『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』など仙台を舞台とする数々の名作を送り出してきた伊坂幸太郎(原作)×中村義洋(監督)の強力タッグによる最新作『ポテチ』。過去の作品同様、オール仙台ロケによって撮影された本作が5月12日より全国公開されるのに先駆け、4月7日より映画の舞台となった仙台の5劇場において、主演・濱田岳、共演・木村文乃、監督・中村義洋による舞台あいさつがおこなわれ、全ての回で満席となる最高のスタートを切りました。

刊行当初から映像化の構想のあったという『ポテチ』が、映画化へと動きだすきっかけとなったのは2011年3月11日に発生した東日本大震災。仙台を含む東北地方が被災地となる一方で、伊坂幸太郎(原作)×中村義洋(監督)コンビによる「これまでと変わらず、もう一度仙台で映画を」との想いから実現した本作は、主演の濱田岳、音楽の斉藤和義をはじめ、その趣旨に賛同したスタッフ、キャスト、そして仙台市民の想いに支えられ、企画立ち上げから異例の早さとなる2011年8月末にクランクイン。2006年の『アヒルと鴨のコインロッカー』、2009年の『ゴールデンスランバー』を経て、東日本大震災を挟んで3度目のオール仙台ロケとなった本作は、仙台駅や勾当台公園、仙台市民球場など、市民にとって馴染みの深い多彩なロケーションで撮影がおこなわれました。わずか計8日間の濃密な撮影を支えたのは、「サポートメンバー」と呼ばれる地元のボランティアスタッフと大勢の市民エキストラ。その人数は延べ1000人あまり。舞台挨拶では、中村監督はじめ、キャストからも「彼等(地元のスタッフ&エキストラ)の存在無くしてはこの撮影は不可能だった」と語られ、映画本編中、地元のエキストラの熱気に押され、主演の濱田さんが本来泣かないはずのシーンで思わず涙が止まらなかったこと、そしてそれがOKテイクとして採用された、という秘話が明かされました。さらにクライマックスの野球場のシーンの撮影中に余震があったことに触れ、木村文乃さんは「エキストラの方たちが落ち着いて励ましあうことで撮影が無事に進められた。そういう部分も映画から伝われば嬉しい。仙台はどこにいても人の温かさを感じる」と語りました。

「地元」仙台で初日を迎えたことについて、主演の濱田岳は、「『アヒルと鴨のコインロッカー』の撮影で初めて来て以来、仙台には何度来たか分からないけど、何度来ても楽しいし、嬉しい。いろいろなことがあったけど、僕らにできることは楽しい映画をつくることしかないと思った」と、企画立ち上げから1年足らずで公開に至った本作について真剣に語り、中村監督は「『アヒルと鴨のコインロッカー』のときは初日舞台挨拶をしても、なかなか満席にならなかった。今回はどの劇場も満席でとにかく嬉しい」と喜びを語りました。
『ポテチ』は現在、宮城県内7劇場にて先行公開中。5月12日より全国公開となります。