現地時間1日、カナダ・モントリオールで開催中の「第36回モントリオール世界映画祭」で【ファースト フィルムズ ワールドコンペティション部門】へ出品されました、映画『その夜の侍(英題:The Samurai That Night)』のワールドプレミア上映が行われ、赤堀雅秋監督が舞台挨拶、ティーチインに登壇しました。

【ティーチインに出席した赤堀監督】
上映終了後、観客からは温かい拍手が起こり、監督が舞台上に登場、ティーチインが開始された。
「この物語は元々舞台の戯曲を映画化したものですが、震災後ということもあり、改めて再生の物語として描きたいと思いました。」と作品への想いについて述べた。
また、登場人物の木島(山田孝之)の役についていくつかの質問が及んだ。「木島の持つ特殊性についてや、モデルがいたのか」という質問に対しては、「特にモデルはいません。僕が生まれ育った冴えない地方都市にいそうな輩ということで、その雰囲気や匂いを出したつもりです。」
『その夜の侍』というタイトルについての質問に対し、「“侍”とは日本にとって生き方の美学の意味合いもあると思います。現代の僕の侍、つまり美学とは何だろう、と考えたときに、この作品の登場人物のように、ぶざまで愚かでも生きていく、というのが僕の “侍”の美学だと思いました。」
最後まで本作の独特の世界観に魅了された観客からの熱心な質問が繰り返されていた。
今映画祭がワールドプレミアとなった本作は、初監督作品を集めた「コンペ」部門であり、賞の対象となるため、注目度は高くなっている。

 本作は、赤堀監督が、劇団「THE SHAMPOO HAT」の旗揚げ以来、業界でもマニアックかつ熱狂的なファンを持ち、全作品の作・演出・出演を担当。その独自な世界観は“赤堀ワールド”と称され多くの支持を集めている。2007年に自ら主演も務めた戯曲であり、大絶賛された舞台。映画化にあたり脚本を改稿し、自ら監督に挑戦した。初監督ながら主演の堺雅人、相手役の山田孝之、その他豪華実力派キャストの力を存分に引き出し、細部にわたって赤堀ワールドを綿密に作り上げ完成させた作品。