3月17日(土)より渋谷アップリンクで公開となる映画『立入禁止区域・双葉〜されど我が故郷〜』の国会試写会が3月16日に開催。試写会には衆参両院の議員、秘書・スタッフの方々30数名が来場、作品鑑賞と共に、「立入禁止区域」から避難されている双葉の住民の方の訴えを聞いた。

『立入禁止区域・双葉 〜されど我が故郷〜』は、福島出身の佐藤武光監督が、福島原発から3キロに位置する双葉高校など3月11日の東日本大震災後立入禁止区域となった福島県双葉の被害の状況、そして避難所や仮設住宅での暮らしを強いられている住民の心情を捉えたドキュメンタリー。

上映後登壇した大熊町野上に住む住民は、大熊町が先日平成32年までに完了する方針を発表した集団移転について遅すぎると述べ、「せめてあと5年以内に完了を目指さなければ、私たちの生活は成り立たない。大熊町に中間貯蔵施設を建てるための幹線道路ないしはインフラの整備が中心に行われなければならない。福島県民の子どもが毎日外で遊べないという状況が続いていて、このままでは福島から誰ひとり子どもがいなくなってしまう。そして賠償保障の問題も、前に住んでいたのと同等の食べ物と土地を提供してもらいたい」と嘆願した。
民主党の最高顧問で会津若松出身の渡部恒三氏は、「先ほどの大熊町の代表の方のお話を聞いて、涙がとまりません。それほどの尊いお気持ちをあの被災のみなさんがもっておられる。国の対応の鈍さを考えると、本当に、みなさん申し訳ございません。しかし、みなさんが45年間、東京や横浜や、あるいは京浜工場地帯のエネルギーを提供してきた、そしていま、こんな酷い目に遭っていることを、国民は世界の人はぜったいに忘れてはなりません。また、いま映画を観ておりましたら、会津に避難しておられている方もある、もしそこで失礼なことがあったら、この場をお借りして心から謝ります。お許しください。必ず、みなさんが故郷をとりもどし、そして家族の生活を立派に幸せにやっていけるように、国は全力を挙げなければならないということを、これからも訴え続けてまいります。みなさん、元気に、明るくがんばってください」と激励した。
また、福島県双葉郡富岡町に住み、現在は会津若松に避難している住民は「野田さんは立派なことを言ってるけど、今の政府はなんにも実行していない。自分の任期中はそれなりの仕事をやっていただきたいです」と檄を飛ばした。
富岡町から東京・荒川に避難している住民は次のように語った。「国会議員の皆様、そして各省庁の官僚の皆様、第一原発に行って、体感してみてください。原発の不気味な音を聞いてみてください。あの背筋が凍るような音を聞いた上で、〈死の町〉と呼ばれるその通りの町を訪れてみてください。その上で原発の是非をぜひ論じてもらいたい。そしてもう少し人間優先の政策をやってほしい」。
大熊町から会津若松の仮設住宅に避難している住民は「今日来るときに私の仮設のなかでは3人がうつ病になり、いつ自殺するかわからないと友達にいわれました。どうか、政府の方々が直接住民に話しかけて、早く希望の出るように、そして放射線のないところに町ができるようにしてほしいです。それから福島県民を助けるためにも、ぜひ原爆と同じように被災地管理者手帳を作ってほしい」と避難住民の健康面での問題について提言した。
最後に映画のなかでも中間貯蔵施設について言及している双葉町喜久田仮設自治会長の天野正篤氏は、「細野(豪志環境相)さん、平野(達男復興相)さん、県庁やホテルで相談するのではなくて、ぜひ仮設に来て、我々と直接話をしてください。どんなことがあっても、双葉町、大熊町は血反吐を吐いても国家のためにあの土地は提供します。そうすれば、国民の信頼も得られますし、我々のことも考えてもらえるでしょう」と訴え、国会試写会は終了した。