『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和監督最新作、松たか子&阿部サダヲ初共演で贈る映画『夢売るふたり』が9月8日いよいよ全国ロードショーとなります。そして、本日ヒューマントラストシネマ有楽町にて、「デフシアター★ナイト『夢売るふたり』先行試写会」(主催:衛星劇場/協賛:スカパーJSAT)に、西川美和監督が登壇!手話コーディネーター妹尾映美子さんとともに舞台挨拶を行いました。

デフシアター★ナイト『夢売るふたり』先行試写会
【日程】8 月23 日(木) 18 時40 分〜19 時00 分
【場所】ヒューマントラストシネマ有楽町(シアター1)
【登壇者】西川美和、妹尾映美子

今回の「デフシアター★ナイト『夢売るふたり』先行試写会」で上映したのは、聴覚障がい者の方に向けて製作された字幕付きDCPで、フィルムでは従来不可能であった“色付き字幕”という、映画業界初の試みです!

昨年『ディア・ドクター』で字幕付き上映会を行った時に、観客の皆さんから「次は是非新作で!」という熱いご要望をいただいたこともあり、壊現に至った今回の企画。
「今回、また字幕をつけさせていただいたくにあたり、「聴覚障がい者の方は、色付き字幕に慣れているから、今回は“色分け”をしないか」と配給会社の方が仰られました。私自身は、白色以外の字幕が、画面に対してどう影響しているか、色が画面のバランスを壊してしまうのでは…、怖いな、と思う部分もありましたが、国の専門研究機関の方にも来ていただいて、<どの色が長時間ストレスにならないか>を細かく吟味し作ったつもりです」と、企画が持ち上がった際の心境を語りました。

また今回は、製作段階で色付き字幕を聴覚障がい者の方や専門家の方に、壊際に観ていただく<モニター会>を開き、参加者から改善点をヒアリングする機会も。
「違和感を感じた部分や、「ここを直してほしい」という希望を直接伺うことができました。例えば“コツコツ”という音を“ノックする音”と書くのか、“コツコツ”と書くのか。「吐息ひとつ書き漏らさないで」という意見もいただきました。私はこの字幕を障がい者の方向けに作って“あげる”とは全く思っていないので、この場面は画􂉋え􂉌だけでわかってもらえる!と、作り手が信じている作家性という部分から、あえて意見を採用しなかったところもあります多少乱暴かもしれませんが、そういう作品が一つくらいあってもいいのでは、と」。
「映画はもともとサイレントだったし、外国の映画では当たり前のように字幕が付いていますよね。英語が聞ける方は字幕との違いを楽しむこともできたり…自然に字幕というものが存在します。今回も色々とトライ・アンド・エラーを繰り返してゆく中で、最後のほうは字幕がついていることに自分でも違和感を感じなくなっていましたので、観る方にとっても“自然”な仕上がりであるといいなと思います」。

最後に、観客に向けて
「TVの色付き字幕は、主役は黄色で、準主役は青、という順序があるんですね。じゃあ今回はそれに則るのか、それとも映画ごとにそのルールを崩してもいいか考えたんです。そのような議論を重ねたうえで、字幕の内容も含め、私も細かく監修し、納得のいくものができたと思います。見づらい点があれば、是非、奇譚の無いご意見をいただければ。上映の幅も拡がるかと思います。難しい話はさておき…楽しんで行ってくださいね」と挨拶をしました。