『さらば、わが愛 覇王別姫』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞し、その後も話題作を次々と世に送り出してきた中国の名匠チェン・カイコー監督が緊急来日し、12月23日(金・祝)より公開の映画『運命の子』の公開を記念して、都内のホテルで記者会見を行いました。

日時:11月4日(金)   場所:ザ・ペニンシュラ東京
登壇者:チェン・カイコー(陳凱歌)監督(59) 

『運命の子』は昨年暮れに中国で公開され、そして今年日本で公開されることをとても嬉しく思っております。
この30年で中国経済はとても発展しましたが、文化面ではどうなのか、今の若い人たちはどれだけ中国の歴史を理解しているのかということに興味があり、長年語り継がれるこの作品を映画化しました。

“運命の子”程勃を演じたウィリアム・ワンは、日本で育った中国人です。ただし英語の学校に通っているので中国語はほとんど話せませんし、演技の経験も全くありませんでしたが、大胆にも彼を起用しました。でもなかなか素晴らしい演技をしてくれて、名優である主役のグォ・ヨウとワン・シュエチーは“彼と演技をすると勝てないよ”と言っていました。

グォ・ヨウとワン・シュエチーとは彼らが若い頃からの付き合いですが、今では二人とも大スターになりました。
グォ・ヨウに至っては6億人のファンがいると言われています。
先週東京国際映画祭の審査員として来日していたファン・ビンビンは本当によくやってくれました。彼女にはこう話しました「力いっぱい演じるな、静かに演じてほしい。その静けさの中にこそ力強さがあるんだ」と。彼女はその通りに演じてくれました。
ホワン・シャオミンとは初めて仕事をしましたが、彼はスターにありがちな欠点がなく、とても誠実で素朴な飾らない役者です。彼は男として美しすぎて「演技力ではなく、ただ顔が綺麗なだけの俳優なのではないか」と思われがちですがそんなことは全くありません。今回は彼の美しさを忘れさせるために顔に傷をつけました。

日本には84年に初めて来てから100回以上来ています。映画に携わる人間として文化には興味がありますから、いつも中国と日本を比較してみている気がします。中国の文化と日本の文化は歴史的にも非常に密接な関係があるからです。ですから日本に大きな災害が起こった時は本当に驚きました。そしてこれほどの災難にあっても日本人が非常に冷静さを失わなかったことに深く感動しました。北京には多くの日本人の友人がいますが、その時期に彼らが次々と日本に帰国して行きました。そんな彼らに「どうしてこんな時期に帰るんだ?」と友人が聞いたところ「国の一大事には帰らなくては!」と言っていたと聞きすごく感動しました。SMAPが北京でコンサートを開催した時も行きました。メンバーの2人と写真も撮りました。つまり、中国と日本は人と人との理解が一番大事なんだと思います。だからこそ中国人と日本人が色々な文化を通して、そして映画を通してお互いの文化を理解することはとても大切だと思っています。