映画『ヴァンパイア』公開直前 岩井俊二を予習せよ!岩井監督自らピアノを演奏!“special talk and piano live ヴァンピュリティ”開催
岩井俊二監督8年ぶりの長編劇映画となる最新作『ヴァンパイア』が、いよいよ9月15日(土)よりシネマライズ他にて全国順次公開となります。
昨年の11月に北京と上海で開催され、大盛況だった岩井俊二監督の映画音楽のサントラコンサート「岩井俊二音楽祭」。ファンの間では日本での開催が熱望されていましたが、この度9月15日の最新作『ヴァンパイア』の公開を記念し、“映画『ヴァンパイア』公開直前 岩井俊二を予習せよ/special talk andpiano live ヴァンピュリティ”と題し実施されました。
コンサートでピアノ演奏を担当したのは、中国に引き続き、8才のときに岩井監督の映画『Love Letter』で演奏して以来、数々の岩井作品にピアニストとして参加している牧野由依。そして今回は、岩井監督自らもキーボードで演奏に参加しました。
新作『ヴァンパイア』からいち早く披露したほか、『四月物語』『花とアリス』の岩井監督自身の作曲による16曲と、『リリイ・シュシュのすべて』からドビュッシーの楽曲を含め19曲を演奏。
もちろん、演奏だけでなく、岩井俊二監督がプロになって映画音楽も担当するようになった時の裏エピソードや、過去作品と新作『ヴァンパイア』との意外な繋がりが語られました。
【イベント概要】
■日程:9月10日(月)19:00〜21:00
■場所:WWW
(東京都渋谷区宇田川町13 -17ライズビル 地下 )
■登壇者:岩井俊二、ピアノ演奏/牧野由依(まきの ゆい)
ヴァイオリン:伊藤友馬、チェロ:渡邊雅弦
【トークの模様】
●岩井俊二(以下、岩井)
実はこのコンサートは、去年、中国の上海と北京でやらせて頂いて、その時、僕は演奏には参加していなかったんです。
横でトークをしながら、演奏してもらっていたのですが、ずっと座っていなきゃいけないので、さすがにそれは辛いということで、今日は一応キーボードを担当しています。
というわけで、去年、牧野由依ちゃんと中国に行きましたが、牧野さんは中国はどうでしたか?
●牧野由依(以下、牧野)
中国は寒かったです。
ピアノを弾くには、過酷な感じでした。
でもやっぱり、岩井監督の作品は海を越えて世界中の人に愛されているのだと感じました。みなさん、1曲1曲に「あのシーンの!」みたいに反応されていたのを、鮮明に覚えています。
●岩井
ありがとうございます。
さて、映画『ヴァンパイア』が15日から、シネマライズと川崎のチネチッタで公開するということで、この2週間くらい『ヴァンパイア』のキャンペーン期間です。その中の一貫で、このイベントを行うことになりましたが、半分は自分の趣味です。生で聴くのはいいですね。
こっちも楽しんでやるので、皆さんも楽しんでください。
演奏
●岩井
中国でやった時は、トークが日本語だと直接通じないので、一言ずつ中国語で翻訳してもらっていました。
それだとワンクッションあるので、全く緊張しないというか…。
今日は日本語が通じてしまうので、トークに関するプレッシャーがあります。
中国では全く感じなかったプレッシャーを感じて、緊張しているんです。
『四月物語』は、松たか子さんが主演で作った、やや短編作品でした。
この時に初めて、自分のプロの映画作品の中で音楽も始めたんですが、この時は、それを自分でやっているというのを、照れくさい訳ではありませんが、あんまり公表したくないというのがあって、ペンネームでやっていました。
しかも2人のキャラクターを作り、センスという男女のミュージシャンに倣って、名前も「坪井信八」と「岸内萌」という男女のユニットとして、勝手に捏造してCDまで出してしまいました(笑)。
だんだんいろんなところで、バレてきたので、ペンネームはやめました(笑)。
他にもいろんなペンネームがありましたが、JASRACに申請する時に、「いろんな名前使うのやめてくれ」と怒られたことがありました(笑)。
演奏
●岩井
『四月物語』から『リリイ・シュシュのすべて』まで、2年間くらいブランクがありましたが、その間に何をしていたかというと、今年の1月に発売された、「番犬は庭を守る」という小説があります。
それを映画化しようと思って、物語を一生懸命書いていたのがその時期でした。
その企画が壮大というわけではないんですが、自分の中で難しいと感じて、ちょっと1回、保留にして、もう1つの企画をはじめたんですが、それもやっていくうちに、日本での映画化は無理だと感じて、また保留になりました。
その次に書いたのが『リリイ・シュシュのすべて』でした。その前に書いていた話しのタイトルが、「ハート・オブ・グリーン」でした。
なぜそのタイトルにしたかはもう思い出せないのですが、実は、これがヴァンパイアの話しでした。
今回の映画『ヴァンパイア』の、原型とも言える話しです。
自分の中では、『四月物語』「番犬は庭を守る」『ヴァンパイア』『リリイ・シュシュのすべて』は一連の繋がった物語に感じています。
以上