第64回カンヌ国際映画祭が5月11日(現地時間)に快晴の下、南フランスの高級リゾート地カンヌで開幕した。
 世界中から集った映画祭参加者が、まず最初に訪れるのは、カテゴリー別にランク付けされたIDバッジ(これがないと何処にも出入りできない)の受取所なのだが、今年は、そこに東日本大震災の被害を受けた日本を応援するポスターとともに震災復興の募金箱が設置されていた。これはカンヌ映画祭とフランスの映画輸出協会、そしてフランス赤十字が共催したもので、映画祭期間中、このフランス語と日本語を併記したポスターと同じイラストを使ったカードとバッジも配布し、募金を促していくと聞き、思わず胸が熱くなってしまった。
 ところで、映画祭のポスターと言えば、毎年、カンヌの公式ポスターの図柄も注目されるのだが、今年は、ファッション誌のカメラマンから映画界に転進した監督ジェリー・シャッツバーグが1970年に撮った処女作『ルーという女』の主演女優フェイ・ダナウェイのモノクロ写真をフィーチャー。とてもスタイリッシュなポスターに仕上がっており、評判も上々だ。なお、『ルーという女』は12日の夜、“カンヌクラシック”部門での上映が予定されている。

◆長編コンペティション部門の審査委員長を務めるのは、名優ロバート・デ・ニーロ!

 オーウェン・ウィルソンが主演したウディ・アレン監督の招待作品『ミッドナイト・イン・パリ』が開幕作品に選ばれた今年、注目される“長編コンペティション”部門の審査委員長を務めるのは、ロバート・デ・ニーロ。言わずと知れたハリウッドの名優で、映画監督、プロデューサーとしても知られているし、トライベッカ映画祭の共同創立者でもある。その彼が率いる審査員の顔ぶれは、英国俳優のジュード・ロウ、米国女優のユマ・サーマン、アルゼンチンの女優マルティナ・グスマン、フランスのオリヴィエ・アサヤス監督、香港のジョニー・トー監督、昨年のカンヌで審査員賞を獲得したチャドの監督マハマット=サレー・ハルーン、ノルウェーの作家リン・ウルマン(リブ・ウルマンとイングマール・ベルイマンの娘)、中国のプロデューサーでツイ・ハーク夫人でもあるナンサン・シーの8人。

◆今年の長編コンペティション部門の出品数は20本、
まさにオールスター揃いのラインナップは垂涎モノ!

 さて、今年の“コンペティション”部門は、ベルギーのダルデンヌ兄弟、デンマークのラース・フォン・トリアー、イタリアのナンニ・モレッティら過去の最高賞受賞監督を始め、スペインのペドロ・アルモドバル、フィンランドのアキ・カウリスマキ、トルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン、イタリアのパオロ・ソレンティーノといったカンヌの常連監督、そして満を持して登場した感のある伝説の映像作家テレンス・マリック等々、名だたる実力派監督がひしめきあっている。
 昨年は北野武監督の『アウトレイジ』が出品され、注目を集めた日本映画だが、今年は三池崇史監督の時代劇「一命」(10月公開)と河瀬直美監督の「朱花(はねづ)の月」(9月3日公開)の2本が選出。その健闘を期待したいものだが、残念ながら韓国映画は1本もなく、アジア映画の少なさが目立つ年となった。
 他部門で上映される日本映画は2作品で、田崎恵美監督の『ふたつのウーテル』は“短編コンペティション”部門で、園子温監督の『恋の罪』(11月公開)は“監督週間”部門への出品だ。
(Report:Y. KIKKA)