高倉健が、盟友・降旗康男監督と20作目のタッグを組み、6年ぶりに主演した映画『あなたへ』が8月25日、全国339スクリーンで公開となりました。公開2日目となる26日、映画のロケ地でもあり、物語のスタート地点でもある富山県にて公開記念舞台挨拶を行いました。

高倉健演じる倉島英二の勤め先という設定で、撮影にも使用された富山刑務所へ撮影協力の感謝の気持ちを伝えるため表敬訪問を行いました。刑務官と受刑者に向けて挨拶を行い、その後所内にて映画の上映が行われました。興行中の映画を、刑務所で上映することは極めて異例で、東宝としては初の試み、富山刑務所としても初の試みとなります。刑務所内の講堂での高倉健の挨拶では、約350名の受刑者に対して、「昨年、富山刑務所には大変お世話になりました。これから観て頂く映画『あなたへ』は、人を想うことの大切さ、そして想うということは切なさにつながる(ということを描いています。)1日も早く、あなたの大切な人のところへ帰ってあげてください」と挨拶。「自分は日本で1番多く皆さんのようなユニフォーム(舎房衣)を着た俳優です。」と場を和ませつつも、ゆっくりと言葉を紡ぐ高倉の姿を見て、涙ぐむ受刑者も見られました。高倉も「なぜだか涙が出ました。不思議な映画のスタートとなりました」と異例の表敬訪問に感慨深げな様子でした。

撮影にも使用された長い廊下(第二通路)と西門の内側にて絵作りも行いました。受刑者は、26日夕方より、所内にて映画を鑑賞しました。

その後、映画の撮影も行われたファボーレ富山内のTOHOシネマズファボーレ富山にて、田中裕子、降旗康男監督も合流し、計4回1000人に向けて舞台挨拶を行いました。高倉健が富山で舞台挨拶を行うのは初となり、4回分のチケットは即日完売の盛況ぶりとなりました。舞台挨拶では、上映後の興奮冷めやらぬ観客を前に、高倉が「暑い中、こんなにたくさんの方に来ていただいてとっても嬉しいです」と挨拶。降旗監督が「山、海、街が一緒に画面に入るとても“映画的な”街でした。また撮る機会があると嬉しいです。」と挨拶すると、客席からは拍手が沸き起こりました。

富山県では、9月10日から20日までの10日間(9月19日のみ撮休)に渡り、富山刑務所、ファボーレ富山のほか、“東洋のベニス”とも呼ばれる新湊・内川や、島尾海岸にて撮影が行われました。

興行概況は、土曜日で観客動員が10万人を突破し、今後250万人以上の動員を見込める大変好調な滑り出しとなっております。客層は、60代を中心に、50代以上のお客様がほとんどで、全国万遍無く、夫婦(カップル)はもちろん、女性同士も多くみられ、男女ともに劇場に足を運んでいます。平日やレディースデイなども期待できる、腰の強い興行が予想されます。

登壇者コメント
高倉健(倉島英二役)
刑務所舞台挨拶…はじめまして、映画俳優の高倉です。昨年、富山刑務所にはとてもお世話になりました。大事なシーンを撮影させていただきました。本当にありがとうございます。
これから観て頂く映画『あなたへ』は人を想うことの大切さ、そして想うことは切なさにつながる(ということを描いています)。自分は日本の俳優で一番皆さんのようなユニフォームを着た俳優です。皆様が1日も早く、あなたにとって大切な人のところで帰ってあげることを心から祈っています。
舞台挨拶・・・暑い中、こんなにたくさんの方に来て頂いて、とても嬉しいです。6年間休んだことを反省しています。(「ではまたすぐに次が?」という司会者の問いに)もっと仕事がほしいです。
富山には来たことがなかったのですが、お世辞ではなく良い街でした。実は魚がダメなので(食べられないので)、おいしい肉とイタリアンを見つけて行っていました。(会場内笑い。※富山は魚がおいしい街として有名。)またこの地で撮影できることを祈っています。
午前中には、刑務所に挨拶に行きました。なぜだか涙が出ました。不思議な映画なはじまりだなぁと感じています。

田中裕子(倉島洋子役):今日はありがとうございます。去年の9月に撮影していたので、もう公開とは早いなぁと感じます。新湊で、曳山まつりを再現していただいた撮影が楽しかったことが印象的です。(劇中で歌を披露するシーンは)本当に緊張しました。家でひとりで練習をしていたのですが、恥ずかしいです。

降旗康男監督:富山のおいしいお魚とお酒を食べて撮影した成果がこの映画です。山と海と街がひとつの画面に入る、とても“映画的な”街でした。(観客からの拍手を受けて)幾分かお返しができたかとホッとしています。