作品を発表するごとに話題を呼ぶ鬼才・園子温監督が、東日本大震災から数年後の日本を舞台に、オリジナル脚本を手掛けた渾身の一作『希望の国』。(10月20日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開)が、現在開催中の第37回トロント国際映画祭コンテンポラリー・ワールド・シネマ部門に正式出品され、日本時間9月8日(土))にワールドプレミア上映されました。

──園監督が映画祭会場に着くやいなや、監督作のDVDジャケットを持参でサインを求める観客もおり、改めて現地での園子温の人気が証明された。冒頭の舞台挨拶の際には「今回の映画は、いつもの僕の映画とは違うから、皆さん眠らないでくださいね」と会場の笑いを誘った園監督。そして、上映が始まった。
21時45分からの夜遅い上映にも関わらず、2階席まで埋まった満席の会場は、日付が変わった終映時間までほとんど席を立つ人もなく、神楽坂恵演じるいずみが防護服を着用するシーンでは笑いが起きたり、終盤では泣いている観客も数多く見受けられた。

エンドロールが始まる頃には、上映会場は観客たちの大きな拍手につつまれ、エンドロールが終わった後も、場内で園監督のQ&Aの登壇を待つ観客がたくさんいたが、映画祭側のトラブルによって、残念ながら会場でQ&Aを行うことができなかったために、会場の外では深夜にも関わらず直接監督と話をしようと多くの観客が待つっていた。20年間放射能の研究をしている人もこの作品のためにトロントから駆けつけ、園監督に「自分の地元の人々にも是非この作品を見せたい!」と伝えた。また、後半の夏八木勲と大谷直子の老夫婦の雪のシーンが素晴らしかったと感動を伝えてきた観客も多く、大成功のうちに『希望の国』のワールドプレミア上映は終了した。