ヴァイブレータ」「余命一カ月の花嫁」「軽蔑」など現代を生きる若い女性の心情を鮮やかにフィルムに焼きつけてきた廣木隆一監督の最新作「RIVER」が本日3/10(土)より公開となり、先ほどユーロスペースにて初日舞台挨拶を行いました。本作は、秋葉原殺傷事件をモチーフにし、大切な人を亡くし心を閉ざした女性が再び前を向いて歩きだすまでを描いています。主人公の女性・ひかり役を蓮佛美沙子が繊細に瑞々しく演じ、加えて田口トモロヲ、根岸季衣、中村麻美、柄本時生、菜葉菜、尾高杏奈など、個性派の俳優陣が廣木隆一ワールドに様々な彩りを添えています。
映画の準備中に起こった東日本大震災の影響で、脚本を変更し事件と震災の両方に向きあうものとなり、ラストのショッキングな映像は、今の日本を描いた貴重な記録でもあります。

■日時:3月10日(土) 
■場 所:ユーロスペース  

<廣木監督>
今日はありがとうございました。本当にこの1年いろんなことがあったので、早かったなという感じと、この時期にこの映画が公開され感慨深いものがあります。
(実際撮影で被災地に行ったわけですが)僕らがこの映画を準備しているときに自身が起こって、スタッフとはこんな時期に映画をやっていいものか、と議論もしたけれど、現実に起こったことに目をそむけてはいけないという想いもあり、被災地にも行きました。
辛い記憶は僕自身も薄れていくけれど、その時の気持ちをこの映画の中に移せたと思う。
僕自身もあの場所にたって色んなことを考えました。この映画が願わくば毎年上映され、今の状況や自分の状況をかんがえることになればいいなと思います。

<蓮佛美沙子さん>
題材が題材ということもあって、私自身ここまで戸惑いだったり、葛藤だったりを抱えて撮影に挑んだ作品は初めてだったので、あぁ今日初日なんだなとホッとしている気持ちが強いです。
印象に残っているといえば、撮影中、廣木監督は、私の心を動いているかどうかを常にみている監督なので、いつ怒られるんじゃないだろうかとドキドキしながらやっていました。いつもなら私は構成をみて、お芝居を計算して芝居してしまうところがあるんですけど、そういうのをそぎ落として、初心に帰れた気持ちがして、すごく新鮮な現場でした。
ちょうど1年前、震災が起こった2週間後に撮影を始めて、当時はこの作品に携わった全ての人が、何が正解かわからないながらも、今撮らなきゃいけないもの、今残しておかなければいけないことがあるはずだという強い想いの元作った作品です。
今日みてくださった皆さんの心の中にとどめて、何かを考えるきっかけになる作品になればという想いでいっぱいです。

<小林ユウキチさん>
(被災地にいったときの感想をきかれ、)本当に嘘というかバーチャルというか、自分がまるでゲームの世界に入ったようで、正直怖かったです。