本格時代劇として質の高さに多くの絶賛と、現代にも通じる男の生き方に共感をいただき、大ヒット上映中の「一命」。本日、大ヒットを記念し、三池崇史監督が故郷・八尾にて舞台挨拶とスペシャルトークショーを実施いたしました。

なお、急遽、同じ八尾出身で、沢潟彦九郎役で「一命」に出演した青木崇高も参加が決定、「お帰りなさい」「ただいま」というやり取りで始まった舞台挨拶は、非常に温かい雰囲気の中で盛り上がりました!

■日時:10月29日(土)12:20〜
■場所:
舞台挨拶=12:20〜12:40 @MOVIX八尾 (大阪府八尾市光町2-3 アリオ八尾4F)
■登壇者 三池崇史監督(51)、青木崇高(31)(敬称略)

【舞台挨拶】

MC:ふるさと八尾での舞台挨拶は、いかがですか?

■三池崇史監督:
身内が多くて緊張します(笑)。

■青木崇高さん:
同級生や親せきなど知った顔が多くて緊張しますね(笑)。

MC:監督の携わる作品はバラエティに富んでいますが、今回の「一命」で
描きたかったものは?

■三池監督:
ジャンルは違っても、何かをつかみたいんだけど、なかなかつかめない、上を向いて生きていくのか、下を向いて生きていくのか選択がある中で、顔を上げて歩いて行くという、どの映画も同じテーマです。

「ヤッターマン」も「一命」も同じ。日本人らしい雑食なので中華の次は和食、という感じで色々な映画をやってみたくなる。今は暴力団のドラマ(「QT」)をやっています。放送できるかギリギリの。

MC:青木さん、カンヌ映画祭に自費で行かれたとか?野宿したという噂もありますが?

■三池監督:
飲みすぎてその辺で寝てたとか(笑)。

■青木さん:
寝ていないので、野宿ではないです(笑)。カンヌに着くまで、バックパッカーのような
ことをしていたんです。

■三池監督:
カンヌ直前にニューヨークで買ったタキシードを置き忘れて、カンヌの貸衣装屋さんで
借りたんですよ。

■青木さん:
で、またニューヨークで買いなおしたのが、今日のスーツです。

■三池監督:
山城北本町に住んでいる我々からすると、山本(青木さんの出身地)はお金持ちやな。
普通買えませんよ。

MC:介錯人の沢潟役を、憎憎しく演じられていました。悪い役ですよね?

■青木さん:
すごく言われました。カンヌでも「Bad guy!」とか言われました(笑)。

■三池監督:
井伊家の立場からすると、彼らなりの理屈で正義を通しているのです。
逆の立場だったら、半四郎や求女も同じことをする。同じ侍でも勝者と敗者に分かれ、見え方が全然変わってきてしまう。そこに悲劇が生まれるのです。その頃の悲劇も今現在に繰り返されている。だから悪役に見えてしまうんです。

MC:青木さんは演じてみていかがでしたか?

■青木さん:
本当に求女が許せなかったし、戦を経験していない侍のため、命が無くなる場に立ち会うことに多少興奮した部分もあるのではないかと思います。こっちもこっちで井伊家を守らないといけない、という気持ちでやっていました。
まあ、僕はどう見えても構わないと思っていました。

■三池監督:
八尾出身なので、根が悪い奴ですから(会場笑い)。
最近、東京でも「監督、八尾出身なんですって?」と言われるんです。

MC:東京でも八尾は悪名高い(笑)

■青木さん:
それこそ映画「悪名」の朝吉は八尾出身ですよね。タクシーの運転手さんにも
八尾だというと、言われます(笑)。

MC:撮影中、アドバイスなどは?

■三池監督:
現場でも、あまりお酒飲みすぎて暴れないようにと。市川海老蔵さんも本当にいい奴なんです。僕が出会った役者の中でも本当に素敵。人間としてまっとうなんです。正直にものを言うから、我々みたいな、なあなあで協調性で生きている人間にとっては強烈なんです。飲むと酔うのは当たり前。
次の日お酒の影響もない。超人ですね。

■青木さん:
ご一緒できて、すごく楽しかったです。

MC:青木さんがこの映画で得られたものはありますか?

■青木さん:
僕は本当に海老蔵さんと出会えたのが嬉しかったです。海老蔵さんとご飯を食べた次の日、熱が出たんです。多分持ってらっしゃるパワーに体が浄化されて何かが入れ替わったんでしょうね。「この熱は絶対海老蔵さんだ」と思いました。
すごく大好きですね。

MC:監督は、この映画を通して何か変わられたことは?

■三池監督:
ここ2年ほど「十三人の刺客」「切腹」と、50年くらい前の映画のリメイク、再映画化が続いたのですが、50年前の映画人たちの魂が少し我々に作品を残すと同時に運命を残しているんだな、と、映画を作る我々にとっては素敵だなと思いました。

また50年後まったく見ず知らずの人たちが僕らの作品が作ってくれるかもしれない。
そういう流れの中で作品は生まれてくるんだな、と。まあ、八尾で育ってよかったと思います。

■青木さん:
僕もです(笑)。

MC:八尾のみなさんへのメッセージを。

■三池監督:
これからは作品に「あ、この監督八尾出身やで」と、分かってもらえるようなメッセージを残していきたいと思います。ぜひ劇場に足を運んでいただければ幸いです。

■青木さん:
今日は歩いて八尾まで来たんですが、町も変わりましたね。もし「悪名」のリメイクとか何か機会があれば、ぜひ八尾に恩返しができれば、と今思いました。