現在大阪で最大級のインディペンデントの上映展として、3月12日〜4月6日の日程で開催されているのが『シネ・ドライヴ2012』だ。上映館は十三・第七藝術劇場、シアターセブン、中崎町・プラネット+1の3館。上映作品は32プログラム・72作品に及ぶ。

第七藝術劇場では新作特別上映枠として6プログラムを上映。大畑創監督『へんげ』。高橋洋監督『旧支配者のキャロル』、古沢健監督『love machine』、西山洋市監督『kasanegafuti』の3本をパッケージングした『コラボ・モンスターズ』。鎮西尚一監督『スーサイドサイドカー』。ヤングポール監督『真夜中の羊』。濱口竜介監督『親密さ』。宮崎大祐監督『夜が終わる場所』といった作品群だ。

今回は3月13日に行われた『へんげ』大畑創監督と俳優の信國輝彦さんによるトークの模様をお届けしたい。『へんげ』は、『大拳銃』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭とPFFで審査委員特別賞をW受賞、『怪談新耳袋』の『庭の木』を監督した大畑創がインディペンデント映画として制作。出演・森田亜紀、相澤一成、信國輝彦、撮影・四宮秀俊、音楽・長嶌寛幸、特技監督・田口清隆と注目の顔合わせと、様々なジャンルを内包した展開の注目作だ。

東京では3/10よりシアターN渋谷にてキングレコード配給、『大拳銃』を同時上映に公開中。
関西では、5月中旬より第七藝術劇場にて公開を予定している。

————————————————————————————————
<シネ・ドライヴとは>
元となったのはプラネット+1の代表富岡邦彦氏主催で1999年に行われた「シネ・トライブ」。シネ・トライブとは映画好きの種族のこと。この時上映されたのは、山下敦弘監督『どんてん生活』、柴田剛監督『NN891102』。
2000年には「シネ・トライブ2000」として熊切和嘉監督、山下監督、柴田監督の旧作、新人作品を上映。翌2001年は規模を広げ、インディペンデント映画祭として三会場での上映を一カ月間に渡って開催した。以後毎年恒例の映画祭として定着、2009年には完成した映画をどう展開してしていくかをメインテーマにシフトし、『シネ・ドライブ』に改称。2009年、2010年と行われ、今回は2年ぶりの開催となる

————————————————————————————————

松村(第七藝術劇場支配人):マスコミで予備知識無で取材に来た方は驚いていましたが、最初ロマンポルノ風でエクソシスト、猟奇雑人、それから…といろんなジャンルを横断しています。その辺は元々好きなジャンルなんですか。

大畑:大まかに言えばホラー映画だと思いますが色々詰め込んだほうが面白いと思ってやりたい、見たい要素をぶち込んでみました。贅沢な映画だと思います。

■観客からのQ&A■

観客男性:何故夫婦愛を描こうと思ったんですか。

大畑:実は恋愛映画のつもりでは撮ってないんですね。旦那さんがどうなっていくのか見たい。奥さんがそんな欲望を抱えて最後まで突き抜ける映画なんです。奥さんのやましい欲望を撮ろうと思ったら愛の映画に見えたんですね。

観客女性:音楽が印象的でした。

大畑:長嶌寛幸さんです。商業映画の音楽もよく担当しておられて、万田邦敏さんの『接吻』とか高橋洋さんの『恐怖』もそうですね。僕が映画美学校在学中に高橋洋さんの『狂気の海』に美術部として係っていたんですが、その時に知り合って今回参加していただきました。僕も音楽のことはよく分からないので、ジョン・カーペンター風とかハワード・ショア風という風に伝えて、後はお任せしました。

観客女性:私はラストで笑ってしまいました。主演の方々の目の演技が好きなんですけど、恐怖感もあるのにコミカルで、俳優さんもその辺を感じて演じておられたと思いました。

大畑:演出は本当にないです。

松村:お任せですか。

信國:僕たち役者が持ち寄ってきたものをやらせていただいた感じですが、大畑監督はフレームとかタイミング、アクションに対する演出は結構拘ってましたね。
主演のお二人は物語り上で比重が大きいので日々ハードな現場だったと思います。奥さんを演じた森田亜紀さんの目の表情が魅力的ですね。あとは本当に怖かったら笑えますよね。

松村:サム・ライミの『死霊のはらわた』も真剣に撮ってて笑えるけどそれに近いテイストですね。カーペンターでもトビー・フーパーもそうですね。

信國:でも、その中でも夫婦が始めて通じ合った瞬間がきちんと描かれていて、その辺のバランス感覚と、あとは54分に凝縮された編集が好きですね。

観客男性:低予算ということですが、スタッフの方をどうやって使っておられるんですか。

大畑:スタッフを使うと思ったことは一度もないんです。こんな企画を思いついたからみんなで遊ぼうよ!そんなノリが理想かなと思います。お金をきちんとお支払いできないんで、絶対にこの映画を面白くしないといけないって使命感があって、それは現場でも編集中でも感じていました。公開しないと終われないという感じでしたね。

松村:インディペンデント映画って作ったけど劇場で公開されないことも多々あります。劇場でかかって初めて映画は成立するわけですから。今回シネドライブ2012で選ばれた作品でナナゲイで特別上映する作品は水準は高いし一般公開に向けて一歩進んでいる作品です。シアターセブンとプラネット+1で上映する作品はそこに向かっている作家たちの作品群です。自分たちの未来の作家を見つける気分でぜひ劇場に足を運んでください!

最後に信國さんと大畑監督から観客に向けてメッセージが伝えられた。

信國:『へんげ』はもちろん笑っていただいてもいいし、感動していただいてもいい。届けるという行為をしたくてここに来ました。『へんげ』は自主映画ではなく、商業映画に負けない“映画”です。その垣根を取り払える強度のある作品だと思っています。
今後の予定はあらかじめ決められた恋人たちへの新曲のPVに出演しています。4/6にワンマンライブがあるのでそこで上映されるかもしれません。前回のPV『BACK』を撮った『堀川中立売』の柴田剛さんが今回も監督をされています。西尾孔志さんの 映画『ソウルフラワートレイン』にも出演していますので、よろしくお願いします。

大畑:『へんげ』は娯楽映画、ハリウッド映画に負けないものを日本で、少ない予算で撮りたい、そんな思いで作りました。大阪では『大拳銃』と一緒に5月下旬に第七藝術劇場で公開予定です。
老若男女の方々に観て頂きたいし、口コミが頼りなので気に入った方はぜひお知り合いに薦めていただいて、劇場にも足を運んでいただけたら嬉しいです!

(Report:デューイ松田)