10/29(土)、大阪・九条にあるミニシアター、シネヌーヴォにて『新世界の夜明け』の初日舞台挨拶が行われた。レイトショーの舞台挨拶に登壇したのはマレーシア出身のリム・カーワイ監督と、主要キャストのJUN、友長光明、友長えり、安藤匡史、ミヨシフミタカ、友長順子の5名。

憧れの日本でクリスマスを過ごそうとやって来た北京に住む富裕層の女の子・ココ。何故か到着したのは新世界だった。そこで見たのは、想像と違う日本。今まで知らなかった外から見た中国。新世界に住む人々との出会いを通して、ワンダーランド・新世界を体験することになるというストーリー。
『新世界の夜明け』は、第7回CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)の助成作品として制作され、CO2上映展では観客賞と技術賞をダブル受賞している。

謎の追跡者を演じたJUNさんは、俳優で舞踏家。中崎町の自主映画専門映画館・キネマトロンの創設者でもあり、ロケのコーディネートから出演に至った。「大変な現場でしたけどチームワークよく乗り切って、いい作品が出来上がりました」
謎のホームレスの老人役のミヨシさんは「映画は観客のみなさんに見ていただいて完成するものです。2度3度と観て頂きたいと思います」
旅館のおばさん役の友長順子さんは「リム監督のおかげでデビューできたことを嬉しく思っております」
ココと一緒に新世界を駆け回る小学生・公明役の友長公明くんも映画初出演。「リム監督からいいアドバイスをいただいて、いい映画になったことを嬉しく思います」続けて、小学校1年生から勉強している中国語での挨拶も堂々と披露し拍手を受けた。
同じく映画初出演、失踪するバーのママ役の友長えりさんは「この映画は香港国際映画祭で上映され、今は地球の裏側のサンパウロ映画祭で上映中でとても好評のようです。色々な国に行ったことがあるリム監督ならではの視点で描かれた作品です」
ワタナベ役の安藤?史さんは「この映画はスケールが大きい、商業映画に負けない自主映画です。自主映画でもスケール感のある作品をどんどんやって行きたいし、この映画を1つのモデルケースとして広めていけたらと思います」

キャストの言葉を受けたリム・カーワイ監督は「みんなの言葉で泣きそうですね。本当にありがとうございました」と感無量の面持ちだった。

Q&Aのコーナーでは、
観客・女性「何故東京でなく新世界だったんでしょうか」

リム「大阪市の助成で映画を撮るという企画で、選ばれてこの映画を撮ったんですけど、CO2の助成金は大阪でロケをするとプラス10万円になります。大した金額ではないと思うかもしれないですが、自主制作映画の世界では1千万円くらいの価値はあります。それと、大阪に留学したとき新世界に遊びに行って魅力に引き付けられました。昔の映画のセットみたいだったんですね。いつか監督になったら映画化しようと思っていて、今回大阪のCO2なので、新世界で撮るしかない!と思いました」

観客・女性「中国では富裕層もいれば食べるのも大変な下層の人もいます。今後映画を作っていく上で中国を題材にした作品をどのように作っていかれますか」

リム「今まで日本で紹介される中国の映画は、農村の物語とか大変な生活をしている人のドキュメンタリーだったりするんですね。僕は中国人ではないので、そういう映画はジャ・ジャンクーとかワンビンといった有名な監督に任せたらいいかと思います。自分が作るとしたら都会に生きる中国人の姿を描きたいと思っています」

観客・女性「撮影期間2週間とのことですが、そんな期間で撮れるものですか」

リム「映画は予算の規模によって製作期間が変わってくるんですけど一般の自主映画は1週間か2週間で撮られています。でも中国まで行って、大阪のロケも室内だけじゃなく外のロケも一杯あって、こんなにスケールが大きい映画は多分ないと思います」

観客・女性「新世界での撮影で大変だったことは?」

リム「何か言われたら日本語が分からないふりをしてました。(会場爆笑)歴史に残るゲリラ撮影をぜひ見てください!」

『新世界の夜明け』は、11/11(金)まで大阪シネ・ヌーヴォにてロードショー。10/29(土)〜11/25(金)とシネ・ヌーヴォXにて続映される。

(Report:デューイ松田)