独自のスタイルを貫き続け、多岐にわたって活躍し続ける俳優 窪塚洋介、ホウ・シャオシェン監督作などの音楽を手掛ける半野喜弘、数々のPVなどを手掛ける新進気鋭の映像監督 柿本ケンサク。
日本のストリート、カルチャーを席巻する3人が集結し産み出したもの、それは“つじつまを必要としないリアル”。
なんの理由もなく、ただそこにあるもの。全編パリでロケを敢行した本作は、人と人とが絡み合い、不協和音のように紡がれた世界に生きる等身大の私たちを描きます。

また、数々のドラマや映画で活躍する桃生亜希子がヒロインを務めるほか、パリ現地で活躍するキャスト・スタッフが集結し、“そこにある空気感”を生みだしました。
そしてこの度、映画公開に先駆け、舞台挨拶付の試写会を昨日行いました。

会場はいよいよスクリーンでの上映を目の前に、主演の二人、さらに監督と合わせて4人の登壇という賑やかなイベントの中、窪塚洋介3年ぶりの主演作品ということもあり大いに盛り上がりを見せました。

●MC
ご登壇の皆様にお一言ずつご挨拶をいただきたいと思います。
●窪塚洋介
本日はお集まりいただいてありがとうございます。奇しくも3.11震災があった時期に撮っていた映画で、
今日やっと公開を迎えられて嬉しく思っています。今日はゆっくり楽しんでいってください。ありがとうございます。
●桃生亜希子
こんばんは。桃生亜希子です。今日はたくさんの方にお集まりいただいて本当にありがとうございます。
この映画は3月11日の時にパリで撮影をしていて、私個人としても海外で撮影するのは初めてだったのですが、
色んな想いが個人的にもすごく詰まった映画になっています。その空気感を感じていただけたらと思っています。
●柿本ケンサク
柿本と申します。今まで何本か映画を撮っているのですが、初めてパッケージまでを自分で考えた作品で、
映画を撮る前は子供も生まれてなかったんですけど、撮り終えて子供も産まれて。
そんな大事な時にお金もたくさん使っちゃって、貧乏まっしぐらだったのですが、公開を迎えられてほんとに嬉しいです。
●半野喜弘
皆さんありがとうございます。この場を借りて、この映画の完成の為に協力してくれたスタッフの皆さん、
出演者の皆さん、今日ここに来られなかったフランスのスタッフの皆さんに心から感謝したいと思います。本当にありがとうございます。

●MC
主演の窪塚さんにお伺いさせて下さい。本作にご出演された経緯を教えて頂けますでしょうか?
●窪塚洋介
柿本君とは結構前から音楽のミュージックビデオを撮ってもらったりとか交流があって、
ある人を紹介したいってところから始まってそれが半野さんだったんですね。
最初は映画の話とかではなく一緒にご飯を食べて良いリンクができればと思ってたんですけど、
半野さんの話の中に今回の映画の骨組みになるようなことを聞かせてもらってそれがすごく楽しくて魅力的だなって思ってたら、
じゃあやろうよってトントン拍子に進んでいって、一晩三人で映画の話で盛り上がってその勢いで作った部分もありますね。
●MC
オールパリでのロケを振り返ってみて、撮影はどんな雰囲気でしたか?またパリの雰囲気はどうでしたか?
●窪塚洋介
特殊な時期っていうのもありましたし、僕自身パリに行くのが初めてだったので滞在していたのは10日間くらいだったんですけど、
初日から段々パリに馴染んでいって現場まで歩いて行って、自分の鞄を持って、自前の服を着て動いていたので、
その時間軸がそのまま映画に流れていて、その辺りはリアリティのある生々しいものになっていると思います。
パリは本当にオシャレな街で、築200年の建物とかもあって、そこだけで映画が撮れちゃうんじゃないかっていうか、
僕らの中で甘えになってしまうくらい、なんとかなるんじゃないかって思えるパワーのある街だったのでそこに甘んじないように、柿本君に寄っかかってやってました。
●MC
本当に窪塚さんがパリにいる感覚が映像の中から伝わってきましたよね。
●窪塚洋介
いましたからね(笑)CGじゃないですよ(笑)

●MC
桃生さんと柿本監督とは、以前もご一緒していると思いますが、今回出演される経緯はどんなところからですか?
●桃生亜希子
私も柿本君とは学生の頃の映画からお世話になっていて、何かあるといつも呼んでくれて、
一緒にブラジルに行ったこともあるんですけど、実の弟のような感じで、
でもすごく頼りになって私より全然しっかりしている弟っていう存在でした。
久しぶりに電話が掛ってきたと思ったら紹介したい人がいるんだけどって、それが半野さんで。
今回の映画は勢いで撮っていくっていうライブみたいな感じで、脚本もあってないようなものだったし、
どういう風になっていくんだろうって怖さもあって喧嘩もしたりして。
でもどこかでこの映画を撮影するということは何か直観的な部分でスタッフのみんなとか海外での撮影とか、とにかく魅力的なところが勝ってやることになりました。
●MC
今回の現場はファミリーみたいな感じなのかなと思ったのですが、実際はいかがでしたか?
●桃生亜希子
私はパリに一日先に入って、実際に役の理恵のお家に一週間くらい住まわせてもらって、一人でパリの街並みを歩いて回って、
理恵は5年くらいパリに住んでるという役だったので私もパリに馴染んでいこうと思ってやっていました。
空気感が作品に出ると思っていたし、そういった雰囲気が映像に出てるんじゃないかなと思います。

●MC
柿本監督。今回の『UGLY』は、THEATRE-TOKYOというWEB上で存在する架空の映画館での上映から、
反響により実際の映画館での公開ということとなりました。監督にとって映画館で上映するという意味は何ですか?
●柿本監督
もともと映画館で上映したいと思っていて、それが叶って本当に嬉しいです。
去年単館の映画館が潰れている時期があったのですが、パソコンがあればいつでもそこで見ることができるし、
世界に開けた単館映画館のような感じで。そこからどんどん盛り上げていって、
いろんな映画とかテレビでは上映できないものとか意欲的な作品もそういうところで流していきたいなと思って作りました。
●MC
映像表現の自由を本作から感じましたが自由であるが故の大変さや苦労はありましたか?
●柿本監督
役者に委ねていた部分もあって、乱暴なところもあったかもしれないですけど、そういうライブ感は楽しめたんじゃないかなと思います。

●MC
半野監督。「UGLY」は、音楽の挿入など“音”についてどういった拘りがあったのでしょうか?
●半野監督
この映画に対して音について特別な拘りがあったわけではなくて、全ての映画に対しての映画音楽というのは、
いつも自分やっていることなので、いつも通り精一杯やらせてもらいました。
映画音楽というのは映画の中に音楽が存在するということが大事で、最も映画の中でフィクションな部分っていうのは実は音楽なんですね。
人がいる、物語がある、言葉がある、街がある、文化がある。でも僕たちの暮らしの中でその瞬間に音楽というのはないんです。
でも、ため息だったり、流れていない涙だったりそういうところで埋めていくのが映画音楽の作業で、
それ以上の部分を装飾するのは僕は映画音楽のあるべきものではないと思っているので、今回もそれを心掛けました。
●MC
本作の原案である半野監督はどんな時にそれを思いついたのですか?
●半野監督
僕はパリに行って11年になるんですが、その中であった様々なできごところからインスパイアされて、
プライベートなこともあるのであまり多くは話せないのですが、
僕が一番思っているのは死をどうとらえるかというところで、
つまりは生をどう理解するかということと同じで、この作品の根底はそこにあります。
生きるとはどういうことか、色々な人の生き様から感じてもらえたらと思っています。

●MC
最後に、ご覧いただく皆様へ向けて窪塚さんからメッセージを頂けますでしょうか?
●窪塚洋介
先ほども話しましたが、今日本がこういう状況になっていて、僕らがやれることっていうのは少ないけど、
僕は日本に帰って来てから被災地に行って炊き出しだったり救援物資を持って行ったりしましたけど、
やっぱり一番僕らが今の日本に何ができるかを考えた時に、自分たちの得意なことをやることで復興にも繋がるし自分自身の気持ちも上がって、
半野さんは音楽と原案で、僕らは芝居で、カッキーが監督をして、
そういうことで集まったこの作品がどういうことでメッセージとなってみんなのところに届くかというのは、もう委ねているんです。
だから今、等身大の映画を作って、漠然とした言い方になってしまうけど何かを感じてこの時間を楽しんでもらえたらと思います。