している様子を伺わせた。

 上映が始まると、時折場外に観客の爆笑が漏れるほど盛り上がりを見せ、上映終了と同時に盛大な拍手が起こった。その後のティーチインでは、その様子を伺っていたヴオレンソラ監督が、日本での初上映が成功したことに喜びを露にし、「ありがとー!」と叫び、ミュージシャンらしく歌いながら迫力ある登場を果たした。「ポップカルチャーと歴史の融合に興味があり、月面ナチスというアイディアはサウナで浮かんだが、このアイディアを基にしたものは100作以上あるんじゃないかという気持ちの中、調べていくと作品になっているものがなく、俺たちが作るしかない!と思った。」と語った。その後、観客からの「社会風刺を意識したか?」という質問には、「SF作品ではあるが、それだけでは物足りないので、政治的な皮肉を取り入れた方が面白いと思った。ナチスの文献を調べていくうちに、1930年代が現代と国際問題などの点で政治的風潮が重なっていることに気づき、離れた視点から現代の問題点を視るという作品にした。」と真摯に答えた。
「オマージュしている作品が多くあるが、youtube上の総統閣下シリーズ(映画『ヒトラー〜最期の12日間〜』のヒトラー激昂のシーンに嘘字幕をつけて風刺し、再編集したもの)は観たか?」と聞かれると、「映画のラストの眼鏡をはずすシーンなど絶対入れたかったので、スタッフと相談して入れた。」と、言うと自らそのシーンを演じ、笑いをとっていた。また、「カンパを募ったら、どれ位反響あると思っていたか?」との問いには、「ストーリーも徐々に広がっていったが、カンパもその流れに連動していたといってもいい。

2010年のカンヌ国際映画祭で出資パートナーを探したが、見つからず、カンパに踏み切ったが、告知サイトをアップした途端72時間で1000万円集まった!」と、とんでもない訴求力を覗かせ、質問をした観客も、その流れを粒さに感じ取っていたようで、「お金がなかったので募金できなかったけど、本当はしたかった」という意欲をヴオレンソラ監督にぶつけると、監督も「君の気持ちはむちゃくちゃ伝わって来てる」と、ファンとの相思相愛っぷりを見せ付けた。最後に続編について聞かれると、「本作でアイディアを使い切ってはいない。もともと二部作以上にはする予定で、時期は決まっていないが、必ず作る!」と述べ、続編を待ちわびる観客からは感動の拍手が起き、ティーチインは成功のうちに幕を閉じた。最後には監督の周りにはサインをねだるファンが群がり、月面ナチスの初上陸は大成功を収めた。