本年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門で熱狂を呼び、続いてアメリカ(USプレミアin NY)、アジア(釜山映画祭)…と世界の観客を日本の<武士の精神>で魅了した時代劇「一命」が、10月15日(土)に、いよいよ日本公開となりました。
つきましては、本日、出演キャスト、監督による初日舞台挨拶を行いましたので、ご報告させていただきます。なお、舞台挨拶では、フランス、ドイツ、オーストリアなど、世界41カ国での配給が決定したことも合わせて報告されました。

■日時:10月15日(土)
■時間:12:30〜13:00  舞台挨拶
■場所:丸の内ピカデリー3(千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン新館5F)
■登壇者:瑛太 満島ひかり 三池崇史監督
※満島さんは、黒地に古典柄の吉祥柄、奈良しょっ紅錦の帯というお着物でご登壇。

<舞台挨拶>

■三池崇史監督:
普通は、初日は晴れるといいなと思うのですが、今日の雨は、この映画がスタートを切るために、天が与えた環境なのかなと思いました。

皆さんに楽しんで頂けたら嬉しいですが、心の隅に、「一命」を大事に置いてもらえたらいいなと思います。

■瑛太さん:
足元の悪い中、ありがとうございます。ここに立って、ちょうど1年ほど前に撮影していた時の事を思い出していました。こうやって映画を公開できて、皆さんに観てもらえるのを心から嬉しく思います。ぜひ、周りの方に、映画を薦めて下さい。

■満島ひかりさん:
こんなに大勢の方にお越し頂いて、本当に嬉しく思います。
今日から公開になりましたが、様々な方にご覧頂きたいです。
私自身、とても大好きな映画ですが、様々な人々の純粋な気持ちに訴えかけるものがあればいいなと思っています。

◆ここで、名古屋での歌舞伎公演のため、残念ながら舞台挨拶を欠席した市川海老蔵さんからのお詫びのお手紙が紹介され、登壇者の皆さんにも、海老蔵さんからのお手紙を読んでいただきました。
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■市川海老蔵さんからの手紙

「一命」初日、おめでとうございます。

私は今、名古屋の御園座にて歌舞伎の舞台に立っております。初日という
晴れの日に、劇場へかけつけてくださったお客様へ直接ご挨拶することができず、
申し訳ございません。まずはお客様へ、手紙という形ではございますが
ご挨拶させてください。

私にとって「一命」は2本目の映画出演となります。私が演じた半四郎は、
愛する家族とともに日々を生きることこそが、何よりの幸せである、ということに気づき、
自分の想う武士としての正義を貫くために武家社会に立ち向かった侍です。

振り返ってみると、撮影現場はとても刺激的で、私にとって思い出深い
日々となりました。何より三池組のスタッフと「一命」でご一緒できたことを
光栄に思います。

現代社会にも、「一命」で描かれるような不条理なことがたくさんあるかと
思いますが、みなさまも、大切なものを守るため、立ち向かう強さと勇気を
もっていただけたらと思います。

もしも映画を気に入って頂けたら、皆様のお力でぜひ広く
ご紹介いただけましたら幸いです。

十月十五日   市川海老蔵
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(海老蔵さんから三池監督へ)
「三池監督へ、愛と刺激を与えて下さってありがとうございました。たとえ離れていても、私の心の中には三池監督がいます」

■三池監督
出来すぎですよね(笑)。いないのに全部持っていきますよね(会場笑)。
でも、彼は本当に魅力的な男ですよ。僕自身、今回の映画を撮影するまで、存在は知っていたけど、彼の芝居は観た事がなかったんですね。
そこで、歌舞伎を観に行ってみたら、存在感が凄いんです。

彼の方からスタッフにもすっと近づいてきてくれて、スタッフからも愛されていました。絶滅危惧種というのかもしれないけど、本当のスターです。

(海老蔵さんから瑛太さんへ)
「瑛太君の熱さには火傷しそうでした。次は敵役などで再共演したいですね」

■瑛太さん
嬉しいですね。僕自身、海老蔵さんとご一緒できて本当に嬉しかったです。

普通の現場では、「初めまして」の挨拶から始まって、徐々に距離を縮めて行くことが多いと思うのですが、海老蔵さんは、それこそ鼻先まで一気に距離を縮めてきてくれて、「あ、俺のことを見てくれているんだ。この人なら信じていいんだ」と思わせてくれました。

だから、僕も一生懸命演じたいなと思ったし、海老蔵さんと今回共演できて、役者を続ける上で、出会えて良かったなと本当に思っています。

(海老蔵さんから満島さんへ)
「美穂よ、ふがいない父ですまなかった。天性の才能をこれからも大事にして下さいね」

■満島さん:
ふがいない、ってどんな意味なんですかね。
色々な意味が含まれているのでしょうか(笑)?
海老蔵さんは、見ていて本当に爽快で楽しい人でした。初めてお会いしたのは、半四郎の格好のまま、自転車にまたがって京都の町に飛び出していくところでした(笑)。

ちょうど海老蔵さんも私も家族を持った時期だったので、お互いに家族のことを話したりもしました。やんちゃな部分もあるのかもしれませんが、よく見ていると、海老蔵さんの中に、縮こまって座り込んでいる寂しん坊の少年が見えた気がします。

Q:三池監督、現場での手ごたえはどうでしたか?

■三池監督:
時代劇は、僕らが子供の頃、日本が元気で、撮影所もまだ元気だった時代に、普通に作られていたものです。ですから今回は、そういった伝統を絶やさないための大冒険でもありました。

海老蔵さん、瑛太さん、満島さんなど、個性の強い人たちが、スクリーンの中で静かにぶつかり合うのが、とても映画的でした。今回の作品は、小さなこだわりから僕を解放してくれた映画でもあります。

Q:瑛太さん、切腹シーンの撮影はいかがでしたか?

■瑛太さん:
細かい記憶が残っていないほど辛かったです。撮影していて実際に苦しかったのですが、三池監督が、ずっと付き合ってくれて、細かく指導してくれたのが忘れられません。

Q:満島さん、三池組の現場はいかがでしたか?

■満島さん:
脚本をもらった時、私の役名が、私が最も尊敬する祖母と同じ名前で、ちょうど祖母が亡くなって1年経った時だったので感慨深かったです。
三池組は、少年少女のような大人たちの集まりで、みんなが監督を信頼しているのが分かりました。

私自身、「何て贅沢な現場なんだろう」と毎日思っていましたし、「一命」に参加させてもらえて、本当に嬉しかったです。

Q:三池監督、「一命」は、フランス、ドイツなど世界41カ国での配給が決定しましたが、いかがですか?

■三池監督:
凄く嬉しいですね。感謝します。日本人にしか作れない世界だと思うので、映画を観てくれた方が、「一命」をきっかけに別の時代劇をや日本映画を観てくれたらいいなと思います。

Q:最後に、ファンの皆さんにお一言ずつお願いします。

■満島さん:
「一命」は、三池監督が育てて生み出した作品です。皆さんの心の中で、さらに豊かで大きなものになってくれればいいなと思います。
よろしくお願いします。

■瑛太さん:
3Dで飛び出す海老蔵さんは、日本中の皆さんに観てもらいたいです。
皆さんの心に残る映画になってくれればいいなと思います。
よろしくお願いします。

■三池監督
お客さんが求めていると思われるものが映画になります。
映画「一命」が、興行的な成功も収めれば、我々作り手はさらに自由に映画を作れる可能性が高まりますので、ぜひご覧頂ければと思います。
よろしくお願いします。