沖縄だけの問題ではない、日本が考えなければいけないこと

4月7日(土)東京外国語大学で、映画『誰も知らない基地のこと』のエンリコ、トーマス両監督と学生達によるシンポジウムが開かれた。映画を観た学生たちから、監督への質問を経て、プレゼンをし、意見交換を行った。
 プレゼンの内容は映画に描かれていなかった米軍や米軍基地における問題点を指摘。沖縄の米軍基地はベトナム戦争時にゲリラ戦の訓練場となっていたので、元海兵隊だったアレン・ネルソンの例をあげ、兵士は戦争体験によって人格破壊され、PTSDとなってしまうケースがあること。アメリカは財政的にもう基地や軍事力を維持することがもうできなくなっているのではないか、など。
 それを踏まえて、学生達から次の問題点や、日本はどう変わるべきかという意見交換を行いました。「もう次の戦略、たとえばロボット戦略などを考えているのでは?」「日本の教育においても、第二次世界大戦で日本が満州に対して植民地としていた歴史を教えていない。それを教えるところから始めるべきでは?」「米軍が撤廃しても自国を守れる手段を考えなくてはならないのでは?」「今の若者は政治に期待していないし、諦めている」などの意見が出てきた。
 「日本では沖縄と東京で情報も含め、基地問題に関しての温度差がある。イタリアではどうか?」という学生からの質問にエンリコ監督は「イタリアでは報道に関して地域の差はなかった。ビチェンツァの基地に関しては、地元だけでなく、他の地域の人も反対だった。それなのに、反対を押し切って基地建設が始まってしまいましたが」と語った。
 翌8日(日)、東京と沖縄を繋ぐイベントにしたいと、2004年に米軍ヘリ墜落事故もあった沖縄国際大学で、一般の方を含め200人以上集まり、上映会とシンポジウムが開催された。本イベントにはエンリコ監督、東京外国語大学の西谷修教授や沖縄国際大学教授で作家の前泊博盛さんもパネリストとして参加した。
 上映中、米国防総省顧問が「基地に反対している人たちは騒ぎたいだけだ」という言葉に、失笑する観客の姿もあった。
 エンリコ監督は「沖縄の人びとが毎日戦っていることに敬意を表したい。世界各地にも戦う人がいる。連帯を感じてくれたら、と思う」と語った。西谷修教授は「沖縄の問題をグローバルなものに位置づけ、共通の問題であると明確に見せてくれる」と解説した。

 映画『誰も知らない基地のこと』は4/7(土)よりシアター・イメージフォーラム現在公開中。
沖縄は5/12(土)より桜坂劇場で公開致します。