カンヌを始め、世界中の国際映画祭で絶賛されている園子温監督最新作『恋の罪』が、11/12(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開となりました!本作は、90年代に渋谷区円山町ラブホテル街で起きたエリート女性殺人事件からインスパイアされた、美しき極上エンターテインメント。堕ちるほどにパワフルに光輝く生命力、“真に自由に生きること”を描いた、最上級の女性讃歌となっております。
テアトル新宿で行われた初日舞台挨拶には、園子温監督を始め、身も心もむきだしに熱演を繰り広げた水野美紀、冨樫真、神楽坂恵、そして女優陣に負けない怪演を見せた男性陣を代表して津田寛治、小林竜樹が登壇致。満席で通路には立ち見客が埋め尽くす大盛況の中行われました。

 日時:11/12(土)12:30より(10:00の回上映後)
 場所:テアトル新宿(新宿区新宿3-14-20 新宿テアトルビルB1F)
 出席者:園子温監督、水野美紀、冨樫真、神楽坂恵、津田寛治、小林竜樹

水野美紀「立ち見までしてのご鑑賞、本当にありがとうございます。念願の園監督作品に参加することができて、本当に充実した撮影期間を送ることができました。新しい一面を引き出していただいて、色んな想いで挑んだ映画が初日を迎えて、ご覧になった方の感想がとても楽しみです」

冨樫真「いよいよ待望の初日を迎えて、こんなに沢山の方に観にきていただいて、スタッフ、キャストに巡り合えて、こういう場に立てていることが本当に幸せなことだと改めて思います」

神楽坂恵「1月に公開された『冷たい熱帯魚』と、今日もこうしてこの場に立てて、嬉しさの余りなんですが、マイクを持つ手が震えるぐらいに緊張しています。どうもありがとうございます」

津田寛治「この役はオーディションでゲットしました。『冷たい熱帯魚』に出たかったけど(笑)、頑張ったのに出られなくて・・・。次のチャンスがやってきて、“これはもうオーディションに出るしかない!”と。すごく緊張して“これは落ちたかなー”と思ったんですが、なんとか受かって、園組に参加することができました。『自転車吐息』の時から園監督の大ファンで、夢のようにあっという間に現場が終わってしまいましたが、今日こうして舞台に立たせていただいて、目の前にものすごい数のお客さんがいらっしゃって、あの時受かって本当に良かったなと思います」

小林竜樹「撮影していたのは約1年前ですが、何もかもが初めてで、共演者の皆さん、監督、大勢のスタッフに支えられながらなんとかカオル役を演じることができました。こうやって皆さんの前に立つことができて感無量です」

園子温監督「撮影がちょうど去年の今頃でした。もっと寒くて大変な撮影でした。こうしてやっと皆さんの前にお見せできることができて、肩の荷が下りたというか、感無量です。僕はこの映画を本当に愛していて、最も愛している映画と言ってもいいぐらいです。ずっとこれからも心の中に留めていきたい映画となりました。こうやって沢山の人に初日を見守ってもらえて、“こういう映画でもヒットするんだ”と日本の映画界に示すことができると思います」

Q.演じた和子という役の魅力について
水野「和子は一般の女性の代表というか、女性には共感できる部分があると思います。この映画は、彼女の眼を通してふたりの女性の生き様、事件を追っていきます。SEXというものが“愛を確認するための行為というだけではなく、満たされないもの、渇望・闇を満たすための代償行為として描かれています。そういう感覚は、女性なら肌で分かるんじゃないかと思います。でも、男性にとっては意味不明と感じたり怖いと思ったりするのかもしれません。彼女が抱えている心の闇は、どの女性にも共通するものだと思うので、映画を観た女性の感想を聞いてみたいです。ずっと思い出に残る、演じたことを誇りにできる役だと思います」

Q.美津子のセリフで印象に残ったものは?
冨樫「彼女から発せられる言葉は、どれもひとつひとつすごく印象に残っていますが、私が自分で一番驚いたのは、“SEX”という言葉を大きい声で言う場面です。自分でも、“あれ、こんなに大きい声でこんなこといっちゃった・・・”と、自分でもびっくりしてしまって(笑)普段そんなに大声で言う機会はないので、いい体験になったなと思います(笑)」

Q.訪れたカンヌ映画祭では、大きな笑いが起こったそうですね
神楽坂「津田さんとのお風呂場のシーンではすごい爆笑が起こって、本当に気持ちいいぐらい皆さんが笑ってくださいました。出てくる石鹸がフランス製のもので、それは日本でいう牛乳石鹸のようなすごくポピュラーなものなんだそうです。ふたりで真剣に演じれば演じるほど、ものすごい笑いが起こっていました。でも観客の切り替えはすごくて、シリアスなシーンでは空気が変わって、引き締まるし。メリハリがすごいなと思いました」

Q.園作品に参加しての感想は?
津田「本当に俳優の気持ちを分かってくれる監督だと思いました。余計なことを考えていると、途端に表情が変わって、“そういうのじゃなく、ちゃんとハートで演じてくれ”というのをひしひしと感じて。クランクインの前の飲み会で、“俺が俳優に求めるのはカーペンターズじゃなくて、ジャニス・ジョプリンなんだ”と・・・。誰かは分からなかったんですが(笑)、それが心に響いて、要はハートの声でやって欲しいということなんだな、と。石鹸のシーンも最初は台本になくて、1枚ワープロで打ったような紙を持ってきたんです。石鹸についても、そういうこだわりを持っている男なんだな、と役を膨らませる要因として捉えていたんですが、フランス製のポピュラーな石鹸がカンヌで受けるだろう、とそれを見越してのことなんだな、と舌を巻きますね」

園「全然見越してないです(笑) もっと夫婦のシーンを見たいと思って付け足したシーンですが、そんなにポピュラーな石鹸だったとは、びっくりですよね・・・(場内大爆笑) 逆に言うと、偶然ですが、“かぶれている割には情報が弱い”というキャラクターを作れたのかな、と」

Q.本作が映画デビュー、共演した女優たちの演技について
小林「ただただ凄まじいとしか言えないです。冨樫さん、神楽坂さん、大方さんという素晴らしい女優から、監督の凄まじいセリフが発せられたり、目がカッと変わったり。早朝まで長い間撮影しているのに、スタートがかかったら、瞬間でその空気を作ることができる、凄まじいパワーとエネルギーを感じました」

最後に、女性の観客に向けての見どころを、主演女優3人と監督に語っていただきました。

水野「女性の皆さんにぜひ観ていただいて、共感できる部分があったなら、それは皆さんも同じ闇を少なからず持っているということだと思います。それを受け止めて欲しいです」

冨樫「映画の中の女性は三者三様で、私も共感できるところがあります。女性には観に来ていただけるだけでも嬉しいし、女の生きざまを垣間見ていただいて、自分に立ち返って考えてもらえたらと思います」

神楽坂「自分で気付かなかった欲について気づく人もいるかもしれないし、気付かない人もいるかもしれません。そういう風に観た後で語り合えるような映画だと思います。ぜひ観た後で、女性同士で話をして欲しいです」

園「観終わった後で、女性同士でワイワイと盛り上がれる映画ではないと思います。女性の抑圧や解放について描きたくて、色々な女性に沢山取材をして、自分の想像力ではなく彼女たちの考えを盛り込んだ映画です」