高橋惠子が23年ぶりに映画主演を果たした『カミハテ商店』(11月公開)が7月2日(現地時間)にヨーロッパで最も歴史と権威ある映画祭のひとつ、第47回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(チェコ/会期:2012年6/29〜7/7)でワールドプレミア上映された。

7月2日、第47回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭、メインコンペティションに選出されている『カミハテ商店』の公式上映が行われ、山本起也監督と主演の高橋惠子がレッドカーペットを踏んだ。
高橋惠子が海外の映画祭に参加するのは、熊井啓監督作品『朝やけの詩』(1973年)が第24回ベルリン国際映画祭コンペティションに選出された時以来、約40年ぶり。当日はあいにくの雨模様だったが、ワインレッドの華麗なドレスを身に纏い花道を美しく飾った。
公式上映が夜20時スタートと遅い時間にも関わらず、会場には2階席も埋め尽くすほど、約1,000人以上の観客が詰めかけた。上映中の観客は、画面に見入り最後まで緊張感が切れないといった好反応で、上映後はあたたかい拍手が会場を包んだ。

高橋惠子:「静かで動きの少ないこの日本映画を、遥か遠い国チェコの人たちが、笑うところは笑い泣くところは泣いて最後までほとんどの方たちが席を立たず、あたたかい拍手をいただけたことに、本当に感動しました」

山本起也監督:「ただただ、嬉しいの一言しかありません」 と各々がコメントし、感無量の面持ちだった。

本作は、島根県の全面協力のもと、京都造形芸術大学と第一線プロのスタッフ・キャストがタッグを組み制作した北白川派映画の第3弾。いつしか自殺の名所となった断崖絶壁の傍で寂れた商店を営む主人公の目を通し、人間の死生観への真意をなげかける濃厚な人間ドラマ。共演に寺島進。
今回、映画祭のメインコンペに選出され、イタリア、ポーランド、ギリシャ、イラン、メキシコ、カナダなどから選ばれた12作品とグランプリ(クリスタル・グローブ賞)を競う。受賞結果発表は現地時間の7月7日。

【カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(チェコ共和国)】…
1946年創設。カンヌ、ベルリン、ベネチアの世界三大映画祭に並ぶ、最も歴史と権威のある国際映画祭の1つ。
中欧・東欧では最大の映画祭で、共産党政権時代はモスクワ国際映画祭と隔年で開催されていたが、1994年から現在の体制となり毎年開催されている。日本映画では1952年に新藤兼人監督作品『原爆の子』がグランプリを受賞。
また日本で大ヒットした『アメリ』(ジャン・ピエール・ジュネ監督)も2001年のグランプリに輝いている。
今年度の映画祭にはHorizons部門に『わが母の記』の招待され原田眞人監督が現地入りする。