戦後、数々の時代の局面でシャッターを切り続けてきた伝説の報道写真家・福島菊次郎を追ったドキュメンタリー映画『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』。

8月4日(土)、公開初日を記念して、トークイベントを実施いたしました。

ゲストにお迎えしたのは、大物政治家から次世代を担う学生まで、精力的に意見を戦わせ続けているジャーナリストの田原総一朗さんと、著書「ルポ 貧困大国アメリカ」で、戦争の民営化などを指摘し、まさに“アメリカの嘘”を追及しているジャーナリストの堤未果さんです。

◆映画『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』 トークイベント
●実施日時: 8月4日(土) 
●場所: 銀座シネパトス 
●登壇者: 田原総一朗さん(ジャーナリスト)、堤未果さん(ジャーナリスト)

本編上映後の興奮さめやらぬ場内に颯爽と現れた田原総一朗さんと堤未果さん。
田原さんは一言めからエンジン全開でトークを始めました。

—福島菊次郎氏について
●堤未果さん
もともと福島菊次郎さんの写真集を持っていて、その存在は知っていましたが映画を見て、今上映される意味のある、今こそ見てほしい映画だと思いました。
福島さんのすごい所は、ずっと昔から一貫して社会の中で弱者と言われる人たちに徹底的に寄り添ってきたこと。

●田原総一朗さん
福島さんは中村杉松さんという被爆者の方の写真を撮ろうとしたとき、睨みつけられて撮れないのに、毎日中村さんのもとへ通ったところがすごい。
それに年金をもらわず、国からの援助を一切受けずに生活を続けていて、その一貫した姿勢を見ると、自分自身が恥ずかしくなる。僕なんてブレっぱなしですからね(笑)

—現代日本のジャーナリズムに対して
●田原さん
日本のメディアは無難な報道をするようになった。今のテレビや新聞を信用してはいけない。政治家が言ったことを報告するだけの発表報道しかしていないからね。
そういう手を抜いている人がいてくれるおかげで、僕たちの商売が成り立っているんだけれど(笑)

●堤さん
3.11後のマスコミは嘘ばっかり伝えている。自分たちで国の政治がどう動いているかをしっかり見ていないと、いつの間にか法律が変えられてしまっても気付けない。
政治から目を離してはいけないという事を、『ニッポンの嘘』を見てより強く感じました。

—弱者のために寄り添うということ
●田原さん
「弱者のため」と言って政治をしてきた人が歴史上の人物で2人います。それはヒットラーとスターリンです。本当の意味で弱者のために寄り添うためには、福島さんのように権力を持たないことが大事です。
今のジャーナリズムはみんな権力に迎合してしまっているからいけない。

映画を見て福島菊次郎氏に触発された様子のお二人のトークは白熱し、時間内ではまだまだ話し足りない!といった雰囲気で、その熱気が観客にも伝わり、前のめりになって聞いている人も多く見受けられました。