井上靖の故郷である伊豆・湯ヶ島など、日本の美しい風景を舞台に、親子の絆と愛を描いた本作は、海外でも絶賛され、第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリに輝きました。
人と人との絆の大切さを知った今の時代にこそふさわしい、希望に満ちた普遍の愛の物語です。

すでに映画レビューサイトなどで、本年の邦画No.1との呼び声も頂いている本作ですが、この度、原作の井上靖氏の誕生日である5月6日(日)に、役所広司、宮崎あおい、原田眞人監督が登壇し、大ヒット舞台挨拶を実施いたしました。

そして、今回、来場者数が50万人を突破、更には、東欧・チェコ共和国のカルロヴィ・ヴァリで開かれるカルロヴィ・ヴァリ映画祭での招待上映が決定するなど、今後も大変期待されます。

【大ヒット舞台挨拶 概要】
■日時:5月6日(日) 12:00〜
■場所:新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3丁目15番15号)
■登壇者:役所広司、宮崎あおい、原田眞人監督

【ご挨拶】
●原田眞人監督:
今日は来場者数が50万人超えたということで大ヒット御礼舞台挨拶というのもありますが、井上靖先生が生まれた特別な日でもあります。
井上先生の105回目の誕生日に、晴れがましい気持ちで今日を迎えられて良かったと思います。

●役所広司さん:
大ヒット舞台挨拶を行うのは、初日から決まっていたので、ヒットしなかったらどうしようかと、ハラハラしていたんですが(笑)、お客さんがたくさん観に来て下さっているようで嬉しいです。

今日は“わが母”の樹木さんはいらっしゃらないので、樹木さんの毒舌を聞けないは寂しいですが、今日は可愛いあおいさんが撮影の中、東京へ帰ってきてくれたので、ご挨拶をさせていただきます。

●宮崎あおいさん:
今日は劇場に来て下さってありがとうございました。
初日を迎えてから、こうして皆様の前でご挨拶が出来るのは、とても幸せなことだと思います。この映画は、1人でも多くの方にスクリーンで観て欲しいと思える映画です。
短い時間ではありますが、今日はよろしくお願いします。

【質疑応答】
●MC:
公開前からも非常にマスコミの評判が高く、公開されてからはご覧になられた方からますます絶賛の声を頂戴している本作ですが、今回、井上靖さんの原作を映画化しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

●原田監督:
この作品は、僕が撮った今までの作品の中で一番評判が良いんです。
普段僕を良く言わない評論家の方々も褒めてくれたので(笑)。
今までの作品とはまた違う気がしています。

それと、僕はよく、皆さん観ていただくときには、「伊上家の一員になって、家族と共にひと時を過ごしてください。」と言っています。でも、実際に観てくれた方々の様子を聞いてみると、映画を観ていて、伊上家の食卓に入ってしまい、スクリーンの役所さんに語りかけたりしていらっしゃるみたいです(笑)。
このような普段なかなか劇場に足を運んでくれなかった方々もたくさんこの映画を観に来て下さっているようなので、この機会に、もっと映画館へ来てほしいですね。
この映画で、新しい映画の観客層を開拓できたような気がしています。

また、この作品を映画化しようと思ったのは、井上靖先生が、僕自身の高校の先輩というのもありますが、僕も年をとったということだと思います。「わが母の記」を50歳を過ぎて改めて読んだのですが、世界中どこにもっていってもある普遍的な家族の話なんですよね。それに、実際に諸外国でよく読まれているのが、この「わが母の記」と「狩猟」なんです。
また、僕自身の作品への愛、そして日本映画の古典というもの、昭和という時代を今の技術で蘇らせたので、是非若い人にも観て欲しいと思います。古き良き時代を味わっていただくには、一番良い作品だと思いました。

●MC:
原田監督とは95年の『KAMIKAZE TAXI』以来、99年の『金融腐蝕列島・呪縛』、そして2002年の『突入せよ!あさま山荘事件』を経て、約10年ぶりにご一緒になられた現場でしたが、久しぶりの原田組の印象派いかがでしたか?

●役所さん;
映画作家と俳優として、お互い少しづつ年を取りながら、こうして、若い方や高齢者の方々にも楽しんでいただける作品を作ることができました。今までは、若々しく斬新で無国籍なものを撮っていらっしゃってましたが、ふるさとの沼津に腰を据えて、こういった日本映画を撮られたということで、とても新鮮でしたね。

●MC:
映画俳優としての天気となった作品に、原田監督との『KAMIKAZE TAXI』を挙げられていましたが、役所さんにとって、『KAMIKAZE TAXI』はどのような位置づけなのでしょうか?

●役所さん:
台本を読んだときはとても感動したのを覚えています。
今回の『わが母の記』のような公開規模ではなく、一館だけの上映とかだったと思うんですが、海外の映画祭の方々などから人気が高く、色々な国の方に楽しんでいただけたと思います。
その時に「映画にはこういう力があるんだな」と思い、これからも映画に関わっていきたいと改めて思えたきっかけとなりました。

この作品もそうですが、日本映画が世界中を駆け回ってくれるので、海外の方が日本を理解するのいはとても良いと思います。
下手な外交よりも有効な手段だと思いますね。