映画祭終盤の20日。今年も世界中から映画祭に集ったジャーナリストと、長編コンペティション部門の審査員たちをカンヌ市の市長が招待し、野外で南仏の伝統料理を饗する“プレス・ランチ”が開催された。

◆カンヌ市長がジャーナリストを招待する
恒例の“プレス・ランチ”が好天の下で開催!

 “プレス・ランチ”の会場は市内を一望できる旧市街地の高台にあるカストル博物館前の広場。毎年、地方色豊かな伝統衣装に身を包んだ市民たちが立ち並んで音楽を奏でる中、市長自らが参加者を会場入り口でお出迎えするアットホームな雰囲気の催しで、長テーブルがずらりと並ぶ様は壮観ですらある。メイン料理は魚のタラとゆで野菜のアリオリ(ニンニクソース)添えというプロヴァンス地方の伝統料理だ。ロゼと赤のワインは飲み放題だし、デザート&コーヒーまで振る舞われる。その上、お土産として映画祭のラベルが張られた特製オリーヴ・オイルが配られるという太っ腹なイベントで、ハードスケジュールをこなさねばならぬ報道陣にとっては、一息つける楽しい場になっている。また、この催しには長編コンペティション部門の審査員たちも招かれており、ランチに参加した報道陣に対して写真撮影時間も設けられるので、審査員たちのカジュアルな装いを捉えられる貴重な場でもある。で、今年のランチには、ロバート・デ・ニーロ審査委員長以下の審査員たちが顔を揃え(ユマ・サーマンは欠席)、リラックスしたムードで談笑していた姿が印象的だった。

◆前夜の疲れを微塵も感じさせず、数々の個別取材をタフにこなした『一命』の三池崇史監督と瑛太!

 昨日、19日に『一命』の正式上映に臨み、深夜まで取材に応じていた三池崇史監督と瑛太が、20日、高級ホテルのマジェスティック バリエールのプライベート・ビーチで行われた個別&グループ取材を精力的にこなした。カジュアルな装いで登場した監督と瑛太はパラソルが立ち並ぶ桟橋で分刻みの取材攻勢に対応。私の取材は夕方6時半からの回だったのだが、この時期のカンヌは夜の10時過ぎまで日が暮れないため、陽光が燦々と降り注ぐなかでの取材となり、これぞまさしく“リゾート地”という雰囲気をしばし堪能。
 カンヌ映画祭では、日本とは異なり監督がクローズアップされるので自身への質問が少なく、公式記者会見では手持無沙汰だったと苦笑する瑛太に、劇中シーンの細かい点を聞いてみた。困窮する中で、やっとの思いで入手しながらも落としてしまった生玉子を這いつくばって地面から啜って食べるシーンは「ワンテイクで撮りました。フェイクではなく実際に食べたんですが、役作りで減量する必要がありダイエットしてたので、本当に美味しかったです(笑)」とのことだ。また、新作映画の撮影を中断してカンヌ入りしていた三池崇史監督は、映画祭の閉会式を待たずに帰国するという。
(Report:Y. KIKKA)