過酷な宣告を受けながら、見事ガンから復活した脚本家ウィル・レイサーの実体験を基に、彼の親友である人気俳優セス・ローゲンたちがハリウッドで映画化。ガン患者自身の葛藤や周囲の人たちとの複雑な関わり合いや友情を、ユーモアを交えて心温まるエンタテインメント作品として書き上げた話題作『50/50 フィフティ・フィフティ』の12月1日の公開を前に、映画のモデルとして自身の実体験を基に脚本を執筆したウィル・レイサーがアメリカから来日。

スペシャルゲストとして2010年3月に「ろ胞性悪性リンパ腫」というガンに侵されたことを公表、同年にガンから復活し今年、闘病の様子を綴った「ガンでもくじけない—誰かのために生きること—」(講談社)を発売し、話題騒然となったロックバンドSOPHIAのキーボード奏者都啓一を迎え、ともに若くしてガンから復帰したウィル・レイサーと都啓一による日米の体験者によるトークショーを行いました

10月31日(月)アスミック・エース試写室

◆ウィル・レイサーの談話
僕は25歳の時に脊髄のガンになり、親友のセス・ローゲンがいつも一緒にいてくれたんですが、いろいろと話をするうちに「ガンを題材にした映画は、暗かったり死んだりする物が多いから、コメディタッチのガン映画を作ったら楽しいんじゃないか」という話になり、辛い体験ではあったんですが、ガンが治って約1年後に脚本を書くことになりました。
この作品は実話を元にしていますが、フィクションです。しかし僕の実体験はところどころに入っていて、1つはカイルがアダムの傷に薬を塗ってくれるところは、本当に僕の傷にセス・ローゲンが軟膏を塗ってくれたところでした。でも、彼はすごく嫌がっていて「吐きそう。トラウマになると」と言っていました(笑)
病気を宣告された時、自分の気持ちを周りにうまく伝えられなかったから、すごく気を使わせていたなと思います。今、「50/50 フィフティ・フィフティ」を見返してみると、きちんと伝えていれば、周りの人はもっと楽で、僕ももっと普通でいられたんじゃないかと思います。一番大事なのは患者のそばにいることと、時には笑うことですね。

◆都啓一の談話
「50/50 フィフティ・フィフティ」を観て、自分のガンの体験を思い返すことになり、本当にリアルだと思いました。
僕は、ガン告知を病院の先生にされた時「すぐ治りますか」と聞いてしまって、まさか自分がガンになるなんて思っていなかったので、気持ちが先に先にと行っていたんです。
治療をしている時はしんどくて、半年ぐらいなんだかわからなかった。だから、周りは大変だったと思います。半年後に沈静していますと言われ、その時に初めてかみさん(久宝留理子)が泣いているのを見て気づきました。SOPHIAのボーカルの松岡くんも親身になってくれて、友情を感じましたね。
病気は、誰もが自分がなるはずはないと思っていると思います。しかし誰がなってもおかしくない病気だと、自分がなってみて思いました。
周りの人を不幸にしないためにも、早く発見して、早く治すことは一番大事です。