●MC:
初めての原田組はいかがでしたか?

●宮崎さん;
堺雅人さんから、「原田監督は、とても素敵な方だけど、現場は大変だよ」というのを聞いていたので、気合を入れないとなと思いました。

この作品のリハーサルやオーディションまで、準備期間があったんですが、リハーサルなどの段階で本当に気合いを入れて、100%役を理解をしていないと、現場に入ってから困ることになるなと感じました。

監督に演出していただく時や現場でも、すごく緊張していました。
でも、監督は、表情や振り向くときのしぐさなども丁寧に細かく指示をして下さったので、「この演出はこういう意味だったのか」と、分かりました。撮影が終わってから、改めてすごい方なんだなと思いました。

●MC:
宮崎さんは今回、中学生から大人になるまでの琴子の成長を演じていらっしゃいますが、演じられていかがでしたか?

●宮崎さん:
今回、前髪をつけてセーラー服を着た中学生時代から始まりますが、メイクさんや衣装さんに一緒に役を作ってもらえたので、自分の中ではスムーズに年を重ねられたと思います。
本当に琴子は、周りの方々に支えられながら成長できた女の子だと思いました。

●MC:
本作に登場する伊上家の家族が過ごす家は、東京・世田谷にあった井上靖さんの御自宅を実際に撮影に使わせていただいています。
監督ご自身が井上家のご子息にご相談されたとのことなのですが、ご家族は今回の映画化をどのように感じられていらっしゃるでしょうか?

●原田監督:
5年前に御自宅へ伺わせていただいた際に、あの空間にとても圧倒されて、御自宅が使えなかったら映画化はないと思っていました。
それに、撮影前にご家族の方々とも仲良くなれたんですが、ご家族の方々の方から「山荘の方はどうしますか?」とおっしゃってくださり、軽井沢の別荘も使わせていただけることになりました。

●MC:
井上家の方々はどうでしたか?

●原田監督:
最初ご家族は、家の中でも階段の部分だけで撮影をするのかと思ってたようで、実際に60人以上ものキャスト・スタッフが家の中に入ってきて、「えらいことになるぞ」と思ったらしいんですね。
実は、その日の夜にご家族で家族会議を行って「どうする?」となったらしいのですが、ものすごく優しい方々で、後で笑い話として話してくれたんです。また、井上先生は、家族の団欒とかがとても好きな方で、家に活気が戻ってきたということで、撮影中からとても喜んでくれました。本当に井上家の方々には感謝しています。

●MC:
実際に井上靖先生のご自宅で撮影をしてみて、新たなエネルギーをもらった部分はありますか?

●役所さん:
もちろんありました。
撮影をしていて、「ここに井上家の人々がいたんだな」ということだけで、とても力になります。私は書斎の部屋で撮影をすることが多いのですが、井上先生の気のようなものを感じました。

●宮崎さん:
あの場所でしか出ない空気はあったと思います。
2Fが控え室のようになっていたのですが、そこで待っているときも、みんなでお菓子を食べたり、編み物をしたり、そうやってゆるゆると過ごした時間の中で出てきた関係性もあったと思います。
あの映画の中で井上先生の御自宅が生きているというのは、とても良かったと思います。

●MC:
『わが母の記』は、カナダ・モントリオール世界映画祭での審査員特別グランプリ受賞をはじめ、プサン、シカゴ、ハワイ、インドなど世界中の映画祭で上映され、高い評判を得ているのですが、この度、東欧・チェコ共和国のカルロヴィ・ヴァリで開かれる。カルロヴィ・ヴァリ映画祭での招待上映が決定したとのことです。
世界中で、さらに上映が広がっていますね、お気持ちを伺えますか?

●原田監督:
このカルロヴィ・ヴァリ映画祭は、ヨーロッパでのプレミアになります。
今年で47回目を迎えるすごく歴史がある映画祭なんです。しかも、ここには温泉があるんですよね。ひょっとしたら阿部(寛)ちゃんがいるかもしれないですね(笑)。『テルマエ・ロマエ』のようなエンタテイメント感が溢れる映画がああいう風に大ヒットしてくれるのは、とても嬉しく思います。とりあえず、向こうに着いたら、阿部ちゃんを探してみようと思います。

●役所さん:
みんなで作った映画を、日本でもたくさんのお客さんに観ていただき、海外のお客さんにも、この日本の家族を観てもらえるというのが最高に嬉しいです。

●宮崎さん:
今、色々な国の名前を聞いて、改めて「すごい、嬉しい」と思います。
私はこの映画を観たとき、懐かしいというよりは、こんな日本映画があるんだと新しい映画を観たような気がしました。
世界中の方が観たとき、「懐かしいな」、「新しいな」、「これが日本なんだ!」など、色んな感じ方をしてくださると思うので、楽しみですし、とても嬉しく思います。

【最後のご挨拶】
●役所さん:
今日はありがとうございました。
こうして一生懸命作ったものを皆さんに観ていただけるのは、ご褒美だと思っています。息の長い映画になってくれたらと思います。

こういった大人が楽しめる映画というのも、これから増えていかなければならないんだろうと思っています。中高年の方々、お仕事で忙しいと思いますが、こうして映画館に足を運んでくだされば、もっと日本映画が豊かになっていくと思います。

是非、もう1回大ヒット御礼舞台挨拶ができるように、皆さんも宣伝部となって口コミをしていただければと思います。
よろしお願いいたします。