『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和監督最新作、松たか子騙阿部サダヲ初共演で贈る映画『夢売るふたり』が9月8日いよいよ全国ロードショーとなります。人間最大の謎は【男と女】。映画を観た学生150人が、“学校では教えてくれない人間/男女の本性”をテーマに、本日、西川美和監督と青山学院アスタジオ地下ホールにて映画上映終了後座談会を行いました。

会場では、映画を観終えたばかりの興奮した学生から監督に直接質問!「男って単純?」「やっぱり大人になると浮気に対して寛容になる?」など学生ならではの意見を交えた質問から、結婚観についてなど賛否両論の意見が飛び交い会場は大盛り上がり!映画を通して感じた学生の本音と監督の本音がぶつかり合う約1時間にも及ぶガチンコ座談会になりました!最後は監督を囲む大勢の学生とともにフォトセッションを行いました。

【日程】8 月23 日(木) 16 時00 分〜17 時00 分
【場所】青山学院アスタジオ地下ホール
【登壇者】西川美和

—観客からの感想
女子学生(2 年):
女性というのは強いなと思いました。浮気をされても献身的に支えたり火事になって何もかもを失っても、「大丈夫」と夫を支える姿を見て、自分は結婚の経験がないので、すごいなと。私は結婚に夢見がちなタイプなんですが、この映画で、本性がむき出しになった夫婦生活を見て、“結婚は甘いものではないな”と思いました。

女子学生(2 年):
コンセプトが斬新で新しいと思いました。夫の意外な才能に気づいて、再建のために結婚詐欺を働く。男の単純さや女のしたたかさに共感しました。男の人は単純だなと思います。献身的に支えてくれる妻の助言とはいえ、他の女の人と過ごして騙すという案にヒュッと乗っちゃう。自分だったら考えられない、嫌ですね。

監督:
男の人は単純…単純なのかな?もちろん単純な面も持っているだろうけど。男の人って、「単純だよね」と言われて言い返さないですよね。でも女も単純な面はあって。男と女で“単純”の尺度がズレてるんじゃないかなと思います。

男子学生(3 年):
言い返すことができないのは、そのとおりだからかもしれないです。貫也の気持ちが理解できる気がしました。一度里子にそういう(浮気の)姿を見せてしまったから、その後もそう(結婚詐欺を)しなきゃいけないのかなと思うかも。

—里子は悪女な面がある一方で、夫の貫也に依存する面もありますね。
監督:
里子のような女性は、その昔一般的だった“良き妻”像なんです。家事を切り盛りし夫を立て、時には2、3 小言を言ってみたり…世間的に上手くいっている家庭の奥さんは、裏で上手いこと旦那を操っている。男女の共和の姿です。もともとあの家庭は、ああいう図式だったんですよね。「里子の言うとおりにしていれば上手くいく」みたいな。
だいたいの映画では、夫婦というものは男性を中心に描きます。奥さんというのは、常に強くて賢くて我慢もきく、健気な姿で描かれることが多いのですが、実は裏で計算している女性も、不安や弱さ、声にできない叫びを持っていて。そういう、女性の内側に巣食っているものを描きたかったんです。

—会場の女性に質問です。騙されるのは許せる?許せない?
(「許せる」と札を上げた女性は約1/3)
<「許せる」派>女子学生(2 年):
好きな人と一緒にいることは、他の何ものにも代えがたいものだと思います。例えば、つきあっていなくても、相手を恋しいなと思ったり。例えばお金を渡しても、それでも会ってくれるなら…と思います。咲月のように、騙されたとわかっても、その事実を明らかにしようとすると色々、「親にバレるかも」とかのリスクを考えると、黙って“いい思い出”に昇華しようとするかもしれません。

監督:
アブナイですね(笑)。味わい深いご意見ありがとうございます。緩くて、私はすごく好きですけど…気をつけましょう(笑)。

<「許せない」派>女子学生(2 年):
自分の気持ちが一方通行、ひとりよがりだったということに気付いてしまったら、許せないと思います。でも逆上することなく、落ち込んでしまうかも。紀代のような女性は、仲良くはなれないですね。同じ女同士でも理解し合えないと思います。

<「許せる」派>男子学生(3 年):
男性目線だとイエス、許せますね。自分が頼られてしまっている以上、その気持に応えなければと責任感が出てしまう。貢いでしまうかもしれません。

<「許せない」派>女子学生(2 年):
男が女に貢ぐのと、その逆は違うと思います。自分以外の愛情以外の何かを求められているわけですよね。経済力があるなら別だけどいつまでも続かない。結婚には至らないと思います。つきあっている時に愛情を確かめ合っていて、急に相手にお金が必要になって、自分に貯蓄があったら…お貸しします(笑)。倍返しで。

監督:
騙されよう、騙されたいとは、最初は誰も思っていないですよね。この作品に登場するキャラクターもそうですが、最初は人を助けたいと思っての行為だったものが、だんだんと変わってきて…。昨日は騙そうと思っていたのに、明日には騙していることになっている。そういうものなんですよね。

—男性にお聞きします。ズバリ、浮気をしたことがある人。
(ほとんどがノーの回答、1 人だけ、イエスが!)<浮気経験あり>男子学生(2 年):
高校の時に、当時付き合ってる人がいながら別の人を好きになってしまいました。両方と連絡を取り合っていた時期はありました。乗り換え、というか…。

<浮気経験なし>男子学生(3 年):
僕はノー、ですが、浮気の種はいっぱいあったと思います(笑)。男は単純だから、きっかけがあって、いつか“いいな”と思った女性に出会ってしまうと、どうしようもなくなるんじゃないかな

<浮気経験なし>男子学生(2 年):
めんどくさいんじゃないかな。浮気は。マメじゃないとできない。もちろん僕も目移りはするけれど、行動はマメじゃないので、貫也はすごいと思います。