第65回カンヌ国際映画祭が5月16日(現地時間)に南仏の高級リゾート地カンヌで開幕した。
 フランス大統領選挙の関係で、例年より一週間遅れの、そして欧州経済危機の真っただ中での開催となった今年の映画祭だが、初日の今日は、爽やかに晴れ渡った好天となって実に涼やかだ。65回目という節目を迎えた今年の映画祭公式ポスターは、没後50周年を迎えるハリウッドの人気女優マリリン・モンローをフィーチャー。ケーキの上に立てたロウソクの火を吹き消すホーズがとても可憐なモノクロ写真が起用されている。

◆今年のオープニング作品は、奇才ウェス・アンダーソン監督のコンペ出品作『ムーンライズ・キングダム』!

 映画祭の開幕作品に選ばれたのは『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ダージリン急行』『ファンタスティック Mr. FOX』などの個性的な作品で知られるハリウッドの若き天才監督ウェス・アンダーソンが、製作・監督・脚本し、豪華俳優を起用して描いた群像コメディ『ムーンライズ・キングダム』(2013年春公開)。
 舞台は1965年、アメリカ東海岸ニューイングランド州の沖合にあるニューペンザンス島。ボーイスカウトのキャンプに参加していた12歳の少年サム(ジャレット・ギルマン)が、同じ年齢の地元少女スージー(カーラ・ヘイワード)と恋におち、逃避行に出たことから、穏やかだった島のコミュニティは大混乱。2人の捜索が始まるが、折り悪く大嵐が島に接近したことで大騒動に発展する様を実にユーモラスに描き出している。 
 
 さて、昨年の男優賞受賞作にして、米アカデミー賞をも制したモノクロ&サイレント映画『アーティスト』においてジャン・デュジャルダンの相手役を務め、大注目された女優ベレニス・ベジョが司会を務める映画祭のオープニング・セレモニーは宵の19時15分からのスタート。本作『ムーンライズ・キングダム』は、そのセレモニー後に正式上映(ドレスコードのあるソワレ上映)が2回、行われるのだが、我々報道陣は午前中からの始動だ! まずは、11時からの『ムーンライズ・キングダム』のプレス向け試写を鑑賞後、13時から行われた本作の公式記者会見に出席。登壇者はウェス・アンダーソン監督、共同脚本家であるロマン・コッポラ(あの大御所監督の息子)、本作で映画デビューを飾った2人の子役、そして2人の脇をガッチリと固めた人気俳優のブルース・ウィリス(地元の保安官役)、エドワード・ノートン(ボーイスカウトの中隊隊長役)、ビル・マーレー(スージーの父親役)、ティルダ・スウィントン(ソーシャルワーカー役)、ジェイソン・シュワルツマンら。
 ウェス・アンダーソン監督は、抜擢した子役の起用理由を述べた後、本作について「こんな子供時代を過ごせたらいいな」という願望を込めて撮ったとコメント。監督との仕事を熱望していたという人気俳優たちも、口々に監督を絶賛し、終始、和気あいあいとしたムードの会見となった。
(記事構成:Y. KIKKA)