“希望に満ちた未来のために” — 再生可能エネルギーの可能性を説く、ドイツ発のドキュメンタリー話題作『第4 の革命-エ
ネルギー・デモクラシー』がついに12 月17 日より日本公開スタート!
3.11 東日本大震災の福島原発事故を受け、今後日本における未来のエネルギー選択に注目が集まっている。
そこで、近年ますます重要性を増しているのが「再生可能エネルギー」。
12月17日初日の上映後には、日本で自然エネルギーの分野で第一人者である飯田哲也(てつなり)氏を迎え、日本の再生
可能エネルギーシフトの可能性について考えるトークイベントが行われた。

飯田哲成氏コメント内容(一部)

「『第4 の革命』で描かれているのは世界の現実ですが、恐らく日本の可能性のある未来を少し垣間見ることができたのではな
いでしょうか。
福島第一原発事故は、間違いなく世界史に残る地球規模の事故です。これまでに起きた同スケールの原子力発電所の事故で、アメリカのスリーマイル島と旧ソ連のチェルノブイリの2 つの事故はその後の歴史を劇的に変えています。
旧ソ連に至っては国が崩壊するまでに至りました。歴史の変化は最低でも10 年かかり、日本ではまだ始まったばかりです。

原子力そのものと向き合っていかなきゃいけないが、複雑な問題が色々と絡み合っていてなかなか進まないのが現実。
天然ガスか、自然エネルギーかといった単純な選択ではなく、一人ひとりの合意形成をしていくプロセスには時間がかかるので、焦らずにしっかりと成熟したエネルギー作りをしていかなければいけません。
また、エネルギーを作っていくためのコミュニケーションとして、政治あるいは地域社会作りがとても重要で、そういった努力は映画の中で世界に既にある事実として見ることができますね。

ドイツで自然エネルギーが増えた、デンマークで増えたとつい国単位になりがちですが、実はその背景には映画の中に出てきたドイツのヘルマン・シェーア氏のような政治家やデンマークの研究者プレベン・メゴーといった、顔の見えるパイオニア的な人が必ずいるんです。
哲学とビジョンを持った政治家や専門家たちが強いリーダシップをもって自然エネルギーベースの社会を作るんだと、現実の社会を変えていくための政治と政策を実現していくのです。

この10 年間、原子力村と電力会社のために日本はかなり遅れていました。2010 年は世界全体で自然エネルギーの投資額は22 兆円で、これは石油・石炭・天然ガス・原子力よりもはるかに多いです。
リーマン・ショックの年ですら減らず、今ヨーロッパ発で世界恐慌が起こるのではと懸念される中でもなお力強く成長していて、今や世界経済でもしっかりと投資が行われています。

福島事故にいたっては、使用済み核燃料の問題など、今後数百年にもわたり大変な処理になると思う。
これまでの原子力政策の落とし前をつけていくと同時に、こういう事態に陥ったことを単に捨て石にするだけでなく、未来づくりの新しいエネルギーを作っていく踏み台にしていくことが必要です。
事態をきちんと収束させていく混乱の中で、未来をしっかり築いていく方向性を、我々みんなで考え次の世代に繋げなければいけません。」

飯田氏のトーク後は、質問のために数名から手が挙がり、上映&イベント後のアンケートでも、来場者のほぼ半数以上が回
答するなど、本作のテーマとなる“再生可能エネルギー”への関心の高さを伺わせた。
以下、アンケート回答のいくつかをご紹介。

−再生可能エネルギーが従来へのエネルギーの代替とすぐにならないことが再生可能エネルギーを促進するやる気を失わせてはいけない、というヘルマン・シェーア氏の言葉が印象的だった。

−自主上映会を是非やりたい! 上映会後のACTION まで何かつなげられる動きができるといいと思う。

−胸がいっぱいになりました。今日本が抱えている、格差・貧困・若者の自殺率の高さ、原発、すべての問題を解決するためのヒントが詰まった素晴らしい映画でした。 絶望している若者たちに是非観てほしいです。社会の仕組みを変えれば、あなたたちは生きられる、変えるのは私たちだ、と。

−世界で電力を使えない人口が20 億人いるということに驚いた。

−マリでの青年の活動が印象的だった。途上国での電力導入のもつ可能性は大きいと感じた。